No.167  7つの頭と10の角の獣

”テキスト:ヨハネの黙示録 13:1 また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。
2 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口はししの口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。
3 その頭のうちの一つは打ち殺されたかと思われたが、その致命的な傷も直ってしまった。そこで、全地は驚いて、その獣に従い、
4 そして、竜を拝んだ。獣に権威を与えたのが竜だからである。また彼らは獣をも拝んで、「だれがこの獣に比べられよう。だれがこれと戦うことができよう。」と言った。
5 この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。”

本日は「7つの頭と10の角の獣」という題で黙示録に記された「7つの頭と10の角の獣」について見ていきたいと思います。

多くの人がこの獣はローマ帝国をさすと解釈します。
しかし、これはある意図をもって流された偽りの解釈であり、聖書を素直に読んでいけば、その
ような結論に至る余地はありません。「この獣はローマであり、淫婦バビロンはローマカソリックであり、終末の日に裁きに会うのは、カソリックの人々だけだ。」という、手前勝手なプロテスタントの偽預言者、偽教師の教えの一部がこの「獣=ローマ帝国説」です。
しかし、実際は、この獣はローマ帝国のみをさすものではなく、またこの淫婦バビロンはローマカソリックのみをさすものではありません。かえって、プロテスタントの教会への裁きを示すものです。
このことを今日は見ていきたいと思います。

冒頭のテキストを順に見ていきたいと思います。

”1 また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。”

ここで一匹の獣が記されています。そして、この獣が聖徒達を迫害します。さて、この「十本の角と七つの頭」を持つ獣について考えてみます。この7つの頭は歴史的な7人の王をさすことはわかります。それでは、この7人の王の最初の王は誰なのでしょうか。それを見ていきたいと思います。このことを見ていく時、一つのヒントは「獣」ということばです。聖書の中で「獣」になった王について見てみましょう。
以下の記述がその王の記述です。

”ダニエル4:
19 そのとき、ベルテシャツァルと呼ばれていたダニエルは、しばらくの間、驚きすくみ、おびえた。王は話しかけて言った。「ベルテシャツァル。あなたはこの夢と解き明かしを恐れることはない。」ベルテシャツァルは答えて言った。「わが主よ。どうか、この夢があなたを憎む者たちに当てはまり、その解き明かしがあなたの敵に当てはまりますように。
20 あなたがご覧になった木、すなわち、生長して強くなり、その高さは天に届いて、地のどこからも見え、
21 その葉は美しく、実も豊かで、それにはすべてのものの食糧があり、その下に野の獣が住み、その枝に空の鳥が宿った木、
22 王さま、その木はあなたです。あなたは大きくなって強くなり、あなたの偉大さは増し加わって天に達し、あなたの主権は地の果てにまで及んでいます。
23 しかし王は、ひとりの見張りの者、聖なる者が天から降りて来てこう言うのをご覧になりました。『この木を切り倒して滅ぼせ。ただし、その根株を地に残し、これに鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置き、天の露にぬれさせて、七つの時がその上を過ぎるまで野の獣と草を分け合うようにせよ。』
24 王さま。その解き明かしは次のとおりです。これは、いと高き方の宣言であって、わが主、王さまに起こることです。
25 あなたは人間の中から追い出され、野の獣とともに住み、牛のように草を食べ、天の露にぬれます。こうして、七つの時が過ぎ、あなたは、いと高き方が人間の国を支配し、その国をみこころにかなう者にお与えになることを知るようになります。
26 ただし、木の根株は残しておけと命じられていますから、天が支配するということをあなたが知るようになれば、あなたの国はあなたのために堅く立ちましょう。
27 それゆえ、王さま、私の勧告を快く受け入れて、正しい行ないによってあなたの罪を除き、貧しい者をあわれんであなたの咎を除いてください。そうすれば、あなたの繁栄は長く続くでしょう。」
28 このことがみな、ネブカデネザル王の身に起こった。
29 十二か月の後、彼がバビロンの王の宮殿の屋上を歩いていたとき、
30 王はこう言っていた。「この大バビロンは、私の権力によって、王の家とするために、また、私の威光を輝かすために、私が建てたものではないか。」
31 このことばがまだ王の口にあるうちに、天から声があった。「ネブカデネザル王。あなたに告げる。国はあなたから取り去られた。
32 あなたは人間の中から追い出され、野の獣とともに住み、牛のように草を食べ、こうして七つの時があなたの上を過ぎ、ついに、あなたは、いと高き方が人間の国を支配し、その国をみこころにかなう者にお与えになることを知るようになる。」
33 このことばは、ただちにネブカデネザルの上に成就した。彼は人間の中から追い出され、牛のように草を食べ、そのからだは天の露にぬれて、ついに、彼の髪の毛は鷲の羽のようになり、爪は鳥の爪のようになった。
34 その期間が終わったとき、私、ネブカデネザルは目を上げて天を見た。すると私に理性が戻って来た。それで、私はいと高き方をほめたたえ、永遠に生きる方を賛美し、ほめたたえた。その主権は永遠の主権。その国は代々限りなく続く。”

