ホ『今迄一番大事な問題を見落としていたかもしれない。』

 ロ『いいか、ホワイト。お前がもつと質問を続けても、俺には時間は金と同じだ。
約束はしたが、お前は度を超している。録音テープにも全部入つているが、いいか、
テープやメモから知りたい事を調べるのは同意したが、テープの複製だけはどんな事
があつても駄目だ。後で消してしまえ。その約束を破つたら、ホワイト、俺逹はお前
をブつ殺してやる[訳注、原稿は、cut your b---s off となつている。恐らく、卑語のた
めに]。』

 ホ『俺逹つて他に誰ですか?』
 
 ロ『頭を働かせれば、分かる。面倒な事になりたくないだろう。俺だつてそうだ。
約束を守れ。そうすれば、誰も傷付かなくて濟む!! そろそろ殘りの額を寄越して
くれ。 いいだろう?』

 ホ『きちんと約束は守ります。このテープは話の準備以外には使用しませんと正直
にいつた筈です。誤解しないで下さい。約束は守るという事で納得した筈です。お金
はまうちよつとしたら払います。』

 ロ『ホワイト、俺には友人がいる。たくさんの奴と知り合いだ。だから奴等の事が
記事になつて欲しくない。俺がいわなかつた事で俺の責任になる記事に。お前や他の
奴等が何を考えても構はない。だが嘘が印刷されるのは御免だ。このインタビュウの
質議応答だけは。』

 ホ『その点で二人の考えは全く一致していますね、ローゼンタールさん。さぁ、ど
うかその質問に答えて下さい!!』
 
 ロ『默れ。ラス・ベガスに行く金が要るつていつただろう。』

 ホ『あなたは学校の授業で何か習つた筈です。そうでなければ、ユタヤ人が神の選民
だという話が、いつ、どうして始まつたかについて何か個人的な感情か認識を持つて
いる筈です。』

 ロ『我々は神の選民だ。』
 
 ホ『ローゼンタールさん、あなたは本当にその事を信じているんですか?』

 ロ『その事を説明出來るかもしれないが、ジェイクなら、恐らくもつといい答えを
出すだろう。』

 ホ『ジェイクとは誰ですか?』

 ロ『ジェイク・ジャビッツ。お前の知つている俺の仲間だ。俺が働くのはその男の
ためだ。頭も凄くいい。十分過ぎる程。ジェイクなら、その話の主旨に合つた、もつ
といい答えをしているかもしれない。』

 ホ『私はあなたの答えが聞きたいのです!』

 ロ『…実は、我々はお前逹とは異なる神を持つている。』

 ホ『それはユタヤ人が神の選民であるという質問の答えですか?』

 ロ『我々の神に対し、我々は選ばれし者だ。子供の頃からそう教わつてきた。』

 ホ『それはいい逃れです。あなたは私がそのような質問をした意図を知つている筈
です。あなたの答えも説明も信じません。』

 ロ『分かつた。お前が信じているものを馬鹿にしない。』

 ホ『あなたの民族はイエスキリストがユタヤ人だと信じているのですか?』

 ロ『畜生! その質問はもうしない筈だろう? その質問は終わつた。』

 ホ『それは録音機にスイッチが入る前でした。この質問の答えは録音していないと
思います。』

 ロ『全ユタヤ人のために答えられない。お前は世界中のユタヤ人が信じている事を尋ね
ているのではないか?』

 ホ『ええ。』

 ロ『ジェイクなら、もつとうまくその質問に答えるのに。』

 ホ『ジャビッツ上院議員の答えは要りません。あなたの答えが欲しいのです。』

 ロ『ホワイト、お前は何かを探つている。最初からお見通しだ。だがそんな事は構
わん。我々はお前逹とは全く異なる。お前逹は別な種だ。お前達は
我々の仲間ではない。我々がお前逹とお前逹の物を重視しないの
は隱し立てしない。』

 ホ『我々の種とは「キリスト教」の事をいつているんですか。』

 ロ『いいや、お前逹異邦人の事だ。お前逹は全て我々の敵だ。まだチビで
ガキで幼穉な時から、我々は大変賢明にもそう教はつた。何世紀も昔からユタヤ人は殆
ど全ての国から迫害され、非常にたくさんの国から追い出されてきた。それらの政府
の中には、どつちだつたか正確には思い出せないが、フランス政府かスペイン政府だ
つたと思うが、いづれにしろ、その政府はユタヤ人にキリスト教に改宗するか、さもなく
ば、国外退去するよう命じた。』

 ホ『えぇ、私もその話は何度か読んだ記憶があります。』

 ロ『フランスだつたか、スペインだつたか。』

 ホ『多分、兩方でしょう。スペインのイザベラ女王の話を鮮明に思い出します。女王
はユタヤ人の事で何と気に病んだ事か。疑わしい事でもいつも彼等に便宜を計つていま
した。女王がユタヤ人の欺瞞を完全に見破つてそうする時迄。』