獣の国は、「危険な」遺伝子組み替え食品を推進する

 

ローマ・サミットで米代表団は、食糧増産のための遺伝子組み替え作物の研究
推進を訴えた。60年代のアジアで品種改良によってコメ革命が起きたことを考え
ると、米国の動きを利己的とばかりは言い切れないが、遺伝子組み替え作物を禁
止しているEUに対抗し、バイオテクノロジー企業の競争力を高めようという思
惑があるのは明らかだ。

 生産過剰と輸出補助で太りに太った欧州と米国の食料生産者が覇権争いを繰り
広げる中、飢餓軽減の可能性はあるのだろうか。EUの責任者は紛争地域の飢餓
について触れ、「多額の資金をこの問題に投入するのは無意味だ」と述べたが、
無神経な発言だ。

 先進国には、96年の前回の世界食料サミットが掲げた、2015年までに世界の飢
餓を半減させるとの大目標達成に向け、努力する義務がある。

 今回のローマ・サミットは、人道的見地に立って協力をするという理想が、大
国間のゲームに取って代わられつつある現実を如実に示した。(6月24日)