イスラエルによるホロコースト | 2004

 

        分離壁反対デモで警察がゴム弾、6人負傷 パレスチナ

        エルサレム(CNN)イスラエル軍筋によると、イスラエル警察は31日、イスラエルがパレスチナ自治区との境界線沿いに建設する分離壁に反対するデモ隊にゴム弾や催涙ガスで鎮圧を図り、デモ参加者6人が負傷した。
        同筋によると、イスラエル人技術者らが自治区ラマラ近くのブドロス村近郊で、分離壁建設の準備を行っていた。パレスチナ人、イスラエル人や外国からのデモ隊数百人が道路を封鎖して、工事の妨害を試みたという。
        イスラエル警察がデモ参加者7人を逮捕すると、デモ隊は投石などで抵抗を開始。警官1人が軽傷を負った。その後、警察はゴム弾と催涙ガスを使用したという。
        パレスチナ人目撃者の説明によると、イスラエル工事関係者のブルドーザーはこの2日間、分離壁建設のための整地作業としてオリーブの木を切り倒していたという。(CNN 2004/01/01)

        イスラエル軍、少年らパレスチナ人4人射殺

        【ナブルス(ヨルダン川西岸)3日ロイター】イスラエル軍は3日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルスで同軍戦車や兵士に投石していた10代のパレスチナ人少年3人を射殺した。目撃者が明らかにした。
        3人の葬儀でひつぎを担いでいた17歳の少年も銃撃を受け負傷。病院関係者は後に死亡を確認した。目撃者によると、イスラエル兵が投石していた人に発砲したという。
        パレスチナ和平交渉のエレカト地方行政相は、事件を「虐殺」と非難し、ロイター通信に対し、事件の責任は全てイスラエル側にあると主張した。
        エレカト地方行政相は、停滞している中東和平案「ロードマップ」を支持する国連、欧州、米国、ロシアに対し、和平への取り組みに本腰を入れるよう要請した。(ロイター通信
        2004/01/04)
 

        イスラエル軍、パレスチナ人3人射殺 ヨルダン川西岸

        イスラエル軍放送によると、同軍は7日、ヨルダン川西岸パレスチナ地区の2カ所で計3人のパレスチナ人を射殺した。うち1人は非武装の一般市民だったという。
        治安筋によると、西岸ナブルス近郊で、軍が行方を追っていたアラファト自治政府議長系組織ファタハの軍事部門活動家を見つけ、射殺した。その際、そばの茂みの陰にいたパレスチナ人も殺されたが、武器は持っていなかった。
        また、西岸トルカレムでは武装パレスチナ人とイスラエル軍との間で銃撃戦が起き、イスラム過激派ハマス活動家1人が射殺された。(朝日新聞
        2004/01/07)
 
 

        イスラエル兵が18歳のパレスチナ人を射殺 自治区西岸

        エルサレム(CNN)イスラエル軍とパレスチナ自治政府によると、自治区西岸ナブラス近郊のベイタで11日、捜索を行っていたイスラエル兵が18歳のパレスチナ人少年を射殺した。
        イスラエル軍によると、同軍はベイタで定期的に行う捜索を行っていたが、集まった群衆が投石をはじめ、火炎瓶に火をつけようとしたパレスチナ人少年を射殺したという。ナブラス知事によると、少年は腹部を撃たれて死亡した模様。
        また、パレスチナ治安当局筋によると、西岸北部のカルキルヤとイマニュエル入植地の間にあるジンサフト村で同日、パレスチナ人男性が体に巻きつけた爆弾が誤爆して死亡した。イスラエル当局筋によると、男性はイスラエル人を狙った自爆テロに向かう途中だったという。(CNN
        2004/01/12)
 

        イスラエル大使、テロ犯描いた作品を破壊 首相も称賛

        エルサレム(CNN)ストックホルムの歴史博物館で16日、パレスチナの自爆テロ犯を描いた作品をイスラエルの駐スウェーデン大使が怒って破壊する事件があり、シャロン首相はこれを称賛した。
        問題の作品はイスラエル出身でスウェーデン在住の作家ドロール・ファイラーさんの「白雪姫と真実の狂気」。長方形の容器を真赤な液体で満たし、その上に白い小舟を浮かべたもので、舟の帆にはイスラエル・ハイファで昨年10月に20人以上を殺害した女性自爆テロ犯の写真が使われている。
        美術展の開幕式に出席したイスラエルのツヴィ・マゼール大使は、これに怒り、作品を照らすスポットライトのコードを引きちぎった。このためライトが作品の中に転落する騒ぎになった。
        マーゼル大使はイスラエルのチャンネル2テレビに対して、作品は「文化のふりをして、大量虐殺や罪のない人々の殺人を正当化するものだった」と断言した。
        これについてシャロン首相も18日の閣議冒頭で大使の行動を称賛。「大使に電話をして、反ユダヤ主義の拡大に立ち向かったことに謝意を伝えた」と述べた。
        スウェーデン外務省の報道官は、19日にもマーゼル大使を呼んで事情を聴く方針だと明らかにした。報道官は「大使の行動は受け入れがたいと伝える」と述べ、スウェーデンでは美術作品の破壊を正当な行為とは認められないと伝える方針を示した。
        作家ファイラーさんもイスラエルのチャンネル2に対し、「作品を見て不快になり抗議したり議論したいというなら理解できるが、フーリガンみたいに振る舞うとはなんということだ。大使がこんな真似をするなら、普通の人たちや前線の兵士はいったいどうなんだと、ここの新聞は書き立てるに違いない」と非難している。(CNN
        2004/01/19)
 

        シャロン首相の収賄疑惑、法廷に イスラエル人実業家起訴

        【エルサレム21日共同】イスラエルのシャロン首相が関与した疑いがあるとされるギリシャの観光事業をめぐる贈収賄疑惑で、イスラエルの検察当局は21日、首相に便宜を図ってもらうため、首相の息子に多額の現金を渡そうとしたとして、イスラエル人実業家を贈賄の罪で起訴した。
        数年前に浮上したこの疑惑で起訴は初めて。公判は3月にも始まる見通し。シャロン首相が実際に便宜を図ろうとしていたとすれば、収賄の罪で起訴されることになり、辞任に追い込まれる。
        首相は、パレスチナ自治政府との和平交渉が行き詰まれば、パレスチナ人居住区との間に境界を設けるなどとしており、これに反対する政治勢力が検察側を動かした可能性もある。
        イスラエルではバラク前首相、ネタニヤフ元首相にも別の収賄疑惑が持ち上がったが、本人の起訴には至っていない。警察当局は今回の起訴に関し「首相の起訴は難しい」とコメントした。(共同通信
        2004/01/21)
 

        選挙資金で不正? シャロン首相苦境に

        【エルサレム=佐藤秀憲】イスラエルのシャロン首相が苦境に立たされている。実業家が首相の二男に資金を提供して贈賄で起訴された事件が拡大して、首相の関与が焦点となっているためだ。検察側は25日に予定される新検事総長の任命後、捜査を本格的に進める方針で、首相が起訴された場合、辞任の可能性も浮上している。捜査が身辺に及べば、指導力の低下は避けられず、パレスチナ和平にも影響が出そうだ。
        シャロン首相は22日、自らが党首を務める右派リクードの集会で、「(任期の)2007年まで仕事を全うする」と言明し、職務遂行に自信を示した。
        しかし、23日付マアリブ紙の世論調査によると、首相が事件に関与したとみなす国民は53%に達し、支持率も33%まで低下した。
        実業家のアペル氏は21日、贈賄で起訴された。起訴状によると、アペル氏は、ギリシャで進めていた観光事業などに関連し、1990年代後半、当時、外相だったシャロン氏から便宜供与を受ける目的で、首相の二男ギラド氏にコンサルタント料の名目で約10万ドルを支払ったほか、シャロン一族が所有する農場に約60万ドルの資金を提供した。
        アペル氏はリクードの熱心な支持者で、党首選でのシャロン氏支援を約束。アペル氏が提供した資金の一部が選挙資金として使われたとの見方もあり、検察側はシャロン氏について、選挙資金関連法違反容疑のほか収賄容疑でも捜査を進めている模様だ。
        イスラエルで現職首相が起訴されれば1948年の建国後初めて。ハアレツ紙は「首相が起訴されれば、首相は辞任し、リクードが次の指導者を選ぶ」と指摘。次期首相候補にネタニヤフ財務相(元首相)の名前が挙がっている。
        リクードが圧勝した前回の総選挙から28日で1年。シャロン政権は、パレスチナ自治政府のアッバス前首相との間で一時、和平交渉に応じたものの、その後は「テロの完全停止が和平交渉再開の条件」との強硬姿勢を貫き、ヨルダン川西岸やガザへの軍事侵攻、過激派への「暗殺作戦」などを続けてきた。しかし、過激派の自爆テロは続き、最大の公約だった治安の確保も実現していないのが現状だ。(読売新聞
        2004/01/24)
 
 

        イスラエル軍がガザで掃討作戦、パレスチナ人9人殺害

        【エルサレム=佐藤秀憲】イスラエル軍は28日、パレスチナ自治区ガザで、過激派掃討のための軍事作戦を行い、イスラム原理主義組織イスラム聖戦の活動家5人を含むパレスチナ人9人を殺害、約10人を負傷させた。
        イスラエル放送などによると、同国軍は同日早朝、ガザ中部のユダヤ人入植地ネツァリム周辺で武装パレスチナ人2人を殺害。その後、ガザ市に戦車などで侵攻、ロケット砲などで抵抗する武装パレスチナ人と激しい戦闘となり、パレスチナ人7人を殺害した。犠牲者の中には11歳の少年も含まれる。(読売新聞
        2004/01/28)
 

        イスラエル軍:難民キャンプでパレスチナ人3人射殺

        【エルサレム樋口直樹】イスラエル軍は2日未明、ガザ地区南端のパレスチナ自治区ラファ難民キャンプに侵攻、これに抵抗するパレスチナ人と激しい銃撃戦になった。軍当局は過激派幹部を摘発しようとした際、武装したパレスチナ人3人を射殺したことを認めた。パレスチナ側によると死者は4人に上るという。(毎日新聞
        2004/02/02)
 
 

        パレスチナ:イスラム聖戦幹部の車空爆 少年1人死亡

        パレスチナ自治区ガザ市で7日午前、イスラエル軍がイスラム原理主義組織・イスラム聖戦幹部の乗った乗用車を空爆。病院当局者によると、車の近くにいたパレスチナ人の少年1人が死亡、同組織幹部ら9人が負傷した。イスラエル軍によるパレスチナ過激派を狙った空爆は昨年12月30日以来。(共同)(毎日新聞
        2004/02/07)
 
 

        イスラエル軍がガザ侵攻、パレスチナ人14人を殺害

        【エルサレム=佐藤秀憲】イスラエル放送などによると、同国軍は11日、ガザ北部のパレスチナ自治区ガザ市でパレスチナ過激派の掃討作戦を行い、イスラム原理主義組織ハマスの活動家1人を含む少なくとも12人のパレスチナ人を殺害、数十人を負傷させた。
        同国軍はユダヤ人入植地に対しロケット砲などで攻撃を仕掛ける過激派を捜索するため、同市に戦車などで侵攻、武装パレスチナ人との間で銃撃戦となった。犠牲者の中には18歳の少年も含まれている。
        イスラエル軍はまた、武器密輸用のトンネル捜索のため、ガザ南部のラファ難民キャンプにも侵攻、パレスチナ人2人を殺害した。(読売新聞
        2004/02/11)
 

