No.11

ボツになった私のユダヤ系批判記事

以上のように、アメリカの実情を報告しようとすると、とくに意識することがなくとも、こうしたユダヤ系、プロ・イスラエルに関する情報でうまってしまうことを埋解していただければありがたい。それでは個人として私は、これら偏向の現実を見て、何をして来たのか。ただ傍観していた、と思われるのも困るので、アメリカの現状をあるがままに批判したのがユダヤ系やブロ・イスラエル系のカンにさわり、活字にならなかった私の文章の一部を以下に示しておきたい。これによって、いかにアメリカのマスコミがユダヤ系、プローイスラエル系に関する記事をポッにし、広まらぬようにしているかを、逆に証明できるのではないかと思う。

○十数年前にスポットライト紙に基づいて書いた、KマークやUマークに関する記事。これは、どの媒体でも活字にされなかった。今でも多くのアメリカ人に聞いてみても、ほぼ十人が十人、そんなマークのことは知らないという。

○「アメリカの中東政策はプロ・イスラエル系に偏向しているから、アメリカ国内では、アラブについて好意的な記事は出されない。そればかりか、報道されるものと言えば、悪口や、軽蔑的なマンガ化された絵によるものばかり。あまりに失礼ではないのか」アメリカでは「アラブ人たちは異教徒で、不潔で、女性蔑視が激しく、女性を虐待し、何人もの妻を持ち、一日に何回もメッカの方向に向かって頭を床にすりつけて礼拝する」といったハリウッド製アラブ人の典型を、さらに劣等化し、国民にそのイメージを固定させている。

○「湾岸戦争で、いちばん利益を得るのは誰か?それはイスラエルであろう。アメリカに国連の同意を得させるために、小さな国々を買収したり援助金を出さないと脅したりして戦争への方針にむりやり同意させたのみならず、みずからは一人の兵も失うことなくアメリカやョーロッパの兵力を利用し、日本やドイッには資金を出させ、みずから手を下すことなくアラブ人を大量に殺害した。これはイスラエルにとって、シオニズムの拡大主義にのっとって国土を拡張し、支配力を広げるためには絶好のチャンスだった」

○「湾岸戦争はクウェートからイラク侵略軍を撤退させるためだというが、それならばなぜ、連日連夜バグダッドや他のイラクの都市を爆撃しつづけて、何万人もの罪もない一般市民を虐殺、負傷させているのか?いったい、どこにそのような必要性があるのか?すぐ戦争をやめて、話し合いをせよ」この記事について、ある新間社の編集部は、「こういう記事は反戦的スローガンであり、アメリカ議会が戦争すると決議した後では、むしろ好ましくない」と非難文さえよこした。「私は日本人で、戦争には反対だから、アメリカの方針に批判を送るのは、私の自由である。この記事を活字にするかしないかは、そちらに特権があるのだから、嫌なら私の記事をボッにすればよいでしょう。あなたはそういう意地悪をするために編集部に座っているのでしょうから」と、私も負けずに厭味を書いて出した。フリーランス・ライターのつらいところだが、フリーランスだからこそ自由に言いたい放題ができるのである。いつか芽が出ると信じてやるしかない。

○「白人系・キリスト教徒の他民族に対して示される優越感、先入観は、現在のアメリカに顕著な、アジア人蔑視、アラプ人差別からも明白である。なぜ肌の色が白くキリスト教徒だと、他民族より優秀だと言えるのか?ユダヤ系もみずからを選ばれた民と考えているが、いったい誰が歴史上、科学的にも確実に「ユダヤ系は神に選ばれた民である」と証明し、伝えたのか?その記録があるのなら読んでみたいものだ」これは私の本当の気持ちだ。もちろんボツ。印刷されるよりもボツの方が多いぐらいだ。やれやれ。

○「イスラエルが侵略して占拠しているョルダン河西岸やガザ地区のことは黙認し、イラクをクウェートから撤退させるために戦争までするのは、あきらかにイスラエルびいき、偏狭のダブル・スタンダードである。イラクに対し兵を挙げてでも撤退させるのなら、なぜイスラエルにもそのようにしないのか。不公平だ」この記事は活字になってほしいと願っていたが、やはりポツになってしまった。多くのアメリ力人たちも同様のアメリカ批判をしている。こういう正論さえボツにしてしまうのだ。これが民主主義、言論の自由を標榜しているアメリカでの実情なのだから驚きである。

○「イスラエルでユダヤ系が用いる暴力は、自由への闘いのためのものだという。パレスチナ人等アラブ人たちの用いる暴力はテロリズムだという。そんなバカな。暴力は誰が用いても暴カに変わりはない。ユダヤ系がアラブ人を殺害しても「自由への闘土」と優雅に名づけ、アラブ人がユダヤ系を殺害すればテロ暴行と罪になるのはなぜか。何を基準にしてそのようなダブルースタンダードを作り上げ、マスコミはそれを支持するのか。もっと公平にやれ」
これは出した時からボツの予感はあった。あまりにも、そのものズバリだから、ユダヤ系やプロイスラエルの人間は公表したくないのだろう。
こんなに不公平で偏ったマスコミは、世界唯一ではないだろうか。

○「イスラエルが国連協定二四二条や三三八条を完全に無視して不法占拠しているョルダン河西岸やガザから撤退しない事実を追求し、命令することもせず、イラクにはクウェートから出て行けと戦争を始めて(そのために国連投票国を脅追したり買収したりした)、イラクの何十万人もの人々を殺しておいて、それはイラク支配者の責任だとうそぶく。アメリカは平然とアラブ人抹殺イラク破壊を続けて、自分たちには何の責任もないとシラを切っている」これももちろんボツ。