第二部

 
 『ほとんどのユタヤ人は認めたがらないが、我々の神はルシファーだ。』

 それはヤコブ・ジャビッツ、当時上院議員のかつての最高祕書官であつたハロル
ド・ローゼンタールの言葉のそのままの引用である。 当時というのは、彼が一九八〇年の
選挙で敗北を喫したからである。[編注、ワイスマンの解説]
 
 私、ウォルター・ホワイト・ジュニアは、これまで十七年間、保守派の月刊誌「ウ
ヱスタン・フロント」の取締役兼編集長をしてきたが、首都ワシントンに関するロー
ゼンタールの自慢話について聞かされた。そして彼に会つて(謝礼を払い)インタビ
ュウするよう勸められた。[編注、ホワイトが殺される前の言葉]
 
 ローゼンタールはユタヤ人が全世界を完全に征服するだろうと、そして彼等が米国の
政治全てとマスコミ全体を支配していると赤裸々に述べた(ローゼンタールが強調す
る点) 。

 結局、ローゼンタールと私は一緒に会つたが、その時、彼を非公式にインタビュウ
し、ローゼンタールの理解と承諾のもと、インタビュウで語られた事をテープに録音
した。長い会談の最中、ローゼンタールはイライラし、無礼不作法で、(全てテープ
に録音されているが)私が質問を終える前に謝礼の殘金を求めた。

 インタビュウ全体は大変長いので、私逹[編注、ホワイトとワイスマン]は前述と
同じ『影の独裁者』という題で、一九七七年、第一部だけを公開し、出版した。この
原稿(第一部)のコピーは、これまで世界中から要望があつた。私逹はこれから第二
部として、録音されたインタビュウの殘りを公開する。本筋からそれるが、あるアジ
アの統計家が『影の独裁者』の原稿(第一部)は、三・五%[編注、この数字は疑
問]の読者が回し読みしてきたと教えてくれた。從つて、もし本当なら、その原稿
(第一部)は七百万人以上の人逹によつて読まれてきた事になる。この終りの部分
(第二部)が出回つている頃、その衝撃はそれをずつと上回つているかもしれない。
それは読者であるあなたにかかつている。

 約束が取り交わされる前、私は数限りない数の質問に対し完全に正直に、最大限の
努力を払つて答えるようにとローゼンタールに念を押した。インタビュウの最後の段
階でローゼンタールと対立し、彼を非難したのはこの申し合わせのためである。『猶
太人が神の選民であるという話は、いつ、どうして始まつたか御存知ですか?』とい
ふ質問に対する答えにそれが関係しているのに、彼は正直ではなかつた。これはその
時彼がいつた言葉の一部である。『ほとんどのユタヤ人は認めたがらないが、我々の神はル
シファーだ。だから私は嘘を付いていなかつた。我々はその選民だ。ルシファーは今
も活溌に生きている。』

 これが印刷に回つても、私逹はハロルド・ローゼンタールの主張を調査するため、
依然、政府の本体を探す。私の辞書によれば、そのような主張は「裏切り行爲」であ
ると出ている。

 テープ録音機のスイッチを切つての議論の後、私逹は(インタビュウを)再開し
た。

 見ての通り『ホ』のある所は、私の言葉である。『ロ』のある所は、ローゼンター
ルの言葉を指している。

 ホ『ローゼンタールさん、本当の歴史が自由に出版されるようになつたら、本当の
事が実際、表沙汰になつたら、世界の人逹はあなた方ユタヤ人に何をするとお考えです
か?』

 ロ『このインタビュウはもう終わつたと思つてた。』

 ホ『すみませんが、この質問に答えて欲しいんですが。』

 ロ『終りだ、ホワイト。叉質問攻めが始まつた。まう「石板」の事は話した。まだ
物足りないようだな。』

 ホ『どういう意味ですか?「石板」つて?』

 ロ『気にするな。どうせ分かりつこない。このキリスト教徒め!!!』

 ホ『キリスト教徒だからといつて、馬鹿にするんですか? 二人とも仕事のためを思つ
て続けてきたのではないですか?』

 ロ(ローゼンタールはぶつぶつ叫んだ!!)

