労働と産業の操作

 
 国家産業の話になるとローゼンタールの興奮を呼び起こしたのは明らかだつた。

 『我々は労働者と経營者を対立させる事によつて社会を分斷するのに成功してきた
(注十六)。二つの問題点が発生するように見えるが、実際には三角関係だから、こ
れは我々の最も目覺ましい功績の一つだつたかもしれない。資本が存在する今の産業
は我々が示す力は最大だ。経營者も労働者もこの三角関係の基礎の上に成り立つてい
る。彼等は繼続的に互いに対立し合つていて、彼等の注意は決して問題の中心
に向けられていない。経營者は我々が資本の費用をずつと増加させ続けている
から、物価を上げざるを得ない。労働者は増加する賃金を持たなければならないし、
経營者はより高い物価を持たなければならない。そのようにして悪循環を作り出す。
我々の役目がインフレの真の理由であるが、それが理由でとがめ
られる事は決してない。何故なら経營者と労働者の対立は非常に激しいから、
どちらも我々の活動を監視する余裕がない。インフレの循環を引き起こすのは我々に
よる資本費用の増加が原因だ。我々は労働もしないし、経營もしない。

だが利益は頂く。我々の金錢操作で企業に供給する資本に何の費用もかからな
い。我々の国營銀行、則ち連邦準備銀行を通じて我々は会員銀行である全て
の地方銀行に対し帳簿上の貸付け額を拡大し、無から有を作り出
す。彼等は代わりに企業に対し帳簿上の貸付け額を拡大させる。こうして我々は
神以上に多くの事をする。何故なら我々の富は全て無から創られているから
だ。驚いたようだな! だが驚いても無駄だ! それは本当だ。我々は実際に神より
多くの事をする。この架空の資本を使つて我々は企業、経營者、労働者に借金を貸付
けた。それは借金が増えるばかりで決して無くならない。この連続的な増加によつて
我々は経營者と労働者を対立させる事が出來る。だから彼等は団結して我々を攻撃し
て來る事はないし、借金無しの産業の理想郷に辿り着く事もない。』

『我々は何の費用もかけない。だから必然的要素だ。経營者はそれ自身の資本を作り
出せるし、利益という最良の部分を維持出來る。その商売は成長するだろうし、利益
は増えるだろう。労働者も同樣に繁榮するだろう。一方、製品の物価は一定のままだ
ろうし、産業、労働、経營は連続して増加するだろう。生産者がますます利益を減ら
す一方で、我々が生産の増大部分を消費する寄生蟲である事に愚かなゴイは
決して気づいてこなかつたという事実を我々ユタヤ人は誇りに思う。』
 
 

(注十六) 社会労働運動、労働組合雇傭、物価賃金の操作、政府の商業規制は、カー
ル・マルクス、サミュエル・モンペールなどのユタヤ人の構想であつた。その結果が
「自由企業」の破壞であつた。