通算No.57 終末の偽教師

テキスト: 2ペテロ1:19ー2:2
”19 また、私たちは、さらに確かな預言のみことばを持っています。夜明けとなって、明けの明星があなたがたの心の中に上るまでは、暗い所を照らすともしびとして、それに目を留めているとよいのです。
20 それには何よりも次のことを知っていなければいけません。すなわち、聖書の預言はみな、人の私的解釈を施してはならない、ということです。
21 なぜなら、預言は決して人間の意志によってもたらされたのではなく、聖霊に動かされた人たちが、神からのことばを語ったのだからです。
1 しかし、イスラエルの中には、にせ預言者も出ました。同じように、あなたがたの中にも、にせ教師が現われるようになります。彼らは、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込み、自分たちを買い取ってくださった主を否定するようなことさえして、自分たちの身にすみやかな滅びを招いています。
2 そして彼らは、貪欲なので、作り事のことばをもってあなたがたを食い物にします。彼らに対するさばきは、昔から怠りなく行なわれており、彼らが滅ぼされないままでいることはありません。”

終末には教会の中に偽教師が出ると書かれています。今日はこのことに関してみていきたいと思います。
上記のテキストは終末に関して書かれたものです。このテキストから偽教師に関して聖書が語っていることをみていきたいと思います。

”さらに確かな預言のみことばを持っています。”

ここでこのように語られています。終末に起きることがらに関しては確かな聖書の預言がある。これは終末の預言のことばである。これを自分達のともしびとして目を留めろということです。

”それには何よりも次のことを知っていなければいけません。すなわち、聖書の預言はみな、人の私的解釈を施してはならない、ということです。”

しかし、この終末の預言に関連してペテロは一つ注意事項を与えています。それは私的解釈ーすなわちそのテキストからのみ解釈するな、他の箇所をも参照せよということです。逆にいうとその聖書からのみいろいろと解釈する人、そのような人は偽教師になる可能性が高いのです。

”しかし、イスラエルの中には、にせ預言者も出ました。同じように、あなたがたの中にも、にせ教師が現われるようになります。”

ここで、ペテロは変わった書きかたをしています。単に”あなたがたの中にも、にせ教師が現われるようになります。”とはいわず、”しかし、イスラエルの中には、にせ預言者も出ました。同じように、あなたがたの中にも、にせ教師が現われるようになります。”といっているのです。
偽教師とともにイスラエルの偽預言者のことに言及しているのです。

復習します。ここで聖書を書かれた神は偽教師に関連して2つのことを語っています。
1 預言は私的解釈ーそのテキストからのみ解釈するなといっている。
2 偽教師と関連してイスラエルの偽預言者について言及している。

それで、私は偽教師に関して神はこのように語られているように思います。
1 偽教師について正しく理解するためには、このペテロの手紙の箇所のみでなく、他の箇所をも参照すべきであること。
2 特にイスラエルの偽預言者に関する記述にヒントがありそうであること。

それで、旧約の偽預言者についてみていきます。

さて、旧約の偽預言者をみて、はっきりわかることがあります。それは、ミカヤの時にしてもエリヤの時にしても、偽預言者の数の方が圧倒的に多いことです。しかも彼等は権力者側の働き人であり、王にも民にも認められているのです。
一つずつ見ていきましょう。

1)エリヤの時を見て下さい。バアルの預言者は450人、アシエラの預言者は400人です。そして彼等はその時の王アハブまたイゼベルに認められた預言者です。彼等は神の民の体制側であり、民にも認められていたのです。それに反して主の預言者はエリヤが”私一人が主の預言者として残っている”といっている通り非常に少数です。

2)ミカヤの時も偽りの預言者の数は400人と圧倒的多数でした。正しい預言者はミカヤ一人でした。そして、その偽預言者達のことばにしたがって出ていったアハブ王はラモテギルアデで戦死するのです。

2歴18:18ー22
”18 すると、ミカヤは言った。「それゆえ主のことばを聞きなさい。私は主が御座に着き、天の万軍がその右左に立っているのを見ました。
19 そのとき、主は仰せられました。『だれか、イスラエルの王アハブを惑わして、攻め上らせ、ラモテ・ギルアデで倒れさせる者はいないか。』すると、ある者は一つの案を述べ、他の者は別の案を述べました。
20 それから、ひとりの霊が進み出て、主の前に立ち、『この私が彼を惑わします。』と言いますと、主が彼に『どういうふうにやるのか。』と尋ねられました。
21 彼は答えました。『私が出て行き、彼のすべての預言者の口で偽りを言う霊となります。』すると、『あなたはきっと惑わすことができよう。出て行って、そのとおりにせよ。』と仰せられました。
22 今、ご覧のとおり、主はここにいるあなたの預言者たちの口に偽りを言う霊を授けられました。主はあなたに下るわざわいを告げられたのです。」”

