◎パチカンに仕掛けられた罠


この謎は、ずっと下って現代、第二次世界大戦後まで糸をたぐってきて、初めて氷解するものであろう。フランス国籍のユダヤ人学者ジュール・アイザックは、戦後、ヒトラーのユダヤ人迫害の根源が、キリスト教の教義そのものにあるとして『イエズスとイスラエル』『アンチ・セミティズムの源泉』という二冊の著作を公刊した。そのなかで、キリスト教の核心中の核心というべき「福音書」そのものをまな板の上にのせ、それを不当で誤った反ユダヤ主義文書として切って捨てた。そしてなんと、このアイザック教授の説に賛同するカトリックの輪が大きくなり、ついに、イエズス会のトッブの地位にあるベア枢機卿が推進者となって、第ニバチカン公会議(一九六二ー五年)では、アイザック説が大幅に取り入れられたというのだ。 -----------------------------7d53392f50136 Content-Disposition: form-data; name="userfile"; filename="" Content-Type: application/octet-stream