以下は、集英社「地球のゆくえ」広瀬隆よりの引用
ー引用始めー
それが、ロスチャイルド財閥というものだからである。間題はこのような儀式で
なく、バレスチナ人がまともな生活をできるかどうかにある。ユダヤ金融財閥ロス
チャイルドの掌中で事がおこなわれてきただけに、ァラプ人が不利になることは
目に見えている。ヘブロンの虐殺があって、このまま順調に進むかどうか、きわめ
て疑わしい。イスラエルが不法に占領している広大な地域のうち、ゴラン高原や
ガザなどでは、身勝手な論理を狂気のように叫んでユダヤ人がバレスチナ人に襲い
かかる光景が、日常のように繰り返され、それをイスラェルの国家が黙認してき
た。しかもパレスチナ難民の帰還を、イスラェルはほとんど認めていないので
ある。アラブ人が住んでいた聖都エルサレムも、ユダヤ人は絶対に返還しない
と言っているのだ。
こうした、どこを見ても不条理の横行するユダヤ人世界が目の
前にあるとき、バレスチナ人が身を守るために立ちあがれば、全世界がそれを
「イスラム原理主義者」と報道するのは、一体どうしてなのか。こうした殺人を
「中東和平」と呼ぶのであろうか。確かに、社会学的には、和平合意による経済
発展が進めば、いずれ何年かのちには中東に平和がやってくる可能性はある。
しかしパレスチナ人は、社会学をやるために生きているのではない。毎日、子供を
含めて家族が殺されてゆく経過が社会学だというのであれば、そのょうな状態は、
いま子供が生きているあいだに全面的に否定しなければならないものである。
和平
合意の動機は何であったのだろう。イスラェルが和平に動いた理由として、さまざ
まなきっかけや原因はあるが、最大の問題は、イスラェル経済が追いつめられてい
たからである。イスラェルという国家は、観光と軍需産業とダイヤで成り立ってき
た。このうち観光と軍需産業が、巨額の損害を記録していた。パレスチナ全土に
広がる聖地観光は、聖書にあるガリラヤ、ナザレ、ベッレヘム、ェルサレム、死海
などで世界的なものだったが、特に湾岸戦争後に再び高まったアラプの低抗運動
〃インティファーダ〃の影響で、アメリカ・ヨーロッパからの観光客が紛争に巻き
こまれることをおそれて、巡礼に来なくなっていた。軍需産業も、東西冷戦の終結によって世界じゆ
うの死の商人が不況で崩壊しつつあり、イスラェルも例外ではなか
った。もし、イスラェル経済が破綻すれば、ユダヤ財閥ロスチャイルド家も大きな
打撃を受ける。それを避けるためには、和平に動かざるを得なかったのである。
ー引用終わりー