        数千人のパレスチナ人労働者、検問所で抗議の座り込み

        【ガザ17日ロイター】数千人のパレスチナ人労働者が17日、イスラエルの厳しい検問手続きに抗議して、イスラエルとガザ地区の境界にあるエレズ検問所で、抗議の座り込みを行った。
        前日16日早朝に、イスラエル側に入るため、同検問所前で並んでいた41歳のパレスチナ人男性が倒れ死亡した。
        イスラエル軍は、この男性の死因は心臓発作だとしている。同検問所では先月、パレスチナ人女性が自爆し、3人が犠牲となった。
        毎朝、ガザ地区のパレスチナ人労働者約1万7000人が同検問所を通過するが、カザの病院関係者によると、狭い検問所通路で何時間も待たされている間に呼吸困難に陥ったり、負傷した労働者を毎日7人ほど治療するという。
        一方、イスラエル軍は、自爆者を阻止するため、境界線での警備対策は不可欠だとしている。(ロイター通信 2004/02/17)
 
 

        赤十字がイスラエル分離壁に異例の懸念 「国際法違反」

        赤十字国際委員会(ICRC)は18日、イスラエルがヨルダン川西岸の占領地内に建設している「分離壁」について、国際法に違反する行為だとして、重大な懸念を表明した。戦時救護が主要任務で「中立」を大原則とするICRCが、紛争当事者の一方を批判するのは異例だ。
        ICRCはイスラエルがテロ対策を講じる権利は認める一方で、占領地内に「分離壁」を建設することは、境界線と「壁」の間に取り残されたパレスチナ人の生活を制約し、権利を侵害していると非難している。
        また、「壁」の建設のため、パレスチナ人の農地や建物が破壊されたり、接収されたりしているとも指摘。こうした行為は「国際法が占領当局(イスラエル)に認めた措置の範囲をはるかに逸脱している」と糾弾している。(朝日新聞
        2004/02/19)
 

        フェンス反対デモで死者 ガザでは銃撃戦、3人死亡

        【エルサレム26日共同】ヨルダン川西岸のパレスチナ人の村、ビドで26日、イスラエルの分離フェンス建設に反対するデモ隊とイスラエル軍が衝突、イスラエル紙イディオト・アハロノトによると、パレスチナ人3人が死亡した。
        フェンス反対デモで死者が出たのは初めて。
        一方、ガザ地区北部とイスラエル領の境界にあるエレズ検問所付近では同日、武装したパレスチナ人2人が銃を乱射、イスラエル軍兵士と銃撃戦となり、この2人と兵士1人が死亡した。
        パレスチナ自治政府のアラファト議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの武装組織、アルアクサ殉教者旅団が犯行を認めた。
        分離フェンス反対デモに参加していた3人が死亡したのはエルサレムの北西のフェンス建設現場近く。イスラエル軍はゴム弾と催涙ガスを使用したとしているが、パレスチナ側は実弾が使用されたと主張している。
        イスラエル軍は昨年12月、デモ隊に実弾を発射しイスラエル人と米国人が負傷。イスラエル国内で批判を浴びた。(共同通信 2004/02/26)
 
 

        議長死去に備え軍が演習 イスラエル紙報道

        【エルサレム5日共同】イスラエル紙ハーレツは5日、パレスチナ自治政府のアラファト議長(74)が病気などで死去した場合の自治区内の混乱や暴動などを想定し、イスラエル軍が最近、図上演習を行ったと報じた。
        イスラエルの民間テレビ、チャンネル2は自治政府とイスラエルが主権を争うエルサレム旧市街の聖地「神殿の丘」への埋葬を議長が希望していると報道。「議長死去後」をめぐるイスラエル・メディアの報道ぶりは活発化している。
        イスラエル治安筋はハーレツに対し、演習は議長の病状悪化など、特別な情報に基づくものではないとしている。
        しかし、軍は幹部クラスを招集し、自治政府の後継者選定など政権運営やイスラエルとの和平交渉に与える影響に関して、複数のシナリオを検討したという。(共同通信
        2004/03/05)
 
 

        ガザ難民キャンプにイスラエル軍侵攻、14人死亡

        パレスチナ自治政府筋などによると、ガザ自治区中部の難民キャンプに7日未明、イスラエル軍が戦車などで侵攻した。パレスチナ人武装勢力が激しく抵抗し、パレスチナ側で8歳と15歳の少年ら民間人を含む14人が死亡、約80人が負傷した。ガザでは6日にもパレスチナ人5人が死んだばかり。シャロン首相が2月初めにガザ自治区の入植地から撤退する方針を示した後、状況は急激に悪化している。
        イスラエル軍は午前4時過ぎ、ブレイジュとヌセイラトの2つの隣接するパレスチナ難民キャンプに侵攻した。パレスチナ人武装勢力側は6日のエレズ検問所への襲撃やユダヤ人入植地への迫撃砲発射など攻撃を強めており、イスラエル軍は「武装勢力のメンバー拘束と拠点破壊のために」侵攻したとしている。
        シャロン首相は2月初め、ガザにある17の入植地から撤退する意向を、具体的な時期は示さずに表明した。7日朝のイスラエル軍放送は、パレスチナ側の攻撃激化について「首相の入植地からの撤退表明と無関係とは言えない」と語った。
        パレスチナ自治政府筋は「ハマスやイスラム聖戦などイスラム過激派が(首相の)撤退表明に勢いづき、撤退実施への圧力をかけようとしている」とみている。(朝日新聞
        2004/03/07)
 
 

        爆発物所持で10歳男児拘束 イスラエル軍

        【エルサレム15日共同】イスラエル軍は15日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルス近郊で、爆発物を隠し持っていたとして、小学生のパレスチナ人男児(10)を拘束した。イスラエル軍筋が明らかにした。
        軍は爆発物の入手先などを調査しているが、男児はイスラエルに対するテロに使用するため、爆発物の運搬をしていたとみられる。
        ナブルス近郊の検問所の軍兵士が帰宅途中の小学生の中に不審な男児がいるのを見つけ、かばんを調べたところ、爆発物が発見された。
        イスラエルとパレスチナの衝突が激化した2000年秋以降、110人を超える対イスラエル自爆テロ犯は大半が10代後半から20代の若者で、小学生がテロを実行した例はない。(共同通信
        2004/03/15)
 
 

        ガザ南部侵攻、4人死亡 イスラエル軍の攻撃続く

        【エルサレム17日共同】イスラエル軍は17日、パレスチナ過激派を狙った16日の空爆に続き、エジプトとの境界に近いガザ地区南部ラファのパレスチナ難民キャンプに侵攻、ヘリコプターによる2回の攻撃で少年2人を含むパレスチナ人4人が死亡、約20人が負傷した。
        イスラエル放送は軍関係筋の話として、ガザへの軍事作戦は数週間続くと伝えており、イスラム原理主義組織ハマスの最高幹部クラスの殺害など、一定の成果を挙げるまで侵攻を続けるとみられる。
        病院当局者などによると、イスラエル軍の戦車や装甲車など約20台がキャンプに集結。武装したパレスチナ人との間で銃撃戦となった。
        ガザ地区中部、北部のパレスチナ自治区周辺にも多数の戦車が待機しているという。(共同通信 2004/03/17)
 
 

        イスラエルのガザ空爆続く、パレスチナ人6人死亡

        【ガザ17日ロイター】イスラエル軍ヘリが17日、パレスチナ自治区ガザのラファ難民キャンプでミサイル2発を発射、パレスチナ人4人が死亡した。
        10人の犠牲者を出した14日のアシュドッド港での連続自爆攻撃に対する報復措置。
        イスラエルは過激派掃討作戦の実施を16日に閣議決定。同日、ガザ市のイスラム聖戦幹部の家を武装ヘリ3機で攻撃し、過激派1人を含むパレスチナ人2人を殺害した。幹部は軽傷を負ったものの無事だった。
        目撃者によると、ラファ難民キャンプでは空爆後、イスラエル軍の戦車やブルドーザーが集落に侵攻、少なくとも住宅16棟を破壊し、過激派がこれに応戦するなど衝突が激化している。
        イスラエル軍は、武器密輸に使われる地下トンネルの捜索にあたったと説明しているが、何も発見できないまま夜には撤退した。(ロイター通信
        2003/03/18)
 

        ハマスのヤシン師を殺害=イスラエル軍が空爆−最高位の暗殺対象・ガザ

        【エルサレム22日時事】パレスチナ自治区ガザ市からの情報によると、イスラエル軍のヘリコプターが22日未明、車に向けて数発のミサイルを撃ち込み、イスラム原理主義組織ハマスの精神的指導者アハメド・ヤシン師ら4人を殺害した。2000年秋にインティファーダ(反イスラエル民衆蜂起)が激化後、イスラエル軍が殺害した原理主義組織の指導者としては最高位。
        イスラエル政府は、ハマスなどによる14日のアシュドッド港での連続テロを受けて過激派への報復作戦を決定。過激派組織の指導者も免責されないとして、暗殺を警告していた。民衆から一定の支持を受けているヤシン師の殺害により、情勢の一層の悪化は避けられない情勢だ。
        ハマス幹部のハニヤ氏はヤシン師の死亡を確認するとともに、「シオニスト(イスラエル)の犯罪は、すべてのパレスチナ人を殉教に駆り立てるものだ」と報復を示唆。「ヤシン師は報復の精神と殉教を実行する精神を植えつけたのであり、泣く必要はない」と述べた。(時事通信
        2004/03/22)
 

        ヤシン師暗殺:報復訴える群衆にイスラエル軍発砲、3人死亡

        【エルサレム樋口直樹】AP通信などによると、パレスチナ自治区ガザで22日、ヤシン師暗殺でイスラエルへの報復を訴え集結した群衆に対してイスラエル軍が発砲し、少なくとも3人のパレスチナ人が死亡した。
        また、ヨルダン川西岸ナブルスでは、イスラエル軍とパレスチナ人の衝突を報道していた地元のラジオ局の記者が、イスラエル軍の発砲で死亡した。(毎日新聞
        2004/03/22)
 
 

        イスラエルは国際法違反=アムネスティ

        【ロンドン22日時事】国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは22日、イスラエル軍がイスラム原理主義組織ハマスのヤシン師を殺害したことに声明を発表し、「通常の手続きを踏まない処刑であり、イスラエルはまたも国際法違反を犯した」と非難した。
        アムネスティは、「ヤシン師は(殺害せずに)逮捕、起訴すべきだった」としてイスラエルの行為を批判。さらに「ヤシン師殺害により、これまで多くの民間人を巻き込んだ『暴力』が拡大する可能性が高い」と懸念を表明した。(時事通信
        2004/03/23)
 
 

        国連総長、イスラエル非難 国際法に反する

        【ニューヨーク22日共同】アナン国連事務総長は22日、イスラム原理主義組織ハマスの創始者ヤシン師が殺害されたことについて「ヤシン師らを狙った暗殺行為を非難する」と述べ、殺害は中東和平に何ら寄与することはないとの考えを強調した。国連本部で記者団に語った。
        事務総長はまた、殺害は「国際法に反するだけではなく、平和的解決を模索する動きに助けにもならない」と述べた。(共同通信 2004/03/23)
 

