アメリカ2大政党制という欺瞞

大統領選投票不正が発覚しても問題にしない不思議なゴア陣営。
(どちらの党もなれあいか)
 
 

アメリカの2大政党制はおかしいと私が思うようになったのは、2000年11月
の大統領選挙のときからだった。フロリダ州の開票結果が僅差だったので、最終的
に両党間の「談合」で共和党のブッシュの勝利が決まったからだ。

 しかも選挙後しばらくたってから、共和党がフロリダ州で不正選挙をしたことが
判明し、調査に入った連邦公民権委員会( http://www.usccr.gov/ )も不正があ
ったと公式に発表した。だが民主党は、選挙のやり直しを党として求めていない。
一部の議員や党員が真相の徹底究明ややり直し選挙を求めても、党中央は無視して
いる。
http://www.usccr.gov/pubs/vote2000/press.htm

 この選挙不正については、ほとんど報じられていないので、少し説明が必要だろ
う。フロリダ州では、重い犯罪者には投票が許されていないのだが、この規定を州
政府が拡大解釈し、本来は投票権を与えるべきだった他州での有罪経験者なども、
公民権剥奪・投票禁止の対象にしてしまっていた。不正に投票を禁じられたのは約
6万人、大半はアフリカ系住民(黒人)で、民主党支持者が多かった。

 また、黒人が多く住む地域では、投票日に投票所の手前に臨時の警察の検問所が
設けられ、投票に行こうとする人々を止めて尋問するなど、事実上の嫌がらせをや
った。

 フロリダ州知事はブッシュ大統領の弟であるジェブ・ブッシュであり、これらの
一連の行為は、知事の部下である共和党出身の行政長官によって行われている。共
和党がフロリダでこのような選挙不正を行わなければ、わずか数百票の差だったフ
ロリダ州の選挙結果は逆転し、民主党のゴアが大統領になっていたとも思われる。

 その後、911テロ事件が起こり、この事件とその後の「テロ戦争」をめぐり、
いろいろ不合理・不透明な政策が展開されているが、民主党本部はそのあたりのこ
とについて、ほとんど問題にしていない。さる4月上旬には、民主党の下院議員で
あるシンシア・マッキニー(Cynthia McKinney)が、911事件の発生をブッシュ
大統領ら政権首脳たちが知っていた可能性があるとして調査の必要を訴えた。だが、
これも黙殺されている。
http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A34565-2002Apr11

 エンロンのスキャンダルも、徹底追及すればブッシュ政権を弾劾に追い込めるか
もしれないというのに、今年初めに盛り上がった議会民主党のホワイトハウスに対
する追及は、その後なぜか尻すぼみになっている。共和党とのつながりが深いCIA
に、民主党がどんな弱みを握られているのか知らないが、すでにアメリカの2大政
党制は健全に機能しなくなっているように見える。
02/5/09