イラン戦争はもうすでに始まっている

        スコット・リッター
        2005年6月20日

        ブッシュ大統領が、大量破壊兵器についてウソをついた(米軍による2003年3月のイラク侵略・占領のまことしやかな口実)だけでなく、戦争につながる過程そのものについてもウソをついていたという不愉快な事実に、アメリカ人は世界中の人々とともに、ようやく気づき始めている。
        2002年10月16日、ブッシュ大統領は米国民にこう語っている。「私は軍事力を行使する命令をまだ出してはいない。軍隊を使わないですむことを私は願っているのだ」
        私たちは今では、この大統領の言葉そのものがウソだと分かっている。実際には、大統領は2002年の8月末ごろには、米軍にイラク国内で軍事作戦を展開する権限を与える「遂行命令」に署名していたのだ。そしてこれらの命令は、早くも翌9月、米空軍が英国空軍の援助を得て、イラク国内のいわゆる飛行禁止区域の内でも外でも爆撃の目標を拡大し始めることにより実施された。
        これらの爆撃は、イラクの防空能力と指揮統制能力を低下させる目的で練られた作戦だった。また、イラク国内に米軍特殊部隊を投入して戦略的偵察を実施させるための道ならしでもあり、彼らはのちには直接行動にも出て、2003年3月19日の開戦以前に、特定の標的に対する攻撃も行なったのである。
        ブッシュ大統領は、2002年の晩春、CIAや米軍特殊部隊に、サダム・フセインを権力から引きずりおろす目的で秘密部隊を急派する権限を与える内密の指令に署名していた。
        だからイラク戦争は、遅くとも2002年の初夏にはすでに始まっていたというのが事実なのだ。
        2003年3月以前のイラクの場合がそうだったように、今日もブッシュ政権はイラン問題に対して、「外交」努力による「平和的」解決を望んでいると公表している。
         