        記者が見たヤシン師 民衆の思いを代弁

        「その男は米国人か」
        「日本人のようです」
        「そうか、ならば話をしよう」
        パレスチナ紛争が激化した2002年5月、ハマスの精神的指導者で創始者のアハメド・ヤシン師と会見した時のこと。彼が最初に「米国人か」と詰問したのが気になった。
        「米国人の記者に問題があるのか」と聞き返すと、「米国人記者は私の言葉を勝手に変える。彼らはイスラエルの支援者だ。話すつもりはない」。ヤシン師はそう答えた。ブッシュ政権がイスラエル寄りのパレスチナ政策を取り始めるとともに、パレスチナ民衆にも米国に対する敵対感情がさらに高まろうとしていた矢先。彼の反応は、民衆の率直な感情を表現したともいえる。
        難民キャンプが密集するパレスチナ自治区ガザの貧民街にあった居宅。ほこりくさいコンクリート造りの建物の中で、ヤシン師は車いすを押され、手足も満足に動かせない様子だった。
        「自爆攻撃をやめる、と何度宣言しても、イスラエルが市民への攻撃をやめない。これまでに何人のパレスチナの子どもが虐殺されたのか」
        甲高い声で話し続けた言葉が耳に残る。「パレスチナの選挙などイスラエルと米国の謀略で無意味。ハマスは絶対参加しない」。同席したハマスナンバー2で、政治指導者ランティシ師の発言と食い違い、ランティシ師が苦笑いしていた。宗教指導者というより、民衆の思いを歯に衣(きぬ)着せずに伝える「族長」の演説だった。(カイロ・秦融)(中日新聞
        2004/03/23)
 

        イスラエル非難決議採択 国連人権委

        【ジュネーブ24日共同】国連人権委員会は24日、ジュネーブの国連欧州本部で開いた特別会合で、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの創始者ヤシン師を殺害したイスラエルを非難する決議を採択した。
        人権委の決議に拘束力はないものの、国際社会が国連機関を通じてイスラエルを非難した初のケースとなった。ニューヨークの国連安全保障理事会でも、ヤシン師殺害事件の取り扱いをめぐる協議が続いている。
        決議は、ヤシン師殺害が戦時における民間人の保護を定めたジュネーブ条約に違反すると強く非難。イスラエルの行為が占領地パレスチナにおける暴力の激化を招くと懸念を表明し、イスラエルに国際人道法の順守を求めている。
        イスラエル非難決議案は23日、イスラム諸国会議機構(OIC)を代表してパキスタンが人権委に提出した。
        53カ国で構成の人権委で、決議の採決に参加したのは51カ国。賛成31、反対2、棄権18だった。反対は米国とオーストラリア。日本は韓国、英国、フランス、ドイツなどとともに棄権した。イスラエル、パレスチナ自治政府はともに人権委のオブザーバーで、投票資格はない。(共同通信
        2004/03/24)
 
 

        米国、国連のイスラエル非難決議に拒否権発動

        【国連25日ロイター】米国は、22日にイスラエルが、イスラム教シーア派組織ハマスの精神的指導者ヤシン師を殺害したことをめぐり、アラブ諸国が国連安全保障理事会に提出した非難決議に拒否権を発動した。
        米国は、決議にはこれまでに数百人のイスラエル人を自爆攻撃によって殺害してきたハマスに対する非難が盛り込まれていないとして、唯一拒否権を発動した。安保理常任理事国である米国の拒否権発動で決議は否決されたが、安保理メンバーのうち11カ国が賛成票を投じた。
        また、英国、ドイツ、ルーマニアは、イスラエル人に対する「残虐行為」を非難する形での修正を求めていたが、アラブ諸国の理事国で、決議案を提出したアルジェリアが拒否したことから、投票を棄権した。
        賛成票を投じたのは、中国、ロシア、フランス、アンゴラ、チリ、パキスタン、スペイン、アルジェリア、ベニン、ブラジル、フィリピン。
        パレスチナ自治政府は今後、決議案を国連総会に提出する方針。総会には191カ国・地域が加盟しており、拒否権などがなく、パレスチナ自治政府への支持が多い。(ロイター通信
        2004/03/26)
 
 

        米国の拒否権行使はイスラエルへの殺人許可=パレスチナ

        【ガザ市26日ロイター】パレスチナ自治政府は26日、国連安全保障理事会が行ったイスラエルを非難する決議案の採決での米国の拒否権行使は、イスラエルに殺人許可を認めたものだとして、米国を非難した。
        決議案の採決は、イスラエルがイスラム原理主義組織ハマスの精神的指導者ヤシン師を殺害したことを受けて行われたが、米国の拒否権行使で否決された。
        ヨルダン川西岸とガザ地区では、パレスチナ人数千人がヤシン師暗殺への抗議デモを行った。また、イランの首都テヘランでも、5000人が「イスラエルに死を。米国に死を」とスローガンを唱え、市内をデモ行進した。(ロイター通信
        2004/03/27)
 
 

        テロ否定しなければ殺害 米、ハマス指導者に警告

        【エルサレム27日共同】パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの新指導者とされるランティシ氏が、米政府から「対米テロを明確に否定しなければイスラエル軍にすぐにも殺害される」と警告を受けていたことが27日分かった。パレスチナ筋が明らかにした。
        同氏はハマス指導部内の最強硬派。ハマス創始者ヤシン師が22日にイスラエル軍に殺害された直後「イスラエルのシャロン首相が標的」「米国の責任だ」と報復姿勢を強調したが、その後ガザ市で行われた師の追悼集会では「対米テロはやらない」と言明し、発言をやや後退させていた。
        ガザでは、イスラエルがヤシン師殺害について米国から事前に了解を得ていたとの見方が根強い。米国がランティシ氏に殺害警告を伝えていたとの情報は、イスラエルによる対ハマス軍事作戦に米国が深く関与しているとのアラブ側の疑念を一層深めそうだ。(共同通信
        2004/03/27)
 
 

        西岸で銃撃戦、パレスチナ少年巻き込まれ死亡

        【エルサレム=佐藤秀憲】イスラエル放送などによると、同国軍は27日、パレスチナ過激派掃討のため、ヨルダン川西岸ナブルス近郊のバラタ難民キャンプに侵攻、武装パレスチナ人と銃撃戦となり、パレスチナ人の少年が巻き込まれて死亡した。(読売新聞
        2004/03/27)
 
 

        シャロン首相の起訴勧告 汚職疑惑で担当検事

        【エルサレム28日共同】ギリシャのリゾート買収に絡むシャロン・イスラエル首相の汚職疑惑で、捜査担当の主任検事は28日、収賄罪での起訴状案を作成し、検事総長に起訴を勧告した。イスラエル法務省の報道官室が明らかにした。
        起訴するかどうかは数カ月後をめどに検事総長が最終判断するが、担当検事は公判を維持できると判断したもようだ。
        起訴されれば、シャロン首相が大きな政治的打撃を受けるのは避けられない。首相はこれまで疑惑を全面否定、2007年までの任期を全うすると語っているが、退陣を強いられる可能性もある。首相が打ち出したガザ地区からのユダヤ人入植地撤去と軍撤退など対パレスチナ政策にも影響を与えそうだ。
        イスラエル放送によると、中道政党シヌイのパリツキー国家基盤相は「首相は辞任すべきだ」と述べた。
        これまでの報道などによると、首相は外相だった1998−99年にかけ、ギリシャのリゾート買収で便宜を図る見返りに、息子を通じてイスラエル人実業家から現金300万ドル(約3億2000万円)の支払いを約束されたとされ、首相にわいろとの認識があったかどうかが焦点となっている。
        実業家は1月に贈賄の罪で起訴されたが、首相はこれまで一貫して「わいろの申し込みを受けた認識はない」と述べてきた。(共同通信
2004/03/29)
 

        シャロン首相、収賄認識か=二男に証拠提出命令−イスラエル最高裁

        【エルサレム29日時事】29日付のイスラエル紙ハーレツは、ギリシャのリゾート開発に絡むシャロン首相の汚職疑惑で、首相が1990年代後半の外相時代、イスラエル人実業家=起訴済み=に「島はわれわれの手中にある」と語っていたと報じた。この発言が、主任検事らが収賄罪での首相起訴を検事総長に勧告する重要な証拠の1つになったという。
        この会話の中で実業家は「あなたの息子は多額のお金を手にすることになる」とシャロン氏に語ったとされる。起訴状案によると、首相は実業家から息子を通じてわいろを受け取り、不正や背信行為を働いた。(時事通信
        2004/03/29)

        ブッシュはイスラムの敵=ハマス新指導者が断定

        【ガザ市28日】パレスチナの強硬派組織ハマスの精神的指導者ヤシン師が22日にイスラエルに暗殺されたあとハマスの新指導者となったランティーシ氏は28日、ブッシュ米大統領はイスラムの敵だと断定した。ランティーシ氏はガザ市のイスラム大学に集まった5000人以上の群衆を前に演説し、「ブッシュは神の敵、イスラムの敵、イスラム教徒の敵」だと強調した。
        ランティーシ氏は演説で、「米国と(イスラエル首相の)シャロンはアッラーの神への戦争を宣言した。アッラーは米国、ブッシュおよびシャロンに戦争を宣言する」と述べた。また「ここパレスチナで(ハマスの軍事部門の)エゼディネ・アルカッサム旅団およびハマス運動の手で勝利の端緒が始まるだろう」と述べた。同旅団はヤシン師暗殺事件後に出した声明で、ヤシン師殺害は米政府からのゴーサインがあって初めて可能だったとして、米国が同旅団の攻撃目標になり得ると警告している。〔AFP=時事〕(時事通信
        2004/03/29)

        イスラエル軍、西岸でパレスチナ男性を射殺

        【エルサレム=長谷川由紀】イスラエル軍は28日、ヨルダン川西岸ヘブロン近郊の民家を捜索中、パレスチナ人男性(32)を射殺した。
        軍は、男性がパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ系の武装組織「アルアクサ殉教者旅団」のメンバーだったとしているが、周辺住民は否定している。(読売新聞
        2004/03/29)
 

        アラファト議長殺害を除外せず=イスラエル首相

        【エルサレム2日】イスラエルのシャロン首相(写真)は2日に掲載された地元紙ハーレツとのインタビューで、アラファト・パレスチナ自治政府議長の殺害の可能性を除外しないと言明、同議長は暗殺の標的の1人であることを示唆した。
        シャロン首相はアラファト議長およびレバノンのイスラム教シーア派過激組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師がイスラエルの暗殺リストに載っているのかと問われ、「いずれも攻撃を免れることはないとは言わない。ユダヤ人を殺したりイスラエル国民を傷つけたりするものはだれでも標的だ」と答えた。
        アラファト議長は2001年12月以来、イスラエル軍によりヨルダン川西岸ラマラの議長府内に閉じ込められた状態にある。イスラエルの治安閣議は昨年9月、アラファト議長をラマラから放逐することを原則的に承認。閣僚の1人は暗殺も選択肢の1つだと示唆していた。〔AFP=時事〕(時事通信
        2004/04/02)
 

