炭疽菌事件「菌タイプは米軍開発と同一」…米紙報道
【ニューヨーク3日=阪口忠義】3日付けのニューヨーク・タイムズ紙は、専門家
の話として、一連の炭疽(たんそ)菌事件で使われていた菌の粉末は、米軍がかつて
開発した超微粒子の炭疽菌とほぼ同一のものだと報じた。さらに同紙は、米連邦捜査
局(FBI)が捜査対象を軍施設などにも広げていることを指摘し、事件の背後には
米軍の生物兵器開発にかかわった人物がいる可能性を示唆している。
同紙によると、ワシントンの米上院に送られた封書に入っていた菌の粉末は、一グ
ラム当たり1兆個もの超微粒子だった。これは米軍の開発した菌と同レベルの細かさ
で、これだけの精製技術は米国以外にはないとしている。専門家によると、通常は一
グラム当たり5000億個の粒子を作成するのが限度だという。
炭疽菌は、生物兵器として実用可能にするためには微粒子にするなどの加工が必要
で、米国は1969年に生物兵器廃止を宣言するまでに、フリーズドライと化学処理
を組み合わせた超微粒子作成に成功している。今回の一連の事件で、郵便局などで菌
が検出されたのは、超微粒子の菌が封筒を通り抜け、拡散したためと見られている。