        しかし事実は別のもくろみを示している。戦争により、いまテヘランで権力をふるっている神権政治体制を力づくで取り除くことだ。
        イラクの時と同じように、ブッシュ大統領は、イスラム教最高法学者の体制を、北朝鮮や新しく「解放された」イラクといっしょに「悪の枢軸」に結びつけ、イラン国民に「民主主義」を普及させることこそ絶対に必要なのだと語ることで、米国民とまったく従順なメディアに、体制変換政策のご利益を額面通り受け取らせるための地ならしをしてきた。
        「解放」と「民主主義」の流布は、今日、軍国主義と戦争遂行へ向けて米外交政策をまとめ、執行しようとするネオコン集団における、あからさまなお決まりの言い回しとなっている。
        だから、「解放と民主主義」という言い回しがこうもしきりに使われているということだけでも、ブッシュ政権がイランを、違法な体制変換政策の次の標的と定めていることを表していると、米国民は気がつくべきなのだ。
        しかし、米国民は、実は世界中の人々もそうなのだが、アメリカとイランとの間で明白な通常の軍事作戦がまだ始まってはいないという事実によって、あいかわらずまやかしの安心感を抱かされている。
        同じようにまた、現在イラクで進行している狂気の混乱が長びけば、イランへ侵攻する余裕などないだろうから、イラン戦争を回避できるか延期できるだろうと、多くの人々が間違った希望にしがみついている。しかしそう望むことは、愚か者の夢に過ぎない。
        現実は、米国によるイランとの戦争は、もうすでに始まっているのだ。私たちがこう話している間にも、米軍のイラン国土上空への飛行が、無人飛行機や他のもっと高度な軍事力で実施されているのである。
        独立国への領空侵犯は、ただそれだけでも戦争行為だ。しかし米国によるイランとの戦争は、すでに諜報収集の段階をはるかに越えている。
        ブッシュ大統領は9/11の結果与えられた圧倒的な権力を利用して、世界規模のテロとの戦いを押し進め、イラン国内でいくつかの秘密攻撃作戦を実行した。
        これらの攻撃作戦のうち最も目立っているのは、最近、CIAの援護を受けて活動を活発化しているMEK(ムジャヘディーン・エル・カルク)というイラン反体制派グループだろう。MEKは、かつてはサダム・フセインの恐怖の諜報機関によって操られていたが、今ではもっぱらCIA作戦本部のために働いている。
        旧サダム・フセイン体制の同じ諜報機関によって爆弾を使う暗殺の訓練を受け、今日もイラクで米国兵士を殺戮しており、今なおテロリスト組織と呼ばれているグループを、CIAが使って、ブッシュ政権がイラクで非難しているのと同じような遠隔爆撃をイランでさせているのだから、たいへんな皮肉だ。
        たぶん、「味方にとっての自由の戦士は、敵にとってのテロリストだ」という金言を、ホワイトハウスがついに採用したというところだろうが、世界的なテロとの戦いという売り文句が、どれほど欺瞞に満ちているものなのかをさらけだした例といえよう。
        しかし、CIAが後ろで操るMEKによるイラン国内での爆弾攻撃だけがイランに対して進行中の敵対行動ではない。
        イランの北に隣接するアゼルバイジャンで米軍は、テヘラン攻略をめざす大々的陸上作戦の先触れとなる大規模な軍事的展開のための作戦基地を着々と準備している。
        視野の狭い欧米のメディアは、ラムズフェルド国防長官がアゼルバイジャンに示した関心を見逃したかもしれないが、ロシアやコーカサスの国々は、来るべきイラン戦争でアゼルバイジャンが米軍のために果たす役割はもはや変えようがないことを、あまりにもよく理解している。
        イラン北部のアゼリ人とアゼルバイジャン国民との民族的な繋がりは、冷戦時代、ソ連によって長い間利用された。CIAの準軍事作戦隊員と米軍特殊部隊は、この敵国の内部操作に役立つ手段を抜け目なく利用し、アゼルバイジャン軍とともに訓練を行なって、イラン国内での諜報収集や直接行動、テヘランの現地反政府グループの動員のためにイラン国内で動くことのできる特殊部隊を作っているのである。
        しかしそれらは、米国が計画しているアゼルバイジャン利用法のただ一つにすぎない。米軍用機がアゼルバイジャンの前線基地から作戦行動をとれば、テヘラン市内やその周辺の攻撃目標まで、はるかに短い距離を飛ぶだけですむ。
        実際、いったん戦闘が始まったら米空軍は、テヘランの制空権をほぼ全時間帯において掌握できるだろう。
        冷戦時代なら、ペルシャ湾岸にあるチャー・バハールやバンダール・アッバスのような町からテヘランまで移動する必要があったが、今の米軍はそんな昔の侵攻計画など考えなくてもよくなった。もちろん、米海兵隊は死命を制するホルムズ海峡を守るために、それらの湾岸都市を確保しなくてはならないが、内陸を進撃する必要はもはやない。
        というのは、今ではテヘランまでずっと短い距離で行ける侵攻ルートが存在するからだ。アゼルバイジャンからカスピ海に沿ってテヘランまで続いている海岸ハイウェーを利用すればよいのである。
        米軍の作戦立案者たちはすでに、多数の師団をアゼルバイジャンに配置するためのワーゲーム(机上戦争)を始めている。アゼルバイジャン国内の基地に、米空軍や地上部隊を展開させるための兵站計画は、すでにはるかに進捗しているのだ。
         
        イラクに米軍が大規模駐留しているおかげで、イランとの戦争を遂行するために必要な兵站と指揮統制能力の大半がすでにこの地域に前方展開されていることを考えれば、イランとの戦争を準備する期間は、2002年から2003年にかけてのイラク戦争の準備が速かったのに比べても、さらにはるかに短くてすむだろう。
        欧米諸国はあいかわらず、イラクで進行中の悲劇に目を奪われている。イラク戦争の本当の理由や、占領政策の失敗について、ぜひとも必要だった議論は、米国内や他の国々で、ようやく持ち上がり始めたところだ。
        ほんとうなら、これはよい成り行きのはずである。しかし、みんなが過去の出来事のみに頭を突っ込んだままだと、ブッシュ政権がイランでまた繰り返そうとしている犯罪を多くの人が見逃すことになる。イランと米国のどちらの国民のこともほとんど気にもかけず、虚偽の前提にもとづく違法な侵略戦争に突入するという犯罪である。
        ほとんどの米国民は、アメリカの主流メディアとともに、戦争の隠しようもない兆候を見ることができないまま、2003年3月19日に見られたような、テレビ映りよく仕立てられた正式な宣戦布告の瞬間を待っている。
        しかし今の私たちは、イラク戦争がじつははるか早い時期に、すでに始まっていたことを知っている。同じように、米軍主導のイラン戦争も、ブッシュ政権が正式の声明を出してから始まったのではなく、CIAがイランでMEKの実行する爆弾攻撃の計画に着手した2005年6月からすでに始まっていたのだということを、歴史は示すだろう。

        (訳=パンタ笛吹 「TUP Bulletin」HPより)

        Scott Ritter is a former UN weapons inspector in Iraq, 1991-1998, and
        author of Iraq Confidential: The Untold Story of America's Intelligence
        Conspiracy, to be published by I B Tauris in October 2005.

