2 タバコ、金塊を支配する。日本経済を破壊する

全員が一族で、全員が「タパコ」と「金塊」によるシンジケートをつくりあげていたのである。しかもそのすべての要所を支配していたのが、大伯母としてミンナ・ロスチャイルドをもつロスチャイルドー族の最も有能な財政家、ゴールドスミスであった。彼はその名前の通り、世界1の「金の細工師」であるこれを見れば、イメルダ夫人の保釈金六億円を払ったのがタパコ王のひとり娘ドリス・デュークだったのは、「仲良しだったからだ」と思う読者はいないだろう。

女性同士の仲良しを否定するわけではないが、彼女たちには、簡単には切れない結びつきがあったのだ。マルコス夫妻が、しばしばロスチャイルド家を訪れ、世話になってきたことは公知の事実である。この上の部分がドリス・デュークとイメルダ・マルコス夫人の世界である。下の部分が、ジェームズ・ゴールドスミスと、ロスチャイルド金融財閥の関係である。そこには、ウォール街のマーチャント・パンカーに混在して、日本に原爆を投下したマンハッタン計画のルーズヴェルト大統領と、マンハッタン計画を強力に進めてプルトニウム製造に乗り出した当時のデュポン会長が登場してきた。

ハンフォードの再処理工場を建設した死の商人の中心的人物である。エドワード・ビドルという名前がある。これが、同一人物である。つまり、ドリス・デュークとジェームズ・ゴールドスミスが不思議な姻戚関係を持っていたのである。ブリティッシュ・アメリカン・タパコ(BAT)というタパコ会社の現在の事業部門に、金融という大きな中核ビジネスが加わっているのは、嫌煙権運動によるタパコ産業の危機のためでなく、こうした歴史によるものである。そのドリス・デュークが、九三年一○月に八○歳でこの世を去った。

マルコスの金塊が発見さ
れたと報じられたのは、それからわずか三力月後のことであった。ちょうどよい時期である。イングランド銀行の金塊保有量の二倍を超えるというその金塊がどこから転がり出てきたのか、興味を惹かれる経過である。これほどの重い金塊が、忽然と消えてしまう事件が、しばしば発生する。一方、金塊が発見されたという報道だけで、相場が騒然となり、金価格が暴落した。

マルコスの金塊が発見されたというニュースが、創作である可能性もある。これが、いかがわしい人間が世界経済を動かしている、大実業界の実態である。金投機に関心のある方は、充分されるがよいだろう。日本から、「金」購入の言質を取りつけたG7があり、ゴールドスミスとソロスたちはそれで動いたのだという噂に根拠はないが、彼らが政治家を動かし、彼らがG7を進めていることは確かである。政界と財界が一体となったG7は、その合同会議であり、目的もなく彼らが集まる理由もない。

そのテーブルに日本人が出てゆけば、「働きアリは命今通り働き、貯めた金を出せ」ということになる。こうした金融操作の犯人を、兜町ではすでに誰もが知っている。それを「外国人投資家」という漠然とした呼び方で表現してきた。しかしこれまでの日本国内の経済分析は、ロスチャイルドとュダヤ金融というタブーにふれることをおそれて、ほとんど実態を説明してこなかったようである。前述のようなュダヤ人の悲惨な歴史と、現在のおそるべき人脈関係を深く知れば、タブーでも何でもないことである。日本の工業力は、良くも悪くも実力を持っていたが、それを「パブル崩壊」という表現で崩したのは、明らかに欧米からやってきた一群のマーチャント・パンカーだということを、銀行家たちはみな知っている。ソロモン・ブラザースが、ゴールドマン・サックスが、ベアリングが、動いた。ロスチャイルドの金融パートナーが、呼吸を合わせて働き、兜町を、そして日本経済を崩壊させたのである。