ピュリーツア賞もユタヤの賞

 

 

彼は、〃ニューョーク・タイムズ〃のサルツパーガ−一族だが、その死亡記事のどこにも、「〃ニューョーク・タイムズ〃のファミリー」とは書かれていなかった。しかもジャーナリストの夢と言われるピューリッッァー賞そのものが、同じ一族のジョゼフ・ピューリッッァーの遣志から誕生したものである。ベトナム戦争で多くのすぐれた従軍記者がこの賞を受けて戦争阻止に力を発揮し、今また九四年には、アメリカの生体実験を追跡したアイリーン・ウェルサム記者が受賞したニュースが伝えられている。

その一方で、さしてすぐれた内容ではないものも、ロスチャイルド人脈の場合には受賞が可能になる。中東和平の合意に貢献した人間がノーベル賞の対象になった世界と、何と似ていることか。ロスチャイルド、サルツパーガー、ピューリッツァーはいずれもユダヤ人だが、世に言うユダヤ人ではなく、血族である。〃ワシントン・ポスト〃に君臨してきたキャサリン・グラハム女史もユダヤ人だが、この血族である。CIA副長官だったポビー・インマンをクリントン大統領が国防長官に指名したとき、この人脈のコラムニストであるウィリアム・サファイァが執勘に攻撃して辞任に追いこみ、おそらくその反撃としてクリントン大統領のホワイトウォーター事件がひき起こされたと述ぺた。

このサファイアの執拗な攻撃記事に登場したのが、〃ニューョーク・タイムズ〃のサルッバーガー本人であった。アメリカン・ジャーナリズムの活動は政治的であり、イスラェル寄りである。「国際世論」とは、ロスチャイルドの意見である。日本人がさまざまな国際情勢を知りたいとき、たとえば現地に派追された記者が「サラェポは今どうなっているか?」と尋ねるとき、「あれに訊けば分る。あれが内部を一番よく知っている」
 

と紹介される先は、ロスチャイルドの家系の人脈である。そして彼らの言葉を紙面に載せることになり、意図する意図しないにかかわらず、全体にある方向性をもったプロバガンダになってゆく。南アでは、黒人の自由な国が誕生した途端、「アバルトヘイトを廃止に追いこんだのは、金鉱山を支配するァングロ・アメリカン社など資本家の勇断だった」という解説が日本だけでなく全世界に流布されたが、これは、南アをレポートした世界的ジャーナリスト、アンソニー・サソブソンの著書『ブラック・アンド・ゴールド』と、その一派の特派員の巧みな筆さばきに一杯食わされた結果である。

本来は、現地で生活しながら内容を検証すれば、巨大な嘘に気づくはずである。危険な極右白人を雇ってきたのがロスチャイルド財閥のァングロ・アメリカン社であり、犯罪の世界では通常こうした存在を〃主犯〃と呼ぶはずではないか。ところが南アの間題では、同社の使用人のアプリカーナーが主犯にされてきた。このすり替えをおこなったサンプソンこそ、ロスチャイルド家の高級クラブに出入りしてきたジャーナリストである。

問題は、そうしたファミリーに近づきすぎた日本人ジャーナリストやラィターが増えてきたことである。彼らから知識や内情を盗んで、真相を追求するために接触することは、大いに推奨したい。しかし最近見られるのは、彼らに取りこまれている得体の知れない「外国通」である。そうした意見はあってもよいが、あまりに偏りすぎてきた。こうした事惰を知らず、「これが国際世論だ」などと思いこむことが、今の日本では大きな落とし穴である。つまり「国際貢献」をしろとか、ガットで米の開放をしなければいけない、などという意見は、ァメリカでも、世界じゆうを歩いても、普通の人びとの意見ではない。軍需産業の復活を願っている、きわめて危倹な少数集団の意見だ、ということを見抜かなければ、日本人はとても国際人
 

として認められないだろう。一笑に付すべきことと、真剣に向かうぺき問題が、日本の政治集団には分っていない。このロスチャイルドによるジャーナリズム支配は、新聞や通信社だけの話ではない。すでに示したように、各国の主要なテレビ局の一多く、それに大手出版社も、やはりロスチャイルド家の「広告塔」である。問題は、この見えない力がわれわれの目の前で‐−日本で−−どのように具体化されたか、である。以下に、その生々しい現実の記録がある。