36「666」はニユーエイジのシンポル

『新約聖書』の巻未にある「ョハネの黙示録」は二十二章からなっており、バチカンはこれを
西暦九四年から九六年ぐらいまでの間に、イエスの弟子である使徒ヨハネによって記録された正統の書であると正式に議決している(一五四五六三年のオリェント公会議)。

この「黙示録」は、キリスト教に縁のない大方の日本人にとっては、どのように説明されても耳に入らないチンブンカンプンなものでしかないが、ただ一つ、第十三章の末尾にある「獣の数字は人の数字にして、その数字は六百六十六なり」という箇所には、不気味な印象を与えられているらしい。少々引用しておこう。

「その獣の像を拝せぬ者をことごとく殺さしむることを許され、凡ての人をして、大小、貧富、自主、奴隷の別なく、或いはその右の手、或いはその額に徴章を受けしむ。この徴章を持たぬ几ての者に売買することを得ざらしめたり。」

この「獣」は、イエスが再臨する直前に現われる暴虐飽くことなき世界帝国、反キリストの支配を意味しているとされる。また、「黙示録」の次の章には、イエスが再臨して最後の審判が行なわれるときには、この獣を拝しその徴章を受ける者は、神の怒りを受けて地獄の苦しみを与えられるとされている。この部分をまともに信じてしまうと、我々は夜もおちおち眠れない。なぜなら、悪魔の世界帝国は必ず出現し、その獣の像を拝まなければ殺されてしまう。といって、拝んだ者はそのあとにくる最後の審判で、神の怒りに遭うというのだから。

そして、問題の666の数字が、いま、ニューエイジのシンポルとして流布されていることを知らされると、これは単なる偶然やいたずらでもなさそうだ。ニューョーク五番街のロックフェラー・ビルに666の数字が表示され、ロンドンのロスチャイルド・ビルにも同じ666が刻み込まれているという。アメリカの国税庁(IRS)が社会保障の申し込み用紙の上部に666の数字をつけ始めた(一九七七年)。一九八○年十一月二十五日付の「ユルサレム・ポスト」紙に載ったイスラエル政府の広告は、なんと「666の覆いを取り去り、勝利しよう!」と、イスラエル国民に訴えた。などという現象が、反キリストの独裁帝国を暗示する「黙示録」の666の数字と関係がないわけはない。してみると、ニューエイジ運動をひそかに演出しているものは、「黙示録」に預言されている反キリスト、悪魔の地下帝国である、という推理も成り立つのではなかろうか。