        イスラエル部隊、イスラム教聖地に侵入

        【カイロ=金沢浩明】エルサレム旧市街内のイスラム教聖地であるアルアクサ・モスクで2日、金曜礼拝の後でパレスチナ人の少年たちがユダヤ教聖地「嘆きの壁」との間を隔てる壁に上り、ユダヤ教徒らに向かって投石を開始、イスラエル治安部隊がモスク敷地内に突入した。
        同部隊は投石者らに対し催涙弾やプラスチックの弾丸を使用した。負傷者が出ているかどうかは明らかになっていない。
        アルアクサ・モスクではイスラエル軍がイスラム原理主義組織ハマス創始者ヤシン師を殺害してから最初の金曜礼拝日だった先月26日に、衝突への懸念から治安当局が45歳以下の立ち入りを禁止するなど厳戒態勢をとった。今回は若者の立ち入り制限はしておらず約2万5000人が集まっていたという。(日本経済新聞
        2004/04/02)
 

        アラファト議長、イスラエル首相の暗殺脅迫を一蹴

        【ラマラ(ヨルダン川西岸)3日ロイター】アラファト・パレスチナ自治政府議長は3日、イスラエルのシャロン首相による暗殺の脅迫など意に介さない姿勢を示した。
        議長は、官邸で報道陣に対し、「シャロン首相の脅迫は気にしていない。私が気にかけているのは、自治政府内の人民、子ども、女性、学生たちだ」と語った。(ロイター通信
        2004/04/04)
 
 

        ガザで少年3人射殺 イスラエル軍

        【エルサレム5日共同】パレスチナ治安筋は5日、イスラエル軍がガザ地区中部のユダヤ人入植地ネツァリムから、隣接するパレスチナ人の村へ向けて発砲があり、パレスチナ人3人が殺害されたと述べた。
        一方、パレスチナ医療関係者は、同軍から5日朝、18歳以下とみられるパレスチナ人少年3人の遺体を引き渡されたことを明らかにした。
        3人の身元は不明。イスラエル軍は4日夜「3人の不審者」へ発砲したことを確認。撃ったのは、3人が入植地に通じるパレスチナ人立ち入り禁止の道路に近づいたためとしている。(共同通信
        2004/04/05)
 

        イスラエル軍がガザ難民キャンプ急襲、パレスチナ人20人負傷

        【ガザ15日ロイター】イスラエル軍が15日、ガザ南部の難民キャンプを急襲、イスラエル軍とパレスチナ武装勢力との間で銃撃戦が発生した。ブッシュ米大統領がイスラエルの撤退支援を確約した数時間後の出来事だ。
        パレスチナ人によると、この戦闘でパレスチナ人20人が負傷。
        このうち11人の負傷者は、イスラエル軍の武装ヘリがパレスチナ人武装勢力が潜伏していたビルに対して発射したミサイルによるもの。また、ミサイル攻撃で7人の武装勢力が負傷したが、残りの負傷者は全て民間人だという。
        イスラエル軍の負傷者については報告がない。(ロイター通信 2004/04/15)

        イスラエル軍、ハマス新指導者をミサイル攻撃で暗殺

        【ガザ18日ロイター】イスラエル軍は17日、パレスチナ自治区ガザ市で、イスラム原理主義組織ハマスの新指導者ランティシ氏(56)の乗用車に武装ヘリコプターからミサイル2発を発射、同氏と2人の護衛が死亡した。
        ハマスの創設者で精神的指導者だったヤシン師がイスラエルに暗殺され、ランティシ氏がヤシン師の後継者に就任してから、まだ1カ月もたっていなかった。
        イスラエルは「テロリズムの首謀者」を取り除いたと発表。
        一方、ハマスは、ランティシ氏が暗殺された数時間後、「犯罪組織」(のイスラエル)を震え上がらせる100回の報復を誓うとの声明を発表した。ガザ市の通りには、数万人のパレスチナ人が集結し、ランティシ氏の報復を誓った。
        パレスチナのクレイ首相は「パレスチナ内閣は、このイスラエルのテロ行動は、米政権がイスラエル政府寄りの完全に偏った政策をとっていることの直接の結果だと考えている」と米国を非難した。
        米国は、イスラエルにランティシ氏暗殺を推奨したことを否定し、中東和平と安定に悪影響を及ぼすとして、同氏の殺害に強い懸念を表明した。(ロイター通信
        2004/04/18)
 

        ランティシ氏殺害、アラブ諸国が一斉に強く非難

        【カイロ=柳沢亨之】アラブ諸国は、ランティシ氏殺害を一斉に強く非難している。
        エジプトのマーヘル外相は17日の声明で「和平の可能性をつぶし、(中東)地域を混沌のどん底に陥らせる」ものと批判。ヨルダン政府報道官も「忌まわしい犯罪」と非難した。またアラブ連盟(本部・カイロ)のムーサ事務局長は「イスラエルは侵略政策を続けており、国際社会には真剣な対応が求められる」などとする声明を出した。
        一方、カイロのイスラム教スンニ派最高学府アズハルでは17日、学生数千人が抗議集会を開き、反米、反イスラエルを叫んだ。(読売新聞
        2004/4/18)

        「国際法違反の暗殺だ」 ランティシ氏殺害で欧州

        【ロンドン=土生修一】ランティシ氏殺害について、欧州では一斉にイスラエル政府を非難する声があがっている。
        欧州連合(EU)議長国であるアイルランドのカウエン外相は18日、「民主的政府とテロリストの違いは、国際法順守の有無にあるが、これは国際法違反の暗殺だ」とEUを代表する形で声明を発表し、強い調子でイスラエル政府を批判した。
        またストロー英外相は17日、「標的を定めた暗殺は、違法、不当、かつ非生産的であると、英政府はこれまで繰り返し主張してきた」と語った。フランス外務省も18日、「法律の範囲外の処刑は国際法違反であり、受け入れることはできない」との声明を出した。(読売新聞
        2004/04/18)

        イラン大統領、ハマス指導者殺害は「国家テロ」

        【テヘラン18日共同】イランの国営テレビによると、イランのハタミ大統領は18日、イスラエルによるイスラム原理主義組織ハマスの新指導者ランティシ氏の殺害を「国家テロ」と非難した。
        大統領は、イスラエルに対し国際的な断固とした行動が取られなければ、ますます暴力がエスカレートし、地域が不安定になると指摘。イスラエルを支援する米国の政策を批判した。(日本経済新聞
        2004/4/18)
 
 

        米、イスラエル批判せず

        【ワシントン17日共同】マクレラン米大統領報道官は17日、イスラム原理主義組織ハマスの新指導者ランティシ氏殺害に関する声明を発表。「イスラエルが自らの行動の結果を熟考するよう強く要請する」と述べ、明確な批判を避けた。
        声明は「地域の平和と安定を深刻に憂慮している」として全当事者に最大の抑制を示すよう求めたが「イスラエルにはテロに対する自衛権がある。ハマスはきょうの自爆テロの犯行声明を出すなど民間人を攻撃するテロ組織だ」とイスラエルの主張に全面的に理解を示した。
        一方、米国務省高官は「米政府がイスラエルによるランティシ氏殺害計画を承認したとか、事前に連絡を受けていたということはない」と述べた。(日本経済新聞
        2004/04/18)
 

        「尊厳失うなら命を捨てる」 昨年6月、ランティシ氏語る

        【カイロ=嶋田昭浩】ハマスの指導者ランティシ氏にインタビューしたのは昨年6月8日。パレスチナ自治区ガザ市内の自宅の一室で向かい合った。通りに面した門から建物の3階にあるその部屋まで上がる間、見かけたボディーガードはたった1人。イスラエル軍に狙われる人物が、意外に“無防備”に暮らしているのに驚いた。
        1947年、パレスチナの生まれ。翌48年のイスラエル建国で一家はガザ地区の難民キャンプへ。その後、エジプトのアレクサンドリア大医学部を卒業し、小児科医となった。
        エジプトでイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の影響を受け、87年のガザでのハマス結成に当たって7人の創設者の1人に加わった。
        一見、穏やかな物腰。流ちょうとは言えないものの英語を話し、欧米メディアからハマスのスポークスマンとして重宝がられた。
        しかし、その主張は強硬派そのものである。
        6月8日当日早朝、ガザ地区とイスラエルの境界・エレツ検問所付近でハマス戦闘員らがイスラエル兵4人を殺害した。
        その事件を機に、イスラエル軍がガザへの攻撃を激化するのでは、と問うと「白旗を掲げて降伏し、占領下で永遠の奴隷に甘んじるか、それとも解放と独立のため犠牲となって戦うか。私は、尊厳を失うことより命を捨てることの方がはるかに容易だと信じている」とランティシ氏。
        その上で「相手(イスラエル)は重装備の兵器を持っているのに、こちらは大衆の抵抗だけ。しかし、抵抗によって新たな公式を生み出した。苦しみのバランスという公式だ。われわれも傷つくが、同時に相手も傷つく。それによって相手に占領や抑圧をやめさせられる」と結んだ。(中日新聞
        2004/04/19)

        イスラエル:スイス大使がパレスチナ占領政策に抗議

        【ジュネーブ大木俊治】スイスの駐イスラエル大使が、イスラエルのパレスチナ占領政策に抗議し、第2次大戦中ユダヤ人を救ったスイス人の名誉をたたえるためエルサレムで開かれた式典をボイコットしていたことがわかった。スイス放送などが伝えた。
        報道によると、戦時中ドイツからのユダヤ難民約3600人の入国を助けた当時のスイスの地方警察署長の名にちなみ、エルサレム北部の通りを「グリニンゲル通り」と命名する記念式典が19日行われた。
        しかし、招待されたスイス大使は、この通りのある地域が67年の第3次中東戦争でイスラエルが併合した「国際的に承認されていない領土」だとして出席を拒否した。
        「永世中立」を国是とするスイスだが、「防護壁」の建設やハマス指導者のヤシン師、ランティシ氏の暗殺事件で、スイス政府は一貫してイスラエル政府を「国際人道法違反」と非難する立場を取っている。(毎日新聞
        2004/04/21)
 

        イスラエル:ガザ地区侵攻でパレスチナ人10人以上死亡

        【エルサレム樋口直樹】イスラエル軍は20、21の両日、ガザ地区北部のパレスチナ自治区ベイトラヒヤ周辺に侵攻、石や火炎瓶などを投げて抵抗するパレスチナ人群衆と激しく衝突した。イスラエル軍は武装勢力の掃討作戦を行っており、地元医療関係者によると、少なくとも10人のパレスチナ人が死亡、約50人が負傷している。
        イスラエル軍はユダヤ人入植地などを狙った武装勢力のロケット砲攻撃を防ぐため、戦車やヘリコプターを伴う大規模な作戦を続けている。ロイター通信によると、21日に死亡した5人のうち、少なくとも3人は武装していたという。(毎日新聞
        2004/04/21)
 
 

        イスラエル非難の声明採択 OIC外相級会議

        【プトラジャヤ(マレーシア)22日共同】中東問題協議のため緊急招集されたイスラム諸国会議機構(OIC)の外相級会議が22日、クアラルンプール近郊のプトラジャヤで開かれ、イスラエルによるイスラム原理主義組織ハマス指導者の殺害や、米国のイスラエル支持などを非難する決議を採択、閉幕した。
        会議はまた、イラク復興で国連の関与強化を求める決議も採択した。
        イスラエル非難声明は、ヨルダン川西岸の入植地存続などを打ち出したイスラエルとそれを容認した米国を非難、崩壊状態にある新和平案(ロードマップ)の再生を国際社会に訴えた。
        会議は、56カ国とパレスチナ解放機構(PLO)が加盟するOICの現議長国マレーシアが呼び掛けた。4人の外相を含む約20カ国の閣僚級高官が参加した。(共同通信
        2004/04/22)
 
 