        原文:US war with Iran has already begun (Aljazeera.Net)
        http://english.aljazeera.net/NR/exeres/7896BBD4-28AB-48BA-A949-2096A02F864D.htm
 
 
 

        【関連記事】
        ブッシュ大統領が、イランに対し、武力行使の可能性をほのめかしました。
        ブッシュ大統領は、12日金曜、シオニスト政権・イスラエルのテレビ局のインタビューに答え、「イランの核開発停止に関して、必要な場合、武力行使を最後の選択肢とする」と脅迫しました。
        さらに、「アメリカとイスラエルは、同じ目的をもっている。その目的とは、イランが核兵器を保有していないという確証を得ることだ」と語りました。
        こうした中、アメリカ国防総省は、最近、新型核兵器の製造を開始しており、シオニスト政権もまた、300の核弾頭を保有しています。
        イランはこれまで何度も、核兵器を追求しておらず、核エネルギーの利用は、学術及び平和目的であると表明しています。
        また、11日木曜、IAEA国際原子力機関理事会が、ウィーンでの会議で、エスファハーンのウラン転換施設における活動の停止を求めた、イランの核活動に関する非難決議を採択しました。これに対しイギリス外務省は、声明を出し、「イランとヨーロッパの協議再開への唯一の道は、イランがこの決議を受け入れることである」としました。
        この中で、イラン協議団のナーセリー氏は、「イランは、いかなる前提条件も受け入れず、誠意をもとに、協議を継続する。イランがエスファハーンの核施設での活動を停止することはない」と語っています。(IRIBラジオ
        2005/08/13)
        最終手段で武力行使検討も=イラン核問題で米大統領
        【エルサレム13日ロイター】ブッシュ米大統領は、イスラエルのテレビとのインタビューで、イランに核計画を放棄させる最後の手段として武力行使を検討する可能性がある、との認識を明らかにした。
        インタビューは13日に放送された。大統領は、米テキサス州クロフォードの私邸兼牧場でインタビューに応じ、「あらゆる選択肢が可能だ」との見解を示した。さらに、武力行使も含むということかとの質問に対して、「いかなる大統領にとっても武力行使は最後の選択肢だ。われわれは近年、国を守るために武力を使用したことがある」と述べた。
        イランは、中部イスファハンの核関連施設でウラン濃縮の前段階となるウラン転換作業を再開。イランはエネルギー目的と強調しているが、核開発への危機感を持つ欧州連合(EU)や米国は反発している。
        ただ、大統領は「外交ルートで解決を図っている」とも述べ、外交的解決に依然望みを持っているとの考えを示した。(ロイター通信 2005/08/14)
        欧米は、核問題めぐりイランとの戦争は考えていない=英外相
        【ブライトン(英国)28日ロイター】英国のストロー外相は、イランの核問題をめぐりイランに対し軍事行動を起こすことは、米国や欧州の検討事項でない、と指摘した。
        同相はまた、イラン政府に対し、こう着状態の打開に向け、米欧と協力するよう要請した。
        ストロー外相は、労働党年次総会でスカイニュースに対し、「イランと戦争するなど問題外だ。なぜか?そんなことは問題の解決にならないからだ」と述べた上で、「イランと戦争を起こすなどと主張している国はない。米国でも検討事項にあがっていない」と語った。
        米国は、イラン政府に対する行動としてすべての選択肢が用意されているが、武力行使する計画は当面ない、としている。
        一方イランは、核燃料の開発は、原子力発電所に利用するためだ、と主張している。(ロイター通信 2005/09/28)
        米大統領、イランとシリアを名指し非難 「テロに便宜」
        ブッシュ米大統領は6日、ワシントン市内で対テロ戦争やイラク情勢について演説し、米国に対抗して戦略的な連携関係を強めるイランとシリアを「米国や穏健イスラム諸国を困らせる目的を共有する安易な同盟だ」と名指しで非難した。米軍のイラク駐留については「武装組織は米軍の撤退によってもたらされる真空状態を利用しようとしている」と述べ、撤退に応じない考えを改めて強調した。
