戦略的必要上、このモルガンがキリスト教徒、あるいはアングロサクソンであるかのごとき擬
装をしていたことはありうる話だ。J Pモルガン商会がニューョークに設立された一八七一年といえぱ、南北戦争が終結し、アメリカに本格的な産業革命の嵐が吹きまくる時代の幕明けの頃だ。モルガン商会は鉄道およぴ鉄鋼に対する金融業で大富豪となった、というのが定説だが、いったいJP モルガンは、その莫大な没資の資金をどこから工面してきたのか。それは、ロスチャイルドその他のョーロッパのユダヤ銀行家からである。一九七○年代になって、英仏ロスチャイルド家が見る影もなく没落したことを嘆き、ロスチャイルドは百年前にアメリカ進出をすべきであったと悔やんでいる、などとロスチャイルド側の宣伝文書は語ってみせるが、これは子供だましにもならない。
百年前、ロスチャイルドはロンドンから、子飼いのJ Pモルガンを派遣し、ドイツからは、ヤコプ・シッフ、ヴァールプルクなど、腕利きの番頭・手代を送り込んでいる。モルガンに与えられた任務は、金融を通じてアメリカの新興産業をユダヤ・ロスチャイルドの傘下に収めることである。ロスチャイルドが直接乗り込むのは、アメリカ人側の抵抗が大きすぎる(なぜなら、単純なアメリカ人はイギリスに反抗し、反逆して独立したというプライドを持っているから)とみて、彼らは腹心の部下を使う戦略をとっただけのことだ。そしてこの戦略は、彼らの予定どおり、計画したとおりに、あるいはそれ以上に成功した。