「人から獣」にされた王はバビロンのネブカデネザル王です。ですから、黙示録の7人の王の最初はこの国、バビロンであるといえます。また彼に関して「七つの時がその上を過ぎるまで野の獣と草を分け合うようにせよ。」と命令されています。この「7つの時」は「7人の王」と符号します。ですから、
この面からも「7人の王」はバビロンの時から始まるといえます。

また、このように書かれています。

” その期間が終わったとき、私、ネブカデネザルは目を上げて天を見た。すると私に理性が戻って来た。それで、私はいと高き方をほめたたえ、永遠に生きる方を賛美し、ほめたたえた。その主権は永遠の主権。その国は代々限りなく続く。”

「その期間が終ったとき」とは7つの時が過ぎ、王が獣の状態から、解放される時です。
「7つの頭と10の角の獣」の時代、これは黙示録の時代が過ぎ去る迄は起こりません。ですから、「すると私に理性が戻って来た。それで、私はいと高き方をほめたたえ、永遠に生きる方を賛美し、ほめたたえた。その主権は永遠の主権。その国は代々限りなく続く。」とは、終末の時代が過ぎ去った後の時代のことです。

”2 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口はししの口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。”

この獣のもう一つの特徴は、「ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口はししの口のようであった」
ことです。これらの「ひょう、熊、しし」という特徴はこの獣を特定する鍵となります。聖書の中で、これらの「ひょう、熊、しし」について記してある個所があります。

”ダニエル7:1 バビロンの王ベルシャツァルの元年に、ダニエルは寝床で、一つの夢、頭に浮かんだ幻を見て、その夢を書きしるし、そのあらましを語った。
2 ダニエルは言った。「私が夜、幻を見ていると、突然、天の四方の風が大海をかき立て、
3 四頭の大きな獣が海から上がって来た。その四頭はそれぞれ異なっていた。
4 第一のものは獅子のようで、鷲の翼をつけていた。見ていると、その翼は抜き取られ、地から起こされ、人間のように二本の足で立たされて、人間の心が与えられた。
5 また突然、熊に似たほかの第二の獣が現われた。その獣は横ざまに寝ていて、その口のきばの間には三本の肋骨があった。するとそれに、『起き上がって、多くの肉を食らえ。』との声がかかった。
6 この後、見ていると、また突然、ひょうのようなほかの獣が現われた。その背には四つの鳥の翼があり、その獣には四つの頭があった。そしてそれに主権が与えられた。
7 その後また、私が夜の幻を見ていると、突然、第四の獣が現われた。それは恐ろしく、ものすごく、非常に強くて、大きな鉄のきばを持っており、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは前に現われたすべての獣と異なり、十本の角を持っていた。”

この個所を見ていきます。

”4 第一のものは獅子のようで、鷲の翼をつけていた。見ていると、その翼は抜き取られ、地から起こされ、人間のように二本の足で立たされて、人間の心が与えられた。
5 また突然、熊に似たほかの第二の獣が現われた。その獣は横ざまに寝ていて、その口のきばの間には三本の肋骨があった。するとそれに、『起き上がって、多くの肉を食らえ。』との声がかかった。
6 この後、見ていると、また突然、ひょうのようなほかの獣が現われた。その背には四つの鳥の翼があり、その獣には四つの頭があった。そしてそれに主権が与えられた。”

ここにダニエルの見た4頭の獣があります。この4頭は「獣」なのです。ですから、
黙示録の「7つの頭と10の角の獣」と通じる部分があります。
そして、もう一つの共通点があります。ここに、「獅子、熊、ひょう」ということばが出てきます。これは他でもない、黙示録の「7つの頭と10の角の獣」の特徴、「獅子、熊、ひょう」と同じなのです。
ですから、ここではっきりわかることがあります。黙示録の「7つの頭と10の角」の獣は
この4頭の獣とおなじものだということです。
これらの4頭の獣はチェーンバイブルによれば、獅子はバビロン、熊は メデヤペルシャ、ひょうは
ギリシャだということです。ですから、黙示録の獣の7つの頭の中にはこれらのバビロン、メデヤペリシャ、ギリシャが含まれることが分かるのです。決してローマ帝国のみをさすのではありません。

さて、この第一の獅子について、「獅子のようで、鷲の翼をつけていた。」と書かれています。
これは、先程のネブカデネザルに関する記述と関連があるようです。ここに鷲について書いてあるからです。

”33 このことばは、ただちにネブカデネザルの上に成就した...ついに、彼の髪の毛は鷲の羽のようになり、爪は鳥の爪のようになった。”

ですから、この面からも7つ頭の獣の時はバビロンから始まるのです。

”7 その後また、私が夜の幻を見ていると、突然、第四の獣が現われた。それは恐ろしく、ものすごく、非常に強くて、大きな鉄のきばを持っており、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは前に現われたすべての獣と異なり、十本の角を持っていた。”

