ロスチャイルドー世(メイアー・アムシェル)は、このウイリアム九世の財産の
一部を横領したのだ。これが、ロスチャイルド家の財産の基礎である。ノイアー・アムシェルは、一七七○年に、グーテル・シナーペルと結婚し、五人の息子と五人の娘ができた。長男アムシェル・メイアー(一七七三−一八五五年)はフランクフルトにとどまり、次男ソロモン・ノイアー(一七七四−一八五一年)はウィーンに派遣され、三男ナターン・ノイアー(一七七七〜一八三六年)はロンドンヘ、四男力−ル・メイアー(一七八八〜一八五五年)はナポリに、五男ヤコプ(ジェイムス)・ノイアー(一七八八〜一八六八年)は、パリに、それぞれ、ロスチャイルド財閥の確固たる地盤と巨富を築いた。なかでもメイアー・アムシェルが死んだとき、彼は「吉今未曽有の世界最高の財産」を残したといわれる。これが、ユダヤ世界帝国の最初の挑躍台となったのだ。アムシェル(ロスチャイルドー世=皇帝)が死ぬと、ロンドン支家の三男、ナターンがあとを継いでロスチャイルドニ世となった。ナターンの死後は、アムシェルの五男、パリ・ロスチャイルド家の創設者、ジェームス(男爵)が後継者(ロスチャィルド三世)に選ぱれた。そのあとは、男爵アルフォンス(四世)、ジェロボーム(のちジョルジ・マンデルと改名、五世)と続いているらしいが、そのあたりから闇の中に包まれていく。『プロトコール』は、このロスチャイルドの支配と指導を表現しているのだ。