通算No.40 ダニエルの知恵

テキスト:ダニエル2:19ー24
”19 そのとき、夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに啓示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた。
20 ダニエルはこう言った。「神の御名はとこしえからとこしえまでほむべきかな。知恵と力は神のもの。
21 神は季節と時を変え、王を廃し、王を立て、知者には知恵を、理性のある者には知識を授けられる。
22 神は、深くて測り知れないことも、隠されていることもあらわし、暗黒にあるものを知り、ご自身に光を宿す。
23 私の先祖の神。私はあなたに感謝し、あなたを賛美します。あなたは私に知恵と力とを賜い、今、私たちがあなたにこいねがったことを私に知らせ、王のことを私たちに知らせてくださいました。」
24 それからダニエルは、王がバビロンの知者たちを滅ぼすように命じておいたアルヨクのもとに行き、彼にこう言った。「バビロンの知者たちを滅ぼしてはなりません。私を王の前に連れて行ってください。私が王に解き明かし(interpretationー解釈)
を示します。」”

ダニエルは終末について預言した預言者です。私たちがダニエル書を読む時、終末に関する多くの預言が与えられます。このことは一つのことです。さらに、もう一つのことがあります。

私たちがこの書を注意深く読むなら、この書は、私たちが終末の預言をどのように受けるべきか、解釈すべきかについての示唆を与えてくれます。今日はそのことを見ていきたいと思います。

ダニエルは他の人が説き明かせなかったいくつもの夢を解いています。ですから、もし私たちが終末の預言、幻の説き明かしを求めるなら、彼にこそ鍵があります。聖書解釈のことを言っているのです。

ダニエルをさす言葉のなかで度々言われていることばは”知恵”ということばです。

”あなたの王国には、聖なる神の霊の宿るひとりの人がいます。あなたの父上の時代、彼のうちに、光と理解力と神々の知恵のような知恵のあることがわかりました。ネブカデネザル王、あなたの父上、王は、彼を呪法師、呪文師、カルデヤ人、星占いたちの長とされました。”

また、この書の中で知恵ということばが度々使われています。ですから、終末の預言の説き明かしを求めるなら、神の知恵を求めることに大きな鍵があることがわかります。

説き明かし(解釈)に関してダニエル書を通して神が今の私たちに語っていることを見ていきたいと思います。

1 終末のできごとに関する啓示、幻、教えは、はっきりした形でなく、ネブカデネザルの夢のように、一見しただけではよくわからない形であたえられます。たとえば、黙示録がそうです。淫婦バビロンとか、7つの頭と10の角を持つ獣のように読んでもよくわからない形であたえられるのです。

2 このダニエル書の中では、神から与えられた幻、預言、夢を正しく解釈することができるかどうかということに大きな強調点がおかれていることに気付かねばなりません。

ネブカデネザル王の時は2回夢をみています。すなわち大きな像の夢、そして7つの時の夢です。これらに関して王はバビロンの知者、呪法師に大きなほうびを約束して、その夢を解き明かすように求めています。しかし、誰も説き明かすことができず、最後に神の知恵の宿る人、ダニエルにより解き明かされています。また、ペリシャツアル王の時も同じように神から送られた指が書いた文字の解き明かしを求めています。そして、誰も解く人はいず、最後にやはり神の知恵の宿った人ダニエルにより明かされています。
 

これらは何をさすのでしょう。神からの夢、しるしは確かにありました。しかし、説き明かしがなければこれらの夢は無意味でした。正しい解き明かしがなければ何を意味しているのか、正しいことは何もわからないのです。ですからこそ、説き明かしができたダニエルには大きな誉れが与えられたのです。

” そこで王は、ダニエルを高い位につけ、彼に多くのすばらしい贈り物を与えて、彼にバビロン全州を治めさせ、また、バビロンのすべての知者たちをつかさどる長官とした。”

夢を与えられた人、啓示が与えられた人ーここでは王ーがほめられたのではなく、それを解いた(解釈した) ダニエルに誉れが与えられたのです。

今の時代にも同じことがいえます。聖書は私たちにあり、その中に幻も、預言もあります。このことには何の不足もないのです。全ては神から与えられています。しかし、問題があります。正しい説き明かし(interpretaionー解釈)がないのです。説き明かしに大きな強調点があるのです。

