アメリカ、ユタヤは銀行を支配する

地球上の大パンカーは、、わずか三つの財閥モルガンとロックフェラー、ロスチャイルドに集約される金融集団だった。このような調査を一度でもおこなってみると読者もお分りになるはずだが、この集団は、血のつながりであると同時に、利権の結婚によって系譜がかたちづくられてきた。つまりこうした図が、歴史と現代の具体的な事件を形づくってきたのである。それそれの人間がどのような理由から結婚したかを伝記にあたってゆかないと、金融集団のすさまじい世界は分らない。この三大財閥は、地球がどのように広いといっても、わずかひと握りの人間によって今世紀の大部分の重大な出来事を説明できるほど、強大である。これを「世紀の金融マフィア」と名付けてもよいだろう。すでに

示してきたが、いずれも同じ一族であった。つまり東京証券取引所では、前述したように九二年の決算で一位ソロモン・ブラザース、二位ゴールドマン・サックス三位モルガン・スタンレー、四位ソシェテ・ジェネラル、五位ベアリングだと紹介したが、このアメリカ・イギリス‐フランスの五社は、いずれも同じ系図のなかで、兄弟ファミリーが今日でも連綿として支配する金融一族だったのである。

また新聞の経済欄では、ソロモンとモルガンが儲けて、一方、イギリススのS‐G‐ウォーパーグ(ワーバーグ、が赤字になったと報道されてきたが、それはほとんど意味もない分析である。これは、ロスチャイルド家を中心に系図を見ればお分りだろう。全員が一族を形成しているので、「マフィア全体の収支がプラスかマイナスか」ということが重要になってくる。兜町の専門家には説明するまでもないが、たとえば東京証券取引所の会員でカウンティ・ナットウェストというのは、ロンドンのナショナル・ウェストミンスター銀行であり、CSファースト・ポストンのCSは、スイスのクレディ・スイスのことである。これら兜町のメンパ−をすぺて調べてみたが、主だった外資系証券会社はほぽ全員がこの一族の支配下にあることを確認できた。つまり外国人投資家ではなく、みな名前を持っている。その名前が、一枚の系図に収まる。
 

中国経済と連動する投資家ジョージ・ソロスを見る場合でも、万が一ソロスが損害を出しても、その一族として中国経済を支配する香港上海銀行とジャーディン・マセソンが莫大な利益を計上していれば、全体の収支はプラスになる。その場合には、ソロスが損害を出したのではなく、初めからそのように相場が操作されていたわけである。こうした目で中国を見ると、李鵬首相が九四年初めに、「今年の経済成長を九%におさえる」という大変な発言をしていた。アメリカ・ョーロッパ・ロシア・日本では考えられない高い九%の数字が、「おさえる」という言葉のなかで出てくるほどの成長率である。

そこでロスチャイルド傘下の香港上海銀行の利益率を見ると、九三年には前年の四八%の増加という著しい成果を収めていた。同じくロスチャイルド・ベアリング・ギネス財閥連合として中国経済を動かす貿易商社ジャーディン・マセソン(東インド会社の後身)を見ると、このグルーブ傘下の企業が、九三年に同様の収益増加を記録し、中国への投資額を大幅に増やしていた。ウォール街でも、九三年にゴールドマン・サックスの収益が七五%増加を記録し、全米一の証券会社メリル・リンチを抜いてしまったのである。異常なほどのロスチャイルド系金融機関の躍進が見られた。さてまた怪人ジョージ・ソロスにばかり目を奪われていると、今度はNAFTA(北米自由貿易協定)の世界では、メキシコに莫大な投資をしたラザール・フレールのニコラス・ロハティンの動きを忘れてしまうことになる。ラザールは、アメリカ南部の支配者であるから、メキシコを自分の庭と考えてきた。つい先年までウォール街で〃相場の神様〃と呼ばれていたフェリックス・ロハティンの息子ニコラスが、NAFTAの黒幕だったのである。