        イスラエル軍、パレスチナ自治区で少年や武装勢力ら射殺

        【トゥルカルム(ヨルダン川西岸)22日ロイター】イスラエル軍が22日、ヨルダン川西岸のトゥルカルムを急襲し、パレスチナ武装勢力3人を射殺した。
        同軍が22日、明らかにした。
        目撃者によると、イスラエル軍が22日未明、トゥルカルムに侵攻した際に、武装勢力3人と激しい銃撃戦が起き、3人を殺害した。
        パレスチナ医療関係者によると、3人は、アラファト議長の支持基盤であるファタハの傘下にあるアルアクサ殉教者団のメンバー。イスラエル軍は、うち1人は、地域のリーダーだったとしている。
        また、パレスチナの医療関係者によると、ガザ地区北部でも、イスラエル軍が、投石していた15歳の少年を射殺し、3人を負傷させた。目撃者によると、事件当時、たくさんの少年らがイスラエル軍の戦車に投石していた。(ロイター通信
        2004/04/22)
 

        米大統領:「シャロンに感謝を」と演説 イスラエルを声援

        【ワシントン中島哲夫】ブッシュ米大統領は21日の演説で、シャロン・イスラエル首相が打ち出したガザ地区などからのユダヤ人入植地撤収案に触れ、「全世界が『アリエル(シャロン首相)、ありがとう』と言うべきだ」と主張した。この撤収案を歓迎する一方、より大規模な入植地の存続を事実上容認した大統領の姿勢がアラブ世界の怒りを招いた後だけに、火に油を注ぐ結果になりそうだ。
        ブッシュ大統領はワシントン市内で開かれた米新聞協会年次総会で演説し、その中でシャロン首相の新提案がパレスチナ国家樹立への道を開く好機になると指摘しながら、全世界が首相に感謝すべきだという発言をした。
        一方、パレスチナ指導部に対しては「毎年毎年、人々を失望させてきた」と厳しく批判。14日のシャロン首相との会談を通じて、ヨルダン川西岸に広がる入植地の存続や分離壁の建設推進を事実上容認、パレスチナ難民の旧居住地への帰還権を否認して「あまりに露骨」と批判されたイスラエル寄りの姿勢を、改めて鮮明にした。
        ブッシュ大統領は、パレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」の幹部暗殺を続けるイスラエルの強硬作戦も全く非難せず、これも「アラブの怒り」を買っている。(毎日新聞
        2004/04/22)

        イスラエル軍がガザ北部に侵攻、7人殺害

        イスラエル軍は21日、パレスチナ自治区ガザ北部のベイトラヒヤに戦車などで侵攻、銃撃戦でパレスチナ人7人を殺害した。
        侵攻はユダヤ人入植地に対し、迫撃砲などで攻撃を続けるパレスチナ過激派の掃討のために行われた。同国軍は20日もベイトラヒヤに侵攻、パレスチナ人5人を殺害している。(エルサレム支局)(読売新聞
        2004/04/22)
 
 

        イスラエル情報機関、ハマス新指導者の暗殺に失敗?

        イランの英字紙テヘラン・タイムズは3日、地元通信社電として、イスラエルの情報機関モサドがイスラム過激派ハマスの新指導者ハリド・メシャール氏の暗殺を試みたものの失敗したと報じた。信頼できる筋の情報としているが、真偽は不明。
        報道によると、モサドから指令を受けた5人のイエメン国籍のユダヤ人が、イスラエル軍の攻撃で4月に殺害されたハマスの最高指導者ランティシ氏の追悼集会に参加するためヨルダン経由でシリアに入国。イスラム教徒を装い、首都ダマスカスのハマスの拠点でメシャール氏らと面会をしようとしたところを同氏の護衛に見破られて拘束され、シリアの治安当局に引き渡されたという。(朝日新聞
        2004/05/03)
 

        イスラエル軍:パレスチナ人2人を殺害、20人けが

        【エルサレム樋口直樹】ガザ地区南部のパレスチナ自治区ハンユニス難民キャンプで4日、イスラエル軍の武装ヘリがパレスチナ武装勢力に向けミサイルを発射し、2人を殺害、約20人にけがを負わせた。地元住民によると、死者のうち1人は武装していたが、もう1人は15歳の少年で巻き添えになったとみられる。イスラエル軍機は対戦車ミサイルを発射した武装パレスチナ人を狙ったという。(毎日新聞
        2004/05/04)
 
 

        ハマス実力者の暗殺を計画 イスラエル特務機関

        【カイロ6日共同】シリア筋が6日明らかにしたところによると、シリア治安部隊は、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの指導者で、ダマスカスを拠点とするマシャル氏の暗殺を計画したグループを数日前に逮捕した。暗殺を命じたのはイスラエル特務機関モサドだとしている。
        同筋は「グループのメンバーはイスラム教徒で、一部はマシャルを殺害するためイエメンから来たと主張した」が、後にモサドの指令だと分かったとしている。グループの規模は不明。
        マシャル氏はイスラエル軍に先月殺害されたランティシ氏と並ぶハマスの実力者。イスラエルのエズラ無任所相は同氏も「ランティシと同じ運命になる」と述べている。(共同通信
        2004/05/07)
 

        イスラエル軍がガザ難民キャンプを攻撃、計12人死亡

        【ガザ13日ロイター】イスラエル軍は13日、ガザ地区のパレスチナ自治区ラファにある難民キャンプを武装ヘリで何度かミサイル攻撃、パレスチナ人12人が死亡した。
        11、12日に起きたパレスチナ武装勢力によるイスラエル軍車両爆破などでイスラエル軍兵士11人が死亡したが、これに対する報復とみられている。
        目撃者によると、難民キャンプに対するイスラエル軍の攻撃で、計12人が死亡したが、4人が民兵で残りは難民という。(ロイター通信
        2004/05/14)
 
 

        パレスチナ少年虐待も 国際NGOが保護訴え

        【エルサレム15日共同】イラク人虐待事件で米英両国が国際社会の非難を浴びる中、国際的な非政府組織(NGO)がイスラエル兵らによるパレスチナ人少年への虐待が恒常化していると指摘、「パレスチナの虐待問題にも目を向けて」と訴えている。
        「ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル」(DCI、本部スイス)によると、イスラエル、パレスチナ双方の衝突が激化した2000年秋以降、イスラエルが拘束した18歳以下のパレスチナ人少年は2500人を超える。
        約9割はイスラエル軍兵士や軍車両に対する投石行為が理由だ。
        イスラエル最高裁は1999年、取り調べでの拷問を非合法化したが、DCIは体を強く殴打するなどの取り調べが続いていると主張。便器に顔を突っ込まれたり、両足、両手を鎖でつながれ一晩寝かされたりしたほか、性的虐待を受けたケースを報告している。(共同通信
        2004/05/15)
 
 

        パレスチナ:イスラエル軍の道路拡張で1000人家失う

        【エルサレム樋口直樹】ガザ地区南部のパレスチナ自治区ラファでイスラエル軍が軍専用道の拡張を目的に周囲の民家を破壊している問題で、14日以降に約90戸が取り壊され、新たに1000人以上の住民がホームレスになっていることが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の17日までの調べで分かった。
        UNRWA報道官によると、イスラエル軍は14日以降、206家族が暮らす88戸の住宅を破壊、1064人の住民が住み家を追われた。同報道官は「インティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)が始まって以来、ラファにとって最悪の日々だ」と指摘。ヨルダン訪問中のパウエル米国務長官は「イスラエルが自衛権を有していることは分かるが、ラファでのパレスチナ人民家の破壊には反対だ」と語った。
        イスラエル軍は00年9月の衝突発生以降、エジプト国境沿いのラファが武装勢力による武器密輸拠点になっているとして、地下トンネルの摘発などを目的に民家を破壊。これまでに1万2000人以上の住民が家を失った。イスラエル軍はラファで先週、兵士7人を失ったことを受け、軍部隊の安全地帯でもある専用道の拡張を決定した。
        地元住民は家屋破壊の中止を求める訴えを起こしたが、イスラエル最高裁は16日、緊急時の兵士保護のためには民家破壊も認められると判断した。イスラエル放送によると、イスラエル軍のヤアロン参謀総長はこの日の閣議で「さらに数百戸のパレスチナ人住宅が取り壊しの対象になっている」と発言、武装勢力側の出方次第で破壊範囲を広げる考えを示唆した。(毎日新聞
        2004/05/17)
 

        ガザ撤退求め15万人デモ イスラエルの掃討作戦に国内反発

        【カイロ=嶋田昭浩】イスラエルからの報道によると、同国最大の都市テルアビブで15日夜、パレスチナ自治区ガザからのイスラエル軍撤退とユダヤ人入植地撤去を求める集会が開かれ、15万人以上が参加した。
        最大野党の労働党などの呼びかけによるもので、2000年秋にパレスチナ紛争が激化して以来、最大の規模となった。
        ガザ地区では先週、「テロリスト掃討」を続けるイスラエル軍部隊がパレスチナ組織の抵抗に遭い、イスラエル兵合わせて13人が死亡。同時期に、イスラエル軍ヘリコプターのミサイル攻撃などでパレスチナ側は民間人を含め29人の死者を出した。集会では、これ以上犠牲者を増やしたくないという声が相次いだ。
        労働党党首のペレス元首相は「これは左翼の集会ではない。(国民の)多数派の集会だ。(与党リクードの党員投票で撤退案に反対した)過激な右派の投票者より四倍多い人々がここに集っている」と発言した。
        一方、イスラエル軍は16日未明、ガザのパレスチナ組織関連の建物などにヘリコプターからミサイルを発射。通りかかった子どもを含むパレスチナ人数人が負傷した。(中日新聞
        2004/05/17)
 

        イスラエル軍、ガザに大規模侵攻、死傷者多数

        パレスチナ自治区ガザ市──イスラエル軍は18日未明、ガザ南端、エジプトと境界を接するラファ難民キャンプを武装ヘリで数波、ミサイル攻撃した後、戦車約100両、ブルドーザーなどを連ねた大規模侵攻作戦を実施した。
        ガザ地区では近年にない規模の大きさで、同地で今月11日以降続く衝突で、イスラエル軍兵士13人が死亡した爆破事件などへの報復とみられる。イスラエル軍は今回の侵攻の狙いについて、エジプト側からラファへの武器密輸阻止などを挙げている。
        パレスチナ治安、病院当局筋によると、ミサイル攻撃などでパレスチナ人15人が死亡、少なくとも33人が負傷した。うち、8人は重傷。イスラエル軍当局者は、パレスチナ人の死亡者は13人としている。
        キャンプ内外で軍部隊が過激派の活動家を捜索しており、武装パレスチナ人との交戦も起きた。イスラエル軍は先週から、同キャンプ周辺でパトロールを強化、作戦に支障となる民家約100棟などを破壊し、住民1000人以上が自宅を失う事態になっている。(CNN
        2004/05/18)
 
 

        イスラエル支持強調 米大統領がユダヤロビーで演説

        ブッシュ米大統領は18日、米議会などを通じて米国の中東政策に大きな影響力を持つユダヤ・ロビー「アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)」の年次総会で演説し「自由で安全なイスラエルの存在は米国の国益につながる。両国の結びつきが壊れることは決してない」と述べ、イスラエルとの強固な同盟関係を強調した。伝統的に民主党支持者が多いユダヤ系米国人に対し、11月の大統領選を前に支持を訴える狙いがある。
        ブッシュ大統領は「イスラエルはテロから自国を守る権利を持つ」と述べ、パレスチナ側に対する武力行使を「テロとの戦い」の一環と位置づけて正当化。パレスチナ側に対して「まず腐敗した指導者たちを拒絶しなければならない」と自治政府の改革を求めた。(朝日新聞
        2004/05/18)
 