この4頭の獣のうち、4番目の獣は10本の角を持っていました。ですから、この面でも、この4頭の獣は黙示録の「7つの頭と10の角を持つ獣」と同じだということがわかります。

さて、この「7つの頭と10の角を持つ獣」について黙示録の他の個所を見ます。

”黙示録17:
3 それから、御使いは、御霊に感じた私を荒野に連れて行った。すると私は、ひとりの女が緋色の獣に乗っているのを見た。その獣は神をけがす名で満ちており、七つの頭と十本の角を持っていた。
4 この女は紫と緋の衣を着ていて、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものや自分の不品行の汚れでいっぱいになった金の杯を手に持っていた。
5 その額には、意味の秘められた名が書かれていた。すなわち、「すべての淫婦と地の憎むべきものとの母、大バビロン。」という名であった。
6 そして、私はこの女が、聖徒たちの血とイエスの証人たちの血に酔っているのを見た。私はこの女を見たとき、非常に驚いた。
7 すると、御使いは私にこう言った。「なぜ驚くのですか。私は、あなたに、この女の秘義と、この女を乗せた、七つの頭と十本の角とを持つ獣の秘義とを話してあげましょう。
8 あなたの見た獣は、昔いたが、今はいません。しかし、やがて底知れぬ所から上って来ます。そして彼は、ついには滅びます。地上に住む者たちで、世の初めからいのちの書に名を書きしるされていない者は、その獣が、昔はいたが、今はおらず、やがて現われるのを見て驚きます。
9 ここに知恵の心があります。七つの頭とは、この女がすわっている七つの山で、七人の王たちのことです。
10 五人はすでに倒れたが、ひとりは今おり、ほかのひとりは、まだ来ていません。しかし彼が来れば、しばらくの間とどまるはずです。
11 また、昔いたが今はいない獣について言えば、彼は八番目でもありますが、先の七人のうちのひとりです。そして彼はついには滅びます。
12 あなたが見た十本の角は、十人の王たちで、彼らは、まだ国を受けてはいませんが、獣とともに、一時だけ王の権威を受けます。”

順に見ます。

”3 それから、御使いは、御霊に感じた私を荒野に連れて行った。すると私は、ひとりの女が緋色の獣に乗っているのを見た。その獣は神をけがす名で満ちており、七つの頭と十本の角を持っていた。”

この女は淫婦バビロンであり、この女は「七つの頭と十本の角」を持つ獣に乗っています。
この女とこの獣は関係があることがわかります。
 

”5 その額には、意味の秘められた名が書かれていた。すなわち、「すべての淫婦と地の憎むべきものとの母、大バビロン。」という名であった。”

この女は裁かれるべき神の民です。そして、その名前は「大バビロン」といいます。
ですから、彼女の本質は遠く「バビロン」の時代に発していることがわかります。

そして、何故、彼女が裁かれるべき存在になったのか、それは「七つの頭と十本の角」を持つ獣、すなわちバビロンを始めとする国と姦淫を行ったからです。

”9 ここに知恵の心があります。七つの頭とは、この女がすわっている七つの山で、七人の王たちのことです。”

この7人の王に関して「ローマ帝国の7人の皇帝」だという人がいますが、
それは恣意的な解釈だと思います。これは、バビロン、メデヤペルシャ、ギリシャ等の7つの国に関していっているのです。7人の王と書いてあるから、7人の個人(皇帝)をさすという人もいますが、
そうとは限りません。何故なら、例えば、以下の例では「4人の個人の王」ではなく、
4つの国をさすからです。

”ダニエル7:17 「これら四頭の大きな獣は、地から起こる四人の王である。」”

この場合、「4人の王」とは具体的には、バビロン、メデヤペルシャ、ギリシャ等の4つの国をさし、4人の個人をさしているわけではありません。ですから、同じ意味合いで7人の王とは、7人の個人をさすわけではありません。むしろ「ペルシャの君」「ギリシャの君」(ダニエル10章)というようにその国の「強い者」をさすととった方が妥当なようです。

”10 五人はすでに倒れたが、ひとりは今おり、ほかのひとりは、まだ来ていません。しかし彼が来れば、しばらくの間とどまるはずです。”

この7人の王、7つの国のうち、使徒ヨハネの時には5人がすでに倒れています。そして、
「ひとりは今おり」とはローマ帝国をさすのでしょう。それは、6番目です。
そして、「ほかのひとりは、まだ来ていません。」ですから、7番目の国はヨハネの時にはまだきていなかったのです。今のEUがその国になるのでしょうか。

”11 また、昔いたが今はいない獣について言えば、彼は八番目でもありますが、先の七人のうちのひとりです。そして彼はついには滅びます。”

ここは意味不明です。
ただ、わかることは、ここもローマの皇帝のことなど決していっていないということです。
この節はこれから起きることがらについて書かれているのかもしれません。誰か意味のわかっている人は教えて下さい。

終末における主のみこころを行っていきたいと思います。

ー以上ー