■民族紛争に手を貸し、新生児破傷風を無視する殺し屋たち

 その後、同じ年に、異宗教間平和会議がイタリアの、ヘラッジオというところで会合をもち、一九
三二年提案とマクナマラ文書などを討議した。「グローバル二〇〇〇」大量殺りく計画を直接行動で拡大しょうという最初の徽候は、イギリス情報局が中央アフリカの国ルワンダに対して起こした行動
に表れた (この悲劇について後に触れる)。マクナマラ論文とベラッジオ会議の結果としてのもうひとつの直接行動は、古くからの国家であるイラクへのいわれなき攻撃であり、これは 「三〇〇人委員会」が命令したものだった。

 およそ一五万人の若いイラク兵が、父親となる能力をもちながら、屠殺人ジョージ・ブッシュの
手で殺された。くわえて一般のイラク国民も、少なくとも一〇〇万人が死んだ。アメリカが焚きつ
け、国連が実施した対イラク経済封鎖のためだ。イラクでの国連の副コーディネーターだったヴィ
クト・ウォールルースは一九九五年五月一七日、国際赤十字に対してこう語った。
 

  「イラクの一般国民は危険な状態だ。こちらの食料備蓄はもう空だ。何もない。……パイプラ
  インにも何もないんだ」
 

 これは 「グローバル二〇〇〇」拡大の一例に過ぎない。もうひとつ例をあげれば、ボスニアでお
こなわれている大量虐殺だろう。これまでに少なくとも二五万人が 「民族浄化」 で生命を失ってい
る。それ以前には対クロアチア戦争があった。西側諸国はこのとき、戦争を止めるために指一本動
かそうとしなかったし、未だに何もしていない。チェチェンでも四万人以上が生命を落としている
し、さらにはアルメニア・アゼルパイジャン紛争でもこれまでに五万人以上の生命が失われている。
こういった地域戦争はすべて、ベラッジオ会議の結果であり、延長だ。ベラッジオ会議では民族紛
争がことのほか好まれた。マクナマラはじめグローバル二〇〇〇の実行者によって 「望ましくない」
とされた多くの人間の、種類も数も減らすのに役立つからだ。
 つぎに、多くの新しい伝染病について考えねばならない。昔からの病気でも、世界のCAB (化
                                                                                      
学・生物兵器)戦争研究所で「アップデート」されたものは、さらに多い。くわえて、金をかけて
大量にばらまくまでもないとされた病気で、治療もせず見て見ぬ振りをされているものもある。こ
の点については新生児破傷風をあげておく。これはインド、バングラデシュ、中国、パキスタン、
ナイジェリア、ザイール、ソマリア、ガーナなど、世界の貧困国では幼児死亡原因のトップにくる
ものだ。破傷風の類竜素注射をすれば感染は防げるのだが、こういった国々は国際通貨基金(IM
F) に凌辱され、自国民のための薬品を買う金もない。

 そのうえアフリカの一定の国、名前をあげればジンパブエと南アフリカは、エイズの大発生に直
面している。ジンバブエでは、エイズの伝染が恐るべき割合に達し、町には埋葬する土地がなくな
ってしまい、葬儀屋はエイズの犠牲者を三人一緒に、折り重ねるようにして埋葬しなければならな
いという。軍隊の半分はHIVに感染しており、エイズは五歳以下の児童の最大の殺し屋となって
いる。

 情報筋の報告によれば、エイズの蔓延でジンパブエの子供の優に半分が孤児になるといい、ジン
パブエの人口一一〇〇万人のうち、少なくとも一〇〇万人がHIVに感染しているという。南アフ
リカでも、HIVの陽性反応が確認された件数が、一九八九年の五万人から、一九九五年には一〇
〇万人にまでなっている。しかもソウェトでは、新たなHIV感染が一日に五〇〇件にのばってい
る。

 こういった恐るべき展開は、アフリカ大陸全土を脅かしているにもかかわらず、主なメディアに
は報道されていない。まるで注目する価値もないかのようだ。エイズがアフリカ全土を大手を振っ
てのし歩いているという事実に、メディアの巨人たちはほとんど関心がないように思える。これは
もちろん、計画的なことだ。