        大統領の発言は、02年の一般教書演説で「悪の枢軸」として名指ししたイラク、イラン、北朝鮮の3国に代わり、イラン、シリアに対する外交的な孤立化を目指す姿勢を際だたせたものだ。シリアとイランについて「テロリストと長年協力してきた歴史がある」として、「米国はテロ行為にかかわった者と、彼らを支援した者を区別しない」と語った。
        イラクと国境を接する両国を経由して武装勢力が流入していると非難してきた米政府は、イスラエルの占領に対する武装闘争をしてきたレバノンのシーア派組織ヒズボラへの支援を「テロ支援」とみなしてきた。(朝日新聞
        2005/10/07)
        他国への先制攻撃否定 イラン最高指導者
        【テヘラン4日共同】イランの最高指導者ハメネイ師は四日、「イランは、いかなる国も攻撃しない」と述べた。国営テレビなどが伝えた。イスラエルへの先制攻撃を否定することで、アハマディネジャド大統領による「イスラエル抹消」発言で高まった国際社会からの非難をかわす狙いがあるとみられる。
        ただ、ハメネイ師は「脅威にさらされれば抵抗する」と指摘。また、パレスチナ人は国際社会の監視下で、正統政府樹立のための選挙を許されるべきだと主張し、「パレスチナの正統政府が、シャロン(イスラエル首相)のようなイスラエルの犯罪者を裁判にかけるべきだ」と訴えた。(共同通信
        2005/11/05)
        米軍の無人偵察機の残がいを国内で発見と、イラン
        国連本部──イラン外務省は7日、今年の7月、8月に自国内で米軍の無人偵察機2機の残がいが見付かったと主張、米国は国際法を無視し、主権を侵害する行動を起こしている、と非難した。AP通信によると、米国防総省はコメントを出していない。
        イラン外務省は、抗議の書簡をテヘランのスイス大使館軽油で米政府に送付していた。その内容が国連本部で7日明らかになった。米、イランは国交関係を持っていない。米国は、イランの核軍事開発、イラクなどでのテロ組織支援を批判、イランはこれを全面否定している。
        イラン外務省によると、墜落したとみられる無人偵察機の残がいは、イラク国境に近いイラン西部のイーラーム州などで見付かった。調査で、米軍のものと判明したという。(CNN
        2005/11/08)
        イラン核施設への先制攻撃あり得る=イスラエル元首相
        【エルサレム5日】ネタニヤフ元イスラエル首相は5日付の同国紙イエディオト・アハロノトとのインタビューで、自分が首相に再選された場合はイランの核施設への先制空爆を考える可能性があると言明した。今月、主要政党であるリクードの党首に再び選出される見通しが強まっているネタニヤフ元首相は、1981年にイラクのオシラク原子炉に対する空爆を命じた故ベギン元首相と同じ精神で行動する必要があると強調した。
        ネタニヤフ氏は、イランの核(計画)はイスラエルの将来にとってこの上ない脅威であり、真の危険だと指摘し、イスラエルに対するイランの核の脅威増大を阻止するするためイスラエルはあらゆる手段を取る必要があると述べた。ネタニヤフ氏は、ベギン氏が全世界の世論に逆らう大胆な行動を取ってイラクの核武装を阻止した事実を挙げ、ベギン精神で臨む必要があると力説した。
        ネタニヤフ氏の宿敵であるシャロン首相も先週、イスラエルはイランの核武装を決して許さないと述べている。
        イランのアハマディネジャド大統領は10月に、イスラエルを地図から抹殺すべきだと述べ、国際的な反発を買っていた。〔AFP=時事〕(時事通信
        2005/12/06)
        将来的な軍事行動排除せず=イラン核開発疑惑でイスラエル
        【エルサレム11日時事】イスラエル国防省のギラド戦略治安計画部長は11日、核兵器開発疑惑が持たれるイランについて、イスラエルは外交的な解決を模索していると述べながらも、将来的なイランへの軍事行動の可能性を排除しなかった。イスラエル放送に語った。
        一方、イスラエル首相府当局者や国防省は、シャロン首相がイランのウラン濃縮秘密施設への攻撃を想定した準備を3月末までに整えるよう軍に命じたとの英紙サンデー・タイムズ(電子版)の報道を否定した。(時事通信
        2005/12/11)
        必要ならもう1カ国を先制攻撃=米大統領が強硬姿勢示す
        【ワシントン14日】ブッシュ米大統領はイラク国民議会選挙前日の14日、ワシントン市内で演説を行い、イラク戦争の正当性を挑戦的な調子で弁護するとともに、必要と考えた場合はもう1つの国に先制攻撃を加えると言明した。
