22「悪魔の煙」が教会に入り込む

第ニパチカン公会議の途中で、第二百六十三代ローマ法王(ちなみに初代は、イエスの十二弟子の一人ペテロとされる)ヨハネスニ十三世が病死し、コンクラーベ(一ニ七四年の第ニリョン公会議で決定されたローマ法王選挙のシステム)でパウルス六世が選出された。そして、第ニバチカン公会議が終結して三年もたたない六八年六月二十日に、パウルス六世は「悪魔の煙が教会に入り込んだ」と、最大級の警告をカトリック教徒に発している。これは何を意味するのだろうか。第ニパチカン公会議の決定が実行に移された結果、悪魔が力トリック教会のなかに堂々と入り込んできた、と解釈するしかないのではなかろうか。カトリック教会の序列、いわば縦の階級組織は、日本人には非常にわかりにくい(縁遠い)が、かりにまとめてみると図のようになろう。

このうち「司祭・助祭・信徒」が、個々の教会を構成している。「枢機卿」は五年ごとに「法王」によって任命されるが、新しい法王は枢機卿によって選出される。「司祭・司教・大司教」は、上から任命される。「公会議」の憲章などは、法王・枢機卿・大司教・司教と修道院長など、八億人のカトリック教徒の項点に位置する人々によって決定されたのだから、すでに一九六○年ごろまでに、カトリ
クの指導的階級の圧倒的大多数は、イエス・キリストの教えに反し、悪魔に魂を売り渡していたということになってしまうだろう。

また、カトリック教会の組織には、さきの縦の系列(神、平信徒に至る)のほかにも、もう一つ、左図のようなものがある(プロテスタントにはこれはない)。ところが、第ニパチカン公会議
ののち、世界中でこの修道院の荒廃と崩壊が始まったというのだ。フランスでは一九七六年に、第ニバチカン公全議によるキリスト教の倫理道徳を葬り去ろうとする人々を批判した、『悪魔の煙』という千余ぺ−ジもの著作が出版され、フランスでの幾多のなげかわしい実例が記述されているという。