16 わずかな高位会員にしか明かされないフリーメーソンの真の秘密

 

 
 

フリーメーソンの会員は全世界で数百万人と公表されているが、その圧倒的多数部分は、終生、最下層の三階級(見習い、職工、親方)にとどめられる。その上に昇進するものは、きわめてわずかなエリートでしかないのだ。それでも、最初の三階級の会員に対して、@厳重な秘密厳守(外部に秘密をもらした場合、殺されてもよいと誓約する)、A上部の命令には問答無用で従う、という二点を、徹底して教え(刷り)込まれる。このシステムでゆくと、最高位(第三十三階級)の、メーソンの所在とその真の目的は、暗黒の闇に消えていくのだ。けれども、欧米のいくつかの国では、ときとして高位のメーソンがキリスト教の信仰を取り戻し、キリスト教徒の良心に基づき、真相を暴露することも生じたらしい(ちなみに、日本ではいまだこうした事態は起こされていない)。

たとえぱ、アメリカのウイリアム・シネーベレンは
フリーメーソンに入会して第三十二階級にまで昇進したのち、脱退して、再ぴキリスト教会に復帰して、その体験記を公刊している(『メーソンリー−−その光の両こう
にあるもの』一九九一年)。フリーメーソンの教義の全体復像を明かされるのは、三十一、三十二の高位の三つの階級といわれるからベレンはそれを承知していたことになる。

その上に最高位の第三十三階級が位置しているはずだが、彼らも、おそらくは、さらにその奥に潜む、誰とも知れぬ高位者に従属しているのではなかろうか。ジネーベレンは、プァイスハウプトに続く十九世紀メーソンの最大の人物として、アルバート・パイク(一八○九〜九一年)をあげている。パイクは一八五○年にメーソンに入会し、五九年にアメリカ・メーソンの指導者に選ばれて「フリーメーソンのプラトン」と呼ばれた男である。

マンリー・Pホールほか
がこう呼ぷのは、パイクが、ルシファー(悪魔の総大将)をメーソンの真の神とみなしたとされるからである。そして、このパイクと同時代のメーソンの大物に、イタリアのマッチーニ(一八○五−七二年)がいるが、二人でアメリカとヨーロッパを統括した。マッチー二は、フリーメーソン内部のエリートとして、マフィアを創設している。マフィアのほんとうの語源は、イタリア語で「マッチーニは、略奪と、武器と、毒殺を命ずる」の頭文字だという。また、パイクもKKK(クー・クラックスクラン)団をフリーメーソンの別動隊として組織した。(一八七○年)こうしたパイクとマッチー二が同盟協約を結ぴ、ここに近代メーソンの奥の院が設立されたらしいのである。