 ホ『それが一体何か、どんな意味かも分かりません。今迄聞いた事もない言葉で
す。英語ですか?』

 ロ『―――――――ていつたんだ。』

 ホ『綴り字は何ですか?』

 ロ(ローゼンタールが区切つて、M―I―S―C―H―N―A―H [ミシュナ]と
いい、タルムードの基本から來ていると手短かにいう。)ローゼンタールは続けてい
ふ。これはもうよそう。結論も出たし、約束の仕事ももう終はりだ。

 ホ『私のその質問が恐いのですか?』

 ロ『俺樣を一体誰だと思つてるんだ。どんな質問も恐いわけないだろう。本を書く
のにもう十分だと思つたんだ。』

 ホ『約束の謝礼を払はなかつたわけではないでしょう?』

 ロ『ああ、確かにもらつた。だが質問し過ぎだ。まぁいい。歴史が書かれる時、世
界の人々は何を考えるかを知りたいんだな。』

 ホ『ちよつと私が出した質問と違いますが、まぁ、どうぞ。』

 ロ『人が何を考えようが勝手だ。それにそんな事が起きれば、俺とお前は死んでい
るだろう。単純に死だ。これでもういいか。』

 ホ『ローゼンタールさんからまだ答えてもらつていない質問がこのメモに、まだ
二、三殘つています。一つはかなり重要です。』

 ロ『それは何だ?』

 ホ『ナチスによつて六百万人が火葬、叉は殺されたらしいという話です。』

 ロ『それがどうした?』

 ホ『誰が、どのユタヤ人組織がそんな大嘘を考えたのか御存知ですか?』

 ロ『いや、確かな事は知らないね。とにかく、大した問題ではないと思うよ。』

 ホ『ローゼンタールさん、あなたはそれについてもつと知つている筈です。その大
嘘を信じて育つた新しい世代の事をどう思いますか? それでも大した問題ではない
つていうんですか!!』

 ロ『それは戰爭の結果だ。ヒトラーはユタヤ人を憎んでいた。だからどこかの誰かが
その数を大げさにしようと思つたんだ。その事は我々誰もが知つている。非常にたく
さんのユタヤ人がナチスによつて殺された事も。』

 ホ『第二次世界大戰が勃発した時、ドイツ全土には二十五万人以下のユタヤ人しかい
なかつた。その事をあなたは知つている筈です。何千人ものユタヤ人は既にドイツを去
つていた。』

 ロ『それがどうした? さつきもいつただろう。ユタヤ人は世界で最も悧巧な民族だ
つて。だから誰かが大きな数を考え出して、多分、殺されたユタヤ人の数が六百万人に
なる迄その数が膨らんで行つたんだ。我々はマスコミを支配している。そ
れが数の大きな違いの原因だ。さもなくば、お前逹の民族の方が大嘘を付いている事
になる。』

 ホ『あなた方は簡単にそれを片付ける。だから極悪非道と…』
 
   ここでローゼンタールは口を挾んでいつた。我が民族はお前逹の言葉や
法律より、我々の教師に理解と注意を向けるよう教わつてきた。

 ホ『あなたはアメリカに住んでいますよね、ローゼンタールさん。国の法律を守る
のは私逹の義務ではないですか? あなた方の宗教では公職に就く時、誓いを立てる
よう教えている。誓いが嫌なら、誓いを立てたという事を暗默のうちに否定した事に
なる。私は今、コル・ニドルというユタヤ人の書類のコピーを持つていますし、それら
の正しさを証明してきました(注三十三)。』

 ロ『まぁ、すべてのユタヤ人がそんな誓いを立てる仕事をするとは限らない。そう確
信する。』

 ホ『でもユタヤ人は誓いをする。しない事もあるが。ラビの承諾次第では。』

 ロ『ある程度なら。個人の役に立つなら、そうするかもしれない。』

 ホ『後ろめたくはないのですか?』

 ロ『お前逹の考え方からすると、そうかもしれない。さつきもいつただろう。お
前逹と俺は違うつて。我々は異なる人種だ。我々の信仰は全く違
う。我々はそんな風に何世紀も迫害されてきた。だから誓いを立てて破つても平気
だ。それが我々の教訓だ(注三十四)。』