        同大統領は、フセイン元イラク大統領の大量破壊兵器計画に関する間違った情報に基づいてイラク侵攻を命じた責任を認めたものの、テロリズムと大量破壊兵器の時代には、脅威が現実化するのを待っているわけにはいかないと強調した。ブッシュ大統領はイラクの総選挙を控え、イラク戦争支持を訴える一連の演説を行っており、今回は4回目で最後となる。
        ブッシュ大統領は先制攻撃の標的となる国の名を挙げなかったが、イラクの総選挙はイランとシリアに圧力を加えるだろうと述べた。同大統領は2001年9月11日の米国での同時多発テロのあと、先制攻撃を戦略として採用している。
        同大統領は「我々は自由の物語の中で分水嶺的な時期に差し掛かっている。イラクは中東の手本になるだろう。イラクに自由がもたらされればダマスカス(シリア)からテヘラン(イラン)に至るまで、改革主義者たちにインスピレーションを与えるだろう」と力説した。〔AFP=時事〕(時事通信
        2005/12/15)
        「イスラエルがイラン攻撃も」 ロシア政治学者予測
        【モスクワ=時事】プーチン政権に近いロシアの著名な政治学者、セルゲイ・マルコフ政治調査研究所長は14日、インタファクス通信に対し、イスラエルが今春にもイランの核施設を攻撃する可能性があると語った。
        同所長は「イランと厳しい冷戦状態にあるイスラエルは(イランによる)核攻撃の犠牲になることを恐れており、イスラエル空軍が核施設に空爆やミサイル攻撃を敢行する公算が大きい」と述べた。その場合、テロリストのイスラエル攻撃が激化し、中東情勢は極めて不安定になるとしている。(中日新聞
        2006/01/15)
        米有力議員ら、対イラン軍事行動の可能性に言及
        テヘラン(CNN) イランの核開発問題をめぐり、米次期大統領選の共和党候補として有力視されているマケイン上院議員は15日、米CBSテレビとの番組で「軍事行動は最後の手段だが、可能性を否定すべきではない」と述べた。民主党のファインスタイン上院議員も同番組で、軍事行動も視野に入れた対応が必要との考えを示唆した。
        イランが核開発活動の再開を表明した問題について、英仏独の欧州3カ国と米国は国連安全保障理事会への付託を主張。16日にはロンドンでロシア、中国との協議を予定している。
        マケイン議員は番組の中で、「冷戦終結後、対テロ戦以外で最も深刻な状況だ」と危機感を示した。その上で、ロシアや中国から対イラン制裁への支持を得られない場合は「有志で実行するしかない」と強調。さらに「イランによる核武装は最悪の事態。それを許すくらいなら、米国は軍事力を行使すべきだ」との見方を示した。
        またファインスタイン議員も、イランが中東情勢にとって「イラクをしのぐ脅威」になっていると指摘。軍事行動の可能性については「現時点ではなんとも言えないが、あらゆる選択肢を検討すべきだ」と語った。(CNN
        2006/01/16)
        イスラエル国防相「イランの核、実力で阻止」・空爆示唆
        【ガザ=森安健】イスラエルのモファズ国防相は21日、中部ヘルツェリヤで演説し、国連安保理がイランの核開発を止められない場合は、イスラエルが自ら実力で阻止する用意をしていると明らかにした。
        イランのアハマディネジャド大統領に呼びかける形で「歴史を振り返り、ユダヤ民族を消し去ろうとした人がどのような運命をたどったかを研究することを勧める」と述べ、1981年のイラク核施設への空爆と同様の行為を示唆した。
        モファズ氏はいかなる形でもイランの核保有を認めないと指摘したうえで「核開発阻止は当面、国連安保理に委ねられるが、同時にイスラエルは自らを守る決意で、そうする計画だ」と語った。
        アハマディネジャド大統領は先にシリアのアサド大統領を訪ね、その足でダマスカスに本部を置くイスラム原理主義組織ハマスやイスラム聖戦の最高幹部と相次ぎ会談し、イスラエルを挑発していた。(日本経済新聞
        2006/01/22)
        イランの脅威からイスラエルを守る=米大統領が約束
        【マンハッタン(米カンザス州)23日】ブッシュ米大統領は23日、米国はイランの脅威からイスラエルを防衛すると約束するとともに、イランが核武装し世界を脅迫する事態を許容するわけにはいかないと強調した。カンザス州立大学での講演のため当地を訪れた際に語った。
        イランは核兵器開発を目論んでいると非難してきたブッシュ大統領は「私は多くの人たちと同様、イランについて深い懸念を抱いている。我々はイランの核兵器で脅迫される恐れのある状況に世界を置くことはできない」と言明した。