        「ラファはパレスチナ人に生き地獄」 国連担当者

        エルサレム(CNN)パレスチナ自治区ガザ南部のラファをイスラエル軍が武装ヘリやブルドーザーで侵攻したのを受け、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の担当者は「ラファのパレスチナ人は生き地獄の中にいる」とイスラエル軍の攻撃の激しさを語った。
        UNRWAのブリッソン氏は現地スタッフの報告として、「状態は非常に悪い。非常に緊迫している。誰もこの地域に入れない。ラファのパレスチナ人は生き地獄の中にいる」と指摘。
        「イスラエル軍はUNRWA運営の学校を戦車で占領している。住民は家に鍵をかけて中に閉じこもり、イスラエル軍と武装抵抗勢力の激しい戦闘から避難している」とブリッソン氏は話した。
        またラファ近くのテルスルタンにもイスラエル軍は侵攻しており、住民約1万5000人が外出禁止状態に置かれているという。
        パレスチナ自治政府筋によると、イスラエル軍の大規模侵攻で、ラファのパレスチナ人20人が死亡し、35人が負傷した。死亡した20人のうち3人は、武装勢力「アルアクサー殉教者旅団」の戦闘員だったが、残りは10歳少年と11歳少女をふくむ民間人だったという。
        一方でイスラエル軍幹部はイスラエルラジオに対し、死亡した20人は全員、武装勢力だったと話している。(CNN 2004/05/19)
 

        イスラエル:ラファの抗議デモを空爆 子供ら多数が死傷

        【ラファ(ガザ地区南部)樋口直樹】パレスチナ自治区ラファで19日、イスラエル軍のラファ封鎖に反対する数千人のパレスチナ人デモ隊に向け、軍が武装ヘリによるミサイル攻撃を含む激しい攻撃を加えた。病院によると少なくとも10人が死亡、数十人が重軽傷を負った。死傷者には多数の子供が含まれている。
        イスラエルのボイム国防次官は民間人に多数の死傷者が出たことに遺憾の意を表明した。軍当局も「群衆を直接狙った攻撃ではなかった」と釈明した。だが同日朝にもパレスチナ人4人が軍に射殺され、18日以降パレスチナ側の死者が計34人に上っており、イスラエルに対する国際社会の非難が強まるのは必至だ。
        デモ参加者によると同日午後2時過ぎごろ、イスラエル軍に完全に封鎖されたラファ南部テルスルタン地区に向かって、約4000人のラファ住民が抗議のデモ行進を行った。武装ヘリがミサイル数発を発射したほか、戦車も砲撃した。デモ隊からの発砲は無かったという。
        ラファ唯一のアルナジャール病院には、片腕を失った子供など数十人の負傷者が次々と担ぎ込まれた。病室に入りきれない子供たちが血まみれのまま床に寝かされ、うめき声が院内に充満。死者が運び込まれる度に、押し寄せた数百人の住人から「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」との声がわき上がった。
        イスラエル軍は過激派を摘発するためラファ全体の封鎖を続けている。19日午前、テルスルタン地区で15〜60歳の男性住民全員に対し、地区内の学校へ集合するよう命令した。武装勢力のメンバーを見つけ出すのが目的とみられるが、これへの反発が強まり、デモ行進が自然発生的に組織された。
        テルスルタン地区では18日にも空爆で8人以上が死亡した。救急車の運転手によると、18日朝には同地区の近くで救急車がイスラエル軍に銃撃される事件も起きた。病院には同地区の住民から救援を求める電話が多数かかっている。(毎日新聞
        2004/05/19)
 

        デモ空爆で子供ら多数犠牲に=パレスチナ人14人死亡−イスラエル軍

        【エルサレム19日時事】戦車など約100両のイスラエル軍部隊は19日、ガザ地区南部のパレスチナ自治区ラファの難民キャンプで大規模作戦を続け、13歳の少年を含むパレスチナ人4人を射殺。さらに軍の武装ヘリコプターが市民数千人のデモ隊にミサイルを撃ち込み、医療関係者によると、子供や学生の10人が死亡、約50人が負傷した。
        目撃者によれば、軍部隊による包囲下のキャンプに向かっていた抗議デモの群衆にミサイルが撃ち込まれた。イスラエルのボイム国防次官は、多数の市民に犠牲が出たことに対して遺憾の意を表明。作戦が始まった18日からの死者は、少なくとも34人に上った。(時事通信
        2004/05/20)
 
 

        イスラエル、国際社会の批判受けるもガザ地区攻撃継続

        【ラファ(ガザ地区)19日ロイター】イスラエルは19日、ガザ地区のラファ難民キャンプで近年最大規模の攻撃を実施。平和的な抗議デモの参加者33人を殺害した。
        国連安全保障理事会は、アラブ諸国の要請に基づいて協議を行い、パレスチナ人の住宅破壊停止と暴力の終結をイスラエルに求める決議を採択した。アラブ諸国は、イスラエルによるラファ攻撃を「戦争犯罪」と位置づけている。
        イスラエルと親密な関係にある米国も、今回は拒否権を発動して決議を阻止する措置をとらず、投票を棄権する異例の立場をとった。またブッシュ大統領は、イスラエルに自制を求めている。
        しかしイスラエル軍は、先週ガザ地区で13人のイスラエル兵士が殺害されたことを受け、こうした国際社会の声に耳を貸さず、武器運搬用のトンネル捜索を理由にエジプト国境付近まで進攻している。(ロイター通信
        2004/05/20)
 
 

        100万人に生命の危険 WHO、パレスチナに憂慮

        【ジュネーブ21日共同】世界保健機関(WHO)のナバロ事務局長代表は21日、イスラエルによる分離フェンスの建設や移動の制限などにより、ヨルダン川西岸とガザ地区で、今後半年から1年以内に「約400万人いるパレスチナ人の20−25%(約100万人)に生命の危険が及ぶような保健衛生上、深刻な事態」に陥る恐れがあると憂慮を表明した。
        4月と5月初めに西岸、ガザとイスラエルを訪問したナバロ代表は、医療機関への通院やイスラエル領内への患者搬送などが著しく制限されているため、パレスチナの医療体制が急激に悪化していると指摘した。
        特に、合わせて約100万人に及ぶ「糖尿病や腎臓疾患などの慢性病患者と高齢者、乳幼児」の健康状態が最も懸念されると述べた。(共同通信
        2004/05/22)
 

        ナチスの大虐殺想起=ガザ南部の家屋破壊批判−イスラエル法相

        【エルサレム23日時事】「自らの家のがれきの中で薬を探す老女の姿は、ホロコースト(ナチス・ドイツの大虐殺)で家を追われた祖母を想起させる」−。イスラエルのラピド法相は23日、イスラエル軍によるガザ地区南部のパレスチナ自治区ラファでの軍事作戦を批判した。
        同軍は先週、ラファで大規模作戦を実施し、子供多数を含むパレスチナ人40人以上を殺害、家屋数十軒を破壊した。同法相はこの中で「先週米国に滞在していたが、われわれは世界から怪物のように見られていることに気付いた」と述べた。(時事通信
        2004/05/24)
 

        イスラエル軍侵攻でパレスチナ人2000人が家失う

        国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は25日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ西南端のラファに侵攻し、エジプトとの境界沿いの家屋を組織的に破壊した作戦で、約2000人のパレスチナ人が家を失ったことを明らかにした。
        UNRWAによると、今月1日から一連の作戦が一応終了した23日までの間にイスラエル軍が破壊した家屋・ビルは155棟。死傷者も多数出ており、18日以降だけでも、死者が40人、負傷者が150人に達したという。
        UNRWAは、家を失ったパレスチナ難民の救済支援を行うが、被害の拡大で資金が底をついているため、各国に緊急支援を呼びかけることを決めた。(朝日新聞
        2004/05/26)
 
 

        ガザ唯一の動物園全壊 「憩いの場」がれきに

        イスラエル軍が1週間にわたり大規模侵攻したガザ地区南部のパレスチナ自治区ラファでは、地区唯一の動物園も軍により破壊され全壊し「子供たちに楽しんでもらおう」との思いで動物園を設立した園長、ムハンマド・ジャマさん(40)はがれきの中で途方に暮れている。
        動物園は、家屋破壊が激しかったラファのブラジル地区にある。8000平方メートルの土地に5年前に設立され、ジャマさんはカンガルーやヘビ、鳥などを買い集め、侵攻前までは約90種類の動物がそろい、子供たちの憩いの場になっていた。
        しかし、侵攻2日目の19日夜、ブルドーザーが動物園を襲い、おりは壊され、ほとんどの動物は死亡するか逃げ出した。「なぜ動物園がこんな目に遭わなければいけないのか」と憤るジャマさんは住民らと協力し、行方が分からなくなった動物を探している。(共同通信
        2004/05/27)

        軍事作戦は「国家テロ」=パレスチナ政策でイスラエル批判−トルコ首相

        【エルサレム3日時事】トルコのエルドアン首相は3日付のイスラエル紙ハーレツのインタビューで、同国による多数の市民を巻き込んだパレスチナ自治区ラファなどでの軍事作戦は「国家テロ」に相当するとの認識を示した。
        トルコは、イスラエルと密接な軍事関係を持つ同盟国。しかし、同首相は1492年にキリスト教への改宗を拒否してスペインを追われたユダヤ人をオスマン帝国が保護した歴史を引き合いに出し、「イスラエル人は約500年前に自らが扱われたようにパレスチナ人に接している」と非難した。
        エルドアン首相はまた、「ヘリコプターで市民を爆撃し、熟慮なしに子供や女性を殺し、ブルドーザーで家屋を破壊している」と批判した。国民の大多数がイスラム教徒のトルコは、イスラエルとアラブ諸国の和平仲介に意欲を見せており、イスラエルに苦言を呈した格好だ。(時事通信
        2004/06/03)

        エルサレムから17万のパレスチナ人を追放する計画を発表

        【東京10日=齊藤力二朗】イスラエルのオルメルト副首相は、エルサレムから17万人のパレスチナ人を追放する計画であることを明らかにした。10日付けのネット紙、イスラム・メモが、9日付のイスラエルの英語紙、エルサレム・ポストの報道として伝えた。
        オルメルト副首相はインタビューで「17万人のパレスチナ人の聖都エルサレム6地区での居住権を奪った後、完全にイスラエル化するために、エルサレムから分離する。エルサレムの聖域と他のアラブ人地区の完全な支配を保持することになる」と語った。
        「現在、東エルサレムのパレスチナ人居住者の割合は3分の1であるが、この計画を実行することにより、ユダヤ人以外の居住者の割合は減少する。この計画は、エルサレム周辺の他の人口が多い地域の分離計画の一部となる」と述べ、エルサレム内の他の地区でも、分離、追放計画が実行されることを示した。(日刊ベリタ
        2004/06/10)
 
 