ここで興味深いことが書かれています。ここで、ひとりの霊がすべての預言者の口で偽りを言う霊となったことが書かれています。預言者は多くても霊は一人なのです。400人の預言者がいて、それぞれが違うことを言っているわけではないのです。皆同じことをいうのです。ですから、終末の日に多くの預言者ー教師が皆同じように間違えても驚くにはあたりません。

3)また、エレミヤの時もそうです。エレミヤを非難する祭司達の数の方が圧倒的に多く、彼等は体制派であり、民も彼等を認めていたのです。主についていた預言者はエレミヤであり、その数は全く少ないのです。

エレミヤ26:6,7
”7 祭司と預言者とすべての民は、エレミヤがこのことばを主の宮で語っているのを聞いた。
8 主がすべての民に語れと命じたことをみな、エレミヤが語り終えたとき、祭司と預言者とすべての民は彼を捕えて言った。「あなたは必ず死ななければならない。”
 

4)また、主イエスの時もそうです。真の預言者であるイエス、そして、それを非難する多数のパリサイ人、律法学者達。彼等は多数派であり、民も彼等の権威を認めていました。しかし、彼等こそにせ預言者、にせ教師の型なのです。

私たちがにせ預言者、にせ教師という時、持つイメージはどんなものでしょう。多数の正当的な牧師、
信者の群れ、そこに潜りこんでくる間違った教理を持った、少数のにせ預言者、教師。
そんなイメージではないでしょうか。しかし、聖書の語る偽預言者の姿は全く逆です。全く逆なので、にわかには信じ難いのですが、しかし常に聖書の語ること、神の語ることが正しいことを覚えていきましょう。

このように見ていくとき、偽預言者、すなわちにせ教師の共通事項が出てきます。
1 彼等は多数派であり、体制派であり、民からも王からも認められている。
2 彼等は正統派であり、自分達が間違っているとはつゆほども思っていない

驚くべき共通事項が出てきます。しかし、聖書はにせ教師に関してこのように語っているのです。繰り返すようですが、にせ教師、にせ預言者のことを聖書的に正しく理解するには一つのテキストからのみでは理解できません。一つのテキストからの印象では、終末のにせ教師ときけば、誰でも忍び込んでくる少数の異端の人々、こんなふうに解釈してしまうかもしれません。それが、このペテロの手紙の箇所に私的解釈ーそのテキストのみから解釈しないことについて書かれている理由の一つです。

そして、イスラエルの偽預言者を調べていく時、上記のような今の常識とは全く逆の結論にいたってしまうのです。

私はこう思っています。終末において、真に正しく語る預言者ー教師は少ない、逆に圧倒的ににせ預言者の方が多くなるのではないか。

にせというといかにも意図してうそをいっているようです。しかし、このことばには、まちがえるというニュアンスがあります。すなわち、多くの教師は間違ったものをとらえてしまい、そしてそれが全く正しいと思い込むわけです。

パリサイ人や律法学者達をみて下さい。彼等はイエスを非難することは全く正しい、聖書的だと確信していたのです。

主はある日、パリサイ人やサドカイ人のパン種に気をつけるようにいわれました。そして別のときには女が3斗の粉にパン種をまぜると粉全体がふくらむといわれました。この2つの話をあわせるとこのことがわかります。パリサイ人やサドカイ人のパン種、すなわち教えは粉全体すなわち教会全体に広がるという預言を主はされたのです。

主の預言が正しければ終末の教会にはそのパン種がいきわたり、教会のすみずみまで、パリサイ人やサドカイ人の教え、すなわち、偽善や理性的、人間的な教えが満ちてしまうはずです。

私たちには今の教会の教えはどう見えるでしょう。何の問題もないように見えるかもしれません。しかし、私たちがどうみえるかはともかく、主がこのように警告されており、主のことばを尊重するなら、とりあえず、この警告に沿って現在のキリスト教会の教えを見るべきです。

たとえ多くの神学者、教師が同じことをいっていたとしてもそれが正しいとは限りません。400人の教師がある教えに同意してもそれで正しいとは限りません。何故なら、ミカヤの時の正しい預言者とにせ預言者の数の比は 400対1だったからです。

主がそういわれた以上、今の教会には偽善、そして理性的、人間的な教えが満ちていると思うべきなのです。

どんな時でも主のことばが正しく、主のことばの立場に立つ時始めて正しいことが見えてくるのです。

ますます主のみこころを行っていきたいと思います。

ー以上ー

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