        またブッシュ大統領は、イランのアハマディネジャド大統領が「イスラエルを地図から抹殺すべきだ」などと発言したことに言及し、「イスラエルは我々の同盟国だ。我々はイスラエルの安全を守る約束をしている。その約束を我々は守る」と述べた。
        ブッシュ大統領は、核問題をめぐる懸念を解消しようとする各国の外交努力をイランが引き続き拒否する場合は、制裁を念頭に、同問題を国連安全保障理事会に付託するのが次の論理的ステップになるだろうと警告した。〔AFP=時事〕(時事通信
        2006/01/24)
        米はイラン空爆のオプションを堅持
        【ワシントン25日】米国はイランの核兵器開発を阻止するため今は外交キャンペーンに努力を集中しているが、イランに対する軍事力行使の選択肢も持っている。大半の専門家は、検討されている軍事力行使オプションの中で最も可能性が大きいのは限られた数の核疑惑施設への空爆だと見ている。
        米国のコンサルタント組織「グローバルセキュリティー.org」がイラン危機に関連して25日発表した報告書によれば、イランには二十数カ所に核疑惑施設があるが、ブシェールの1000メガワットの核プラントが空爆の主目標になると見られる。ナタンツとアラクの施設もB2あるいはF117爆撃機の攻撃目標になる可能性が大きいという。
        同組織の予想では、米国がイランを空爆する場合は、イスラエルが1981年にイラクのオシラク核センターに加えた空爆よりもはるかに大規模な攻撃になり、2003年のイラク戦争開戦当初の空爆と似たものになりそうだ。
        一方、ヘリテージ財団の国家安全保障・外交政策専門家ピーター・ブルックス氏は、イランの大半の施設は地下深くにあるため破壊するのは簡単ではないと指摘している。また、イランは幾つかの施設を住民の多い地区に設けており、民間人の犠牲なしには攻撃できないようにしているという。〔AFP=時事〕(時事通信
        2006/01/26)
        米国連大使「イラン核問題は対テロ戦争」
        【ワシントン=加藤秀央】米国のボルトン国連大使は25日、ワシントンで記者団に対し、イランの核問題は「対テロ戦争」の一環と位置づける必要があるとの認識を打ち出した。イラン自身の核武装を防ぐことが必要とする主張からさらに踏み込んで、イランの核兵器や関連技術がテロ組織に拡散する危険性を強く警告した。
        ボルトン大使はイランが世界で有数のテロ支援国家に分類できるとしたうえで「イランに核開発能力を認めることは、同国が核兵器を弾道ミサイルに搭載するだけでなくテロ組織に与える可能性を意味する。巨大な恐怖だ」と言明。「大量破壊兵器とテロ組織の結びつきという最悪の結末」につながりかねないと指摘した。
        さらに「国連安保理は大量破壊兵器の拡散防止に主導的役割を果たし、地球規模の対テロ戦争に参画することができるかどうかが問われている」と発言し、イランの核問題をテロ対策の観点からも安保理で議論すべきだとの認識を示した。(日本経済新聞
        2006/01/26)
 
 
 

        【関連サイト】
        イラン核攻撃が最終段階に(アジア太平洋資料センター 2006/01/09)
        Al-Qaida nukes already in U.S. (WorldNetDaily 2005/07/11)
        Former CIA officer: U.S. plans nuclear attack on Iran (Aljazeera.com
        2005/07/18)
        CHENEY PLAN CALLS FOR U.S. TO NUKE IRAN (American Free Press 2005/08/08)
        Israel readies forces for strike on nuclear Iran (Sunday Times
        2005/12/11)
        Nuclear War against Iran (GlobalResearch.ca 2006/01/03)
        'US will help Israel in case of war with Iran' (Daily Times 2006/01/21)
 
 
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