ここでユダヤ人というのは、パリサイ派によって乗っ取られ、変質せしめられたユダヤである。ユダヤ人のなかでパリサイ派の欺瞞に抵抗したのは、イエス・キリストの一派(彼らは、ユダヤの枠を超え、すべての国民に布教した)のみではない。モーゼの律法を堅持して、パリサイ派の秘密結社の策謀に反対する人々は、カライ派(「カラ]律法」を信奉するもの)を結成した。彼らは、バイプルのほかに聖書を認めず、タルムードを拒否する。キリスト教徒に対してはきわめて好意的であった。
パリサイ派は、この人々を迫害し、虐待した。パリサイ派の構築したユダヤ教の枠組は次のごとき三重構造になっている。第一にモーゼの律法を捨て、エホバの神も否定した悪魔教である。しかしこれは秘密であり、パリサイ派の指導層にのみ伝えられる。これがカバラである。第二にカバラの悪魔的精神を具体化した文書で、タルムードという。これは、パリサイ派の指導下のユダヤ人のみに伝える。第三に二世紀から二仕紀にかけて、カバラ=タルムードに合わせて偽造されたトーラー(いわゆる旧約聖書)である。(エレミヤはこの考えには同調しない)これは、パリサイ派の外部に向けられた顔である。この偽造された旧約聖書の員に、キリスト教徒とイスラム教徒をおぴき寄せる算段である。原始キリスト教会が〃ユダヤ人は悪魔の民となった〃と規定したとき、彼らにはまだ、この構造全体が見えてはいなかったにしても、その本筋は正しかったのだ。