50 「さらばイスラエル」−−ユダヤ内部からの告発

一九四七年の中東戦争でイスラエル軍が圧倒的な勝利を収めたあと、一九七○年までにシオニストの宣伝にはめられたアメリカのユダヤ人が、続々とイスラエルに移住した。その数は約五万人といわれる。ジヤック,ベルンシュタインもそのうちの一人であった。彼自身はアシュケナジー・ユダヤ人であり、移住先のイスラエルでイラクから来たスファラディ・ユダヤ人の女性と結婚している。そして、彼がそこで見出した真実は、イスラエルが「迫害されるユダヤ人のための集団」などではなくて、シオニストの警察国家であり、悪魔の縄張り以外のなにものでもないということで
あつた。

彼は落胆し、失望し、そして自分の頭で考え始める。六年半の滞在ののち、アメリカに戻り(一九六七年十二月)、『人種差別主義的、マルクス主義的イスラエルにおける一アメリカ・ユダヤ人の生活』(一九八四年)、『中東に突き刺さったとげ、さらぱイスラエル』(一九八五年)という内部からの告発の書を公刊している。

彼は「アメリカの福祉と平和のために、アメリカはイスラエルの無神論的、マルクス主義的指導者たちを支持することを中止しなければならない。さもなければ、さらに破滅的な結果がアメリカに襲いかかるだろう」との結論に達したという。「マルクス主義的イスラエル」などといわれると、ぴっくりする向きもあるかと思うが、いわゆるマルクス社会主義が、ユダヤによって組織され、指導されていることも、ユダヤ自身によって記述されている(これはさきのエリザベス・ディーリングが論証している)。

だが、実は近代社会主義の創設者は、キリスト教徒のフランス人ブルードンである。ブルードンは、ユダヤ人の金銭欲と財力が悪質な唯物的精神を生み出したと断じ、この唯物的精神の一つの変種を資本主義と名づけた。そして、プルードンのキリスト教的社会主義の理論が発展することを恐れたユダヤが、同族のマルクスやヘスらに命じて、急遠、偽りの社会主義理論をつくらせたのが真相といわれている。ともあれ、ジャック・ベルンシュタインのこの二冊の小冊子をすべての日本人が読むことができれば、どんなにか我々の目が開かれることだろう。彼は現在、アメリカにおいて正々堂々とシオニスト・ユダヤに挑戦状を突きつけ、「親アメリカ・ユダヤ協会」(この協会名の意味はシオニスト・ユダヤがアメリカに敵対的で、アメリカの奴隷化を企図しているという立場から、アメリカを愛するユダヤ人が力を合わせてシオニスト,ユダヤと戦う
ということであろう)を組織して、シオニズムとの戦いに立ち上がっているという。

「猶太研究」昭和十六年十月号には、「猶太人の嘆き−−猶太人によって為された罪の告白」というアノリカ在住のユダヤ人の切々たる文章が掲載されている。彼はこれを変名で書いた。「もし本名で公表すれば、同族ユダヤの支配階級によって殺害されるであろう」と記されている。そして「我々(ユダヤ人大衆のこと)は、我々の主導者(ユダヤの支配階級)に誤られ欺かれたのである。我々は滅亡の途上にある。この我々に助力を与えてほしい!」と、彼は非ユダヤ人に呼ぴかけている。このことを思えば、前述のベルンシュタインの出現は、いわゆるユダヤ人社会の亀裂が、この五十年の間にかなり大きく広がったことを証明しているのかもしれない。ついでながら、さきの「殺害の不安」は、今日のいわゆるユダヤ人の九lパーセントを占めるアシュケナジー・ユダヤが、実はカザール王国の子孫であり、セム系ではないということを論証したアシュケナジー系のアーサー・ケストラーも、シオニストによって謀殺された可能性があり、決してゆえなき不安ではない。