3 その解き明かしは神の知恵の宿るひとにより与えられる。
この書の中で何度も繰り返されているパターンに注目して下さい。王が夢やしるしを見る。しかし、どの知者も呪法師も解き明かすことができない。しかし、最後に神の知恵の宿る人、ダニエルによりその夢やしるしは解き明かされる。これがパターンです。このパターンにより神は何かを語っているのです。このダニエルは終末の日に預言を正しく解釈する人々の型です。

しかしどうぞ、間違えないで下さい。ダニエルがすごい、頭が良いということには強調点はないのです。個人を強調しているわけではないのです。逆に”神の知恵”の宿る人ダニエルと呼ばれているのです。神の与える知恵こそ鍵なのです。これは、何をいっているのでしょう。これは、終末の預言は神の知恵によって始めて正しく理解できる、解き明かされるということを強調しているのです。ですから、私たちが終末について書かれている預言の説き明かしを求めるなら、ただ一つのことを求めなければなりません。それは神の知恵による解き明かしです。

4 多くの知者がいても正しい解釈はない
”そこで王は、呪法師、呪文師、呪術者、カルデヤ人を呼び寄せて、王のためにその夢を解き明かすように命じた。”

聖書は非常にはっきりと、ひとつの事実を述べています。バビロンには多くの知者、学者がいたでしょうが、それらの誰一人として王の夢の説き明かしをすることができなかったことです。

私はこれは今の時代、終末の時代、バビロン化した教会の時代の型だと思っています。今の時代には、聖書を学んでいる人達にも多くの頭のよい人達がいるでしょうが、しかし、それだけでは、神から来た終末に関する啓示がわからないのです。

逆に今の時代には終末の預言の解釈については、大きな混乱と不一致があります。みなのいっていることがばらばらで何が正しいのかわからないのです。

上記の句に関して原語の意味をみると呪法師、呪文師、呪術者、カルデヤ人という言葉のいくつかは星占いと関係があるようです。星占いは太陽、月、星に伺いものごとを決めることです。ですから、これらのことばに霊的な意味があるなら、”神よりも器にきく”ことを意味します。
しかし、器ではなく、神にきき、神の知恵の霊を求めるべきです。

彼等の誰一人としてこの夢を理解できなかったことに目を止めてください。終末にも同じことが起きるでしょう。器にきくが、神の知恵を求めない、そのために正しい終末の預言を理解できない、そのような人が多く出てくるはずです。
終末に関して、主はいわれました。
”南の女王が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めます。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし、見なさい。ここにソロモンよりもまさった者がいるのです。”

知恵ということばがここに出てきます。そして、この時代の人々(彼等は終末の時代の人々の型です)はその知恵を求めにソロモンにまさる方の前に来なかった、そのゆえに裁かれると書かれています。私はここで書かれている知恵は終末のみことばを理解するための神の知恵ではないかと思っています。

終末のことばを理解するためには神の知恵が必要なのです。

他の箇所にはこのように書かれています。
”エルサレムに近くなったころ、都を見られたイエスは、その都のために泣いて、言われた。「おまえも、もし、この日のうちに、平和のことを知っていたのなら。しかし今は、そのことがおまえの目から隠されている。”

この当時の神の民は、神の知恵であるイエスに聞かず、そのため、エルサレムのさばきに関する預言を理解できなかったのです。それで、彼等はエルサレムが裁かれた時、一緒に滅んでしまったのです。彼等はパリサイ人や律法学者には聞き、その教えに従ってはいたかもしれません。しかし、神の知恵、ソロモンにまさる方にはききませんでした。それで、その警告を理解することができなかったのです。

終末にも同じことが起きるでしょう。聖書の終末に関する多くの幻、預言を解釈するために真に神の知恵を求めないなら、現在の神の民も滅ぼされてしまうかもしれません。何故なら、”そのことがおまえの目から隠されている。”からです。終末の預言は神の知恵を求めない限り、決して開かれない、このことを覚えていきましょう。

終末における主のみこころを行いたいと思います。

ー以上ー 

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