        分離フェンスは人権侵害 イスラエル最高裁が判決

        【エルサレム30日共同】イスラエル最高裁は30日、同国がパレスチナ過激派のテロ防止を目的にヨルダン川西岸に建設中の分離フェンスに関し、パレスチナ人の人権を侵害するとして、エルサレム北西部の約30キロ分の建設を差し止める判決を言い渡した。
        7月9日には国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)が国際法に違反するかどうかについて勧告的意見を出す予定で、最高裁の判決を受け、分離フェンス建設に対する国際社会の批判は高まりそうだ。
        エルサレム近郊にある8つのパレスチナ人村の住民が、約40キロの建設ルートについて、土地の収奪などを理由に差し止めを求めていた。
        最高裁は判決で、2005年末までに完成予定の全長約700キロに上るフェンス建設そのものについては「イスラエルの治安のため」と容認。その上で、移動の自由など国際法上認められる人権と治安上の必要性を比較考量。約30キロについては村民の人権を著しく侵害するとしてイスラエル政府にルートの変更を命じた。(共同通信
        2004/06/30)
 
 

        パレスチナ:ガザ各地で戦闘、9歳児含む6人死亡

        【エルサレム樋口直樹】イスラエルの撤退計画を受け状況が不安定化しているガザ地区で1日、9歳児を含むパレスチナ人6人がイスラエル軍との戦闘や巻き添えで死亡した。同軍は武装勢力による無差別ロケット砲攻撃を阻止するため、同地区北部に大規模な部隊を駐留させる一方、南部で武器密輸トンネルの摘発を続けている。
        パレスチナ側によると、南部ラファ難民キャンプで同日、友達とサッカーをしていた9歳児がイスラエル軍戦車に銃撃され、死亡した。同軍は当時、エジプト国境沿いの密輸用地下トンネルを探索中、武装勢力と銃撃戦になった。また、北部ベイトハヌーンでは、イスラエル軍武装ヘリによる空爆で武装勢力のメンバーら7人が負傷した。
        さらに、イスラエル紙ハーレツによると、中部のユダヤ人入植地ネツァリム近くで、イスラエル軍陣地を攻撃しようとした武装勢力が同軍の待ち伏せ攻撃に遭い、5人が射殺された。(毎日新聞
        2004/07/02)
 

        パレスチナ人少年と過激派、イスラエル軍の攻撃で死亡

        【ガザ5日ロイター】ガザ地区南部ネベデカリムのユダヤ人入植地付近で5日、イスラエル人1人が迫撃砲で負傷し、14歳のパレスチナ人少年がイスラエル軍に銃撃されて死亡した。パレスチナ人当局者と医療関係者らが明らかにした。
        パレスチナ自治政府のアラファト議長とつながりを持つ過激派「アルアクサ殉教者旅団」は、ユダヤ人入植地を狙った攻撃について犯行声明を出した。
        パレスチナ治安当局者によると、死亡した少年は、過激派が迫撃砲でユダヤ人入植地を攻撃した後、ハンユニス難民キャンプの路上に立っていたところを射殺された。
        イスラエル側の消息筋は、ユダヤ人入植地に対する攻撃を受けて、イスラエル兵らが発砲したとしている。負傷者が出たかは不明。
        迫撃砲攻撃ではイスラエル人入植者1人が軽傷を負い、病院に搬送されたという。
        一方、ヨルダン川西岸ジェニンでは銃撃戦があり、パレスチナ人過激派1人が死亡、1人が負傷した。
        医療関係者は死亡した過激派の身元について、アルアクサ殉教者旅団のメンバーである25歳の男性と説明している。(ロイター通信 2004/07/06)
 

        国際司法裁判所:イスラエル分離壁は国際法違反

        【ブリュッセル福原直樹】イスラエルがヨルダン川西岸などに建設中のパレスチナ側との分離壁について、国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)は9日、「国際法違反で取り壊すべきだ」と勧告し、地元パレスチナ人への補償や、国連による事態の収拾を求めた。勧告に法的拘束力はないが、今後国連の場でイスラエル非難が強まるのは確実で、同裁判所の判断は中東和平プロセスにも影響を与えそうだ。
        勧告は、「テロから国民を守るため建設する」というイスラエルの主張に対し、「国民を守る場合は、国際法に従った方法で行うべきだ」と指摘。分離壁は▽移動や労働の自由▽財産権▽健康で文化的な生活基準──などの侵害で、国際人権規約などの国際法規定に違反していると述べた。
        その上で、勧告は分離壁の取り壊しと、壁建設で土地などを奪われたパレスチナ人への補償を要請。国連総会と同安保理に対し、「分離壁がもたらした違法状況の収拾策を決めるべきだ」として、今後、国連の場でも補償問題などを話し合うよう求めた。
        審理はパレスチナ自治政府の要請で、昨年12月の国連総会決議に基づき開始。審理でパレスチナ側は「壁は非人道的であり、国際法違反で、地元経済にも悪影響を及ぼす」と主張し、壁の撤去などを求めた。イスラム諸国も「分離壁は中東和平プロセスに深刻な影響を与える」と批判した。
        一方、イスラエルは「当事者が交渉すべき政治問題で、審理の対象外だ」主張し、米欧諸国も「中東和平の障害になる」と審理を批判した。だが勧告は「イスラエルは壁建設で没収された土地や果樹園、オリーブの木を住民に返すべきだ」と強い調子で述べ、パレスチナ側の主張を全面的に支持した。判事15人のうち反対したのは米国出身の判事1人だけだった。(毎日新聞
        2004/07/10)
 
 

        イスラエル分離壁 パレスチナ人たちの生活基盤も分断

        ヨルダン川西岸中部のパレスチナ人の村マスハ。村の隣に進出してきたユダヤ人入植地との境にあるハーニ・アーメルさん(47)の家は昨年春、入植地を取り囲むように建設された分離壁によって、村から切り離されてしまった。目の前には巨大なコンクリート壁。背後には敵意むき出しのユダヤ人入植者。一家の過酷な境遇は、分離壁によって生活基盤を分断されてきたパレスチナ人たちの生活ぶりを象徴している。【マスハで樋口直樹】
        村側から、分離壁の向こうのアーメルさん宅に電話すると、長男ニダールさん(21)が壁門の隣にある小さな通用口のカギを開けてくれた。鉄製の頑丈な門扉を潜ると、高さ8メートルほどの壁と入植地に挟まれたネコの額ほどの土地に、古い平屋建ての家が1軒だけ立っていた。
        「壁の外側(入植地側)に取り残されてからは村人はおろか、親類たちの足も遠のいてしまって……」。妻ムニーラさん(40)は玄関前にそそり立つ分離壁を仰ぎ見ながらこう話した。通用口のカギを開ければ村との行き来は基本的に可能だが、巡回中のイスラエル兵に訪問客が出くわすと面倒なことになる。身分証の提示を求められ、訪問の理由を問われ、持ち物をチェックされることになるからだ。
        出入りの自由も100%保証されているわけではない。イスラエル軍が通用口付近の鉄さくを閉めれば、家族でも家から出ることも戻ることもできなくなる。「何度か家に帰れなかったことがある。すぐそこに自分の家があるのに……。こんなのバカげている」。ニダールさんはこう嘆く。
        今月3日には、入植地から飛んできた石で窓ガラスが割れた。壁をたたく石の音に幼い子どもたちが驚き、泣き叫んだ。入植者の嫌がらせは今に始まったことではない。
        「イスラエル政府は、私たちをここから追い出そうとしている」とムニーラさんは言う。分離壁の建設後、農業を営む夫はわずか2キロ先の農地へ行くために、20キロ以上の山道を3時間近くかけて通うはめになった。「でも、ここは私たちパレスチナ人の土地。たとえ200万ドルの補償金を積まれても立ち退きはしない」。母の言葉に息子たちが力強くうなずいた。
        =◇=
        イスラエルの計画によると、ヨルダン川西岸で建設が進む分離壁の総延長は約700キロで、これまでに約200キロが完成。05年末までの完成を目指している。全体の約9割は監視カメラや電子センサーなどを伴う金網型のフェンスだが、パレスチナ人居住地に接近した場所などには高さ8メートルほどのコンクリート製の壁が建設されている。
        イスラエルは分離壁建設の目的を「西岸からのテロリストの侵入阻止」と主張し、将来的な和平交渉の進展次第で移動や撤去も可能と説明している。一方、パレスチナ側は南アフリカでのかつての人種隔離政策にちなんで「アパルトヘイト・ウオール(壁)」と呼ぶなど、建設に強く反対している。(毎日新聞
        2004/07/10)
 
 

        イスラエル、分離壁の国連安保理決議で米国に支援要請

        【エルサレム10日ロイター】イスラエルのシャローム外相は10日、同国がヨルダン川西岸に建設中の分離フェンスは違法とする国際司法裁判所の判断に沿った決議を国連安保理が採択することを阻止するよう米国政府に要請したことを明らかにした。
        シャローム外相はイスラエルラジオとのインタビューで、「この問題は、パレスチナが国連総会で過半数を獲得する見通しのため、国連安保理で協議されるだろう」と述べ、国連安保理では拒否権が行使される可能性は十分にあるとの見方を示した。(ロイター通信
        2004/07/11)
 
 

        イスラエル・パレスチナ女性が合同で分離壁反対デモ

        【エルサレム=金沢浩明】イスラエルが建設中の分離壁について、エルサレム郊外のアラムで10日、イスラエルとパレスチナの女性が合同で「壁反対デモ」を行った。国際司法裁判所が国際法違反との判断を下したことを受けた運動。敵対する勢力の女性が連携行動を起こすのは珍しい。
        デモは地元の女性団体などが企画、約60人が「壁を倒そう」などと書いたプラカードを掲げて参加した。地元出身のパレスチナ人、ファティマ・アルトゥースさん(43)は「国際司法裁の判断は最近10年間で最良のニュース。イスラエルの人と一緒に運動を続ける」とこぶしを振り上げた。
        イスラエル人の人権活動家アンジェラ・ゴッドフレイさん(53)は「政府は建設続行の姿勢を崩さないが、住民の生活が悪化すればテロが起きる危険が逆に高まる」と顔を曇らせていた。(日本経済新聞
        2004/07/11)
 

        イスラエル軍侵攻で1人死亡=ガザ

        【エルサレム12日時事】パレスチナ自治区ガザ市からの報道によると、戦車などから成るイスラエル軍部隊が12日未明、ガザ地区南部のハンユニスに侵攻、住んでいた小屋が破壊された70代のパレスチナ人男性が、がれきの下敷きになって死亡した。男性は身体に障害があったという。(時事通信
        2004/07/12)
        国連、イスラエル軍が援助活動の輸送車に銃撃と非難
        【ガザ14日ロイター】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のハンセン事務局長は14日、ガザで同機関の輸送車に向けてイスラエル軍が故意に銃撃したとして非難した。
        イスラエル軍関係者は、輸送車への銃撃は故意ではなく、イスラエル軍に発砲した武装パレスチナ人がいたためと説明している。
        同事務局長は、2週間前にも封鎖されたガザ地区でイスラエル軍が、同機関の輸送車に向けて銃撃した、と述べている。
 

        銃撃による負傷者は出ていない。(ロイター通信 2004/07/15)

        NZ、イスラエルと外交関係制限
        【シドニー=野沢康二】ニュージーランドのクラーク首相は15日、イスラエル情報機関に関係する人物が旅券の不正取得を企てたとして、イスラエルとの外交関係を制限すると発表した。8月に予定していたカツァブ大統領の訪問を拒否する。
        首相らの説明ではイスラエル人1人が3月、ニュージーランドで他人になりすまして旅券を申請した。本人は逃亡したが、その後関係する2人が逮捕され、オークランド高等裁判所が15日に実刑判決を下した。首相は「イスラエル情報機関がこの件に関与し、ニュージーランドの主権と国際法を犯した」と批判。今年後半の外相会談も中止し、イスラエル新大使の認証を当面見送ると述べた。(日本経済新聞
        2004/07/15)
 

        イスラエル:首相が在仏ユダヤ人に即時脱出呼びかけ

        【パリ福島良典】イスラエルのシャロン首相は18日、エルサレムで開かれた集会で「フランスで凶暴な反ユダヤ主義が広まっている。ユダヤ人はただちにイスラエルに移住を」と在仏ユダヤ人に仏からの即時脱出を呼びかけた。仏政府は「受け入れられない発言」(外務省報道官)と反発、両国間の外交問題に発展しそうな雲行きだ。
        フランスは欧州最大規模のイスラム教徒人口(約500万人)とユダヤ人人口(約60万人)を抱えている。このため中東情勢の悪化が国内の社会不安につながりやすく、在仏ユダヤ人団体幹部は「パレスチナとイスラエルの衝突が激化した3年前ごろから反ユダヤ主義が台頭してきた」と主張している。
        特に今春以降、ユダヤ人墓地の墓石にナチス・ドイツのカギ十字が落書きされるなどの事件が続発。仏内務省によると、昨年発生した反ユダヤ主義的な行為や脅迫は593件だったが、今年は6月末時点ですでに510件に達している。
        シャロン首相は「仏政府は対策を取っている」と認めながらも「仏は人口の約10%がイスラム教徒で、その結果、反イスラエル感情・宣伝に基づく新しい形の反ユダヤ主義が生まれている」と指摘し、「在仏の兄弟たち」に出国を促した。
        仏外務省はイスラエル政府に発言の真意について説明を要求し、在仏ユダヤ人団体も「受け入れられない方法で火に油を注ぐやり口」と同首相を批判。仏メディアは「欧州連合(EU)中で最もパレスチナ寄りとみなす仏の影響力を弱めるのが首相の政治的な狙い。パレスチナ人の人口増加に対抗するため、在仏ユダヤ人の移住に目をつけているのだ」(仏紙フィガロ)と分析している。(毎日新聞
        2004/07/19)
 
 

        フランス政府、シャロン首相の訪仏拒否 差別発言で

        パリ(CNN)イスラエルのシャロン首相がユダヤ系フランス人に対し、「フランス国内にはすさまじいユダヤ人差別がある」からとイスラエル移住を促した問題で、フランスのシラク大統領は報道官を通じ、シラク首相が発言の真意を説明するまでは、首相の訪仏は歓迎できないとコメントを発表した。
        大統領報道官は、「フランス政府が求めている説明が得られるまで、イスラエル首相の訪仏が具体的に検討されることはない」と談話を発表した。
        仏政府関係者によると、政府はシャロン首相をパリに招待はしていたが、具体的な予定はまだ組んでいなかったという。
        シャロン首相は18日、世界各地のユダヤ人はイスラエルに移住すべきだと従来の主張を展開した上で、フランス国内では特にユダヤ人差別と反ユダヤの暴力事件が相次いでいるため、フランス在住のユダヤ人は「早急に移住する必要がある」と発言した。
        フランス外務省はこれにただちに猛反発。「全く受け入れられない」と首相発言を強く批判し、正式に説明を求めた。
        イスラエルのパリ大使館はAP通信に対し、シャロン首相の発言は誤解されていると説明。大使館のレバ公使は、ユダヤ人がユダヤ人らしく生活するには、イスラエル移住が好ましいとする、シャロン首相のかねてからの持説を改めて展開したまでだと、話している。
        人口6000万人のフランスは、北アフリカ出身などのイスラム系住民500万人とユダヤ系住民60万人を擁する。パレスチナとイスラエルの対立が激化した2000年秋以降、双方の対立による事件が相次いでいる。フランス内務省によると、今年前半の6カ月間で、ユダヤ人墓地の墓石にナチスドイツのカギ十字を落書きするなど、ユダヤ人を標的にした攻撃や脅迫行為は510件あり、前年1年間の593年に比べ、大幅な増加傾向を見せている。(CNN
        2004/07/20)
 
 

        分離壁の撤去、イスラエルに要求 国連総会が決議採択

        国連本部(CNN)国連総会の緊急特別総会は20日、イスラエルがヨルダン川西岸などで建設している分離壁の撤去を求める決議案を賛成150、反対6、棄権10の圧倒多数で採択した。米国は通常通りイスラエルを支持し反対票を投じたが、日本や欧州連合(EU)各国は賛成票を入れた。総会決議に拘束力はないが、国際社会の大多数がイスラエルの行為と、同国を支持する米国に、反対票を投じたことになる。
        採択された決議は、国連総会にオブザーバー参加しているパレスチナ自治政府の要請を受けて、アラブ諸国が提出したもの。イスラエルに対して分離壁の撤去を求め、壁建設によって生活を侵害されたパレスチナ人への損害賠償を求めた、国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見の順守を求めた内容。
        決議はさらに、イスラエルの自衛権を重視するEUの要求に応じて、テロ非難の文言を織り込んだ。また、イスラエルとパレスチナ双方に、新和平案(ロードマップ)の履行を求めている。
        イスラエルのギラーマン国連大使は採択後、「イスラエルとユダヤ人の運命は、この議事堂で決まるものではない。それを神に感謝しなくては」と皮肉を放った。大使は、国際世論がパレスチナのプロパガンダにだまされていると批判し、「人命の損失を食い止める(分離壁に)こんなに熱心に反対する一方、人命を奪い続けるパレスチナのテロ行為にはあまりに無関心だ」と、決議案に賛成した加盟国を非難した。
        決議案に反対したのは、イスラエルと米国のほか、オーストラリア、マーシャル諸島、ミクロネシア、パラウの6加盟国。
        国連総会決議には、安全保障理事会の決議のような拘束力はないが、イスラエルが決議内容を履行する姿勢を見せなければ、安保理に同様の決議案が提出される可能性はある。パレスチナ自治政府のアルキドワ国連代表は先週、安保理に決議案を提出しても米国が拒否権を行使するだけなので、安保理への決議案提出は当面見送るが、いずれは可
能性があると話していた。(CNN
        2004/07/21)
 

イスラエル首相顧問「分離壁建設は続行」

        【カイロ=松尾博文】イスラエルのラナン・ギシン首相顧問は21日、国連総会がイスラエルによるヨルダン川西岸での分離壁の建設中止と解体を求める決議を採択したことについて、「建設は続行する。自衛権を放棄することはない」と述べた。
        シャロン首相の側近であるギシン氏は、決議採択を「多数決による専制政治だ」と指摘。「ユダヤ人国家への反感が支配する国連の決議には驚かない」と述べて国連の姿勢を強い調子で批判した。総会決議案は今月上旬に国際司法裁判所が、分離壁建設は国際法違反だとの判断を下したことを受けてパレスチナなどが提出、圧倒的多数で可決された。総会決議には拘束力はないが、イスラエルは国際司法裁の勧告にも従わない方針を表明しており、国際社会の反発が一段と強まりそうだ。(日本経済新聞
        2004/07/21)
 
 

        仏週刊誌:シラク仏大統領が「シャロン首相の本音は“大イスラエル”創設にあり」と発言

        【東京29日=齊藤力二朗】イスラエルのシャロン首相がフランス在住のユダヤ人にイスラエルへの移住を促したことで両国の関係が悪化している中、フランスの高級週刊誌のカナール・アンシェネが、「シャロン首相の本音はパレスチナ人を追放して“大イスラエル”創設することだ」とシラク大統領が発言したとする記事を掲載した。29日付のネット紙イスラム・メモが同誌から引いて報じた。...(日刊ベリタ
        2004/07/29)
 

        イスラエル:ヨルダン川西岸の入植地拡大を承認

        【エルサレム樋口直樹】イスラエルのシャロン政権がエルサレム近郊のヨルダン川西岸で、ユダヤ人入植地の拡大を承認していたことが2日、明らかになった。モファズ国防相は同日、新たに分離壁を建設してこれらの入植地をイスラエル領側へ取り込む方針を表明。ガザ地区からの撤退と引き換えに、ヨルダン川西岸での入植地の拡大・固定化を図るという、シャロン政権の「本音」が表面化した形だ。
        拡大が計画されているのは、東エルサレムに隣接する最大規模の入植地マアレ・アドミム。この入植地には既に約2万8000人が住んでいるが、シャロン首相とモファズ国防相は2カ月前、新たに600戸の住宅建設を承認した。国防相は同入植地と隣接する別の入植地の計2カ所を名指しして、エルサレムの一部として分離壁によってイスラエル領側へ組み込む考えを示した。
        イスラエルは67年の第3次中東戦争で東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザ地区を占領。国際社会の反対を押し切ってエルサレムを首都と定め、占領地でユダヤ人入植地を建設してきた。こうした入植地政策は占領地の併合を意味するため、米主導の新中東和平案「ロードマップ」は入植地の拡大を完全に停止するようイスラエルに求めている。
        また、イスラエルが「テロリストの侵入阻止」を名目に西岸で建設している分離壁についても、国際司法裁判所が「国際法違反」として建設中止や撤去などを勧告したばかり。だが、モファズ国防相は「フェンス(分離壁の建設ルート)は67年ライン(第3次中東戦争以前の軍事境界線)には基づかない」と言明するなど、独自路線を貫く考えを改めて表明した。
        エルサレム周辺の分離壁ルートは近く、閣議で正式決定される。
        シャロン首相は05年末までに、ガザ地区の全ユダヤ人入植地21カ所とヨルダン川西岸の入植地4カ所を一方的に撤去すると発表し、欧米諸国から賛同を得ていた。しかし、パレスチナ側はイスラエルが比較的小規模なガザの入植地を撤去する代わりに、より大規模な西岸の入植地を拡大・固定化するのではないかと警戒している。(毎日新聞
        2004/08/03)
 

        西岸最大入植地を拡大へ=エルサレムと接続も−イスラエル紙

        【エルサレム5日時事】イスラエル政府がヨルダン川西岸にある最大のユダヤ人入植地マーレアドミムの拡張計画を進め、将来的にエルサレムと土地を連続させる予定であることが5日、明らかになった。同日付のマーリブ紙が報じた。
        和平案「ロードマップ(行程表)」でイスラエルは入植活動の凍結を求められている。シャロン首相は、パレスチナ・ガザ地区撤退計画を進める一方で、西岸の大規模入植地を維持、拡大する意向を持っており、和平実現の障害になりそうだ。(時事通信
        2004/08/05)
 
 

        イスラエル軍、ガザ北部侵攻 10歳少年ら3人死亡

        イスラエル軍は4日、ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプに侵攻、地元医療当局によると、10歳の少年を含むパレスチナ人3人が軍兵士に射殺され死亡した。
        軍は6月下旬、イスラエル領へのパレスチナ過激派によるロケット弾攻撃を防止するため、ガザ地区北部のパレスチナ自治区ベイトハヌーンに侵攻。その後もロケット弾攻撃が続いたため4日、人口が密集するジャバリヤ・キャンへの侵攻を開始した。(共同)(産経新聞
        2004/08/05)
 
 

        イスラエル軍、英BBC取材班を一時拘束

        ヨルダン川西岸パレスチナ自治区ナブルスで12日、英BBCテレビの記者やカメラマンら取材班の3人が約4時間にわたってイスラエル軍兵士に拘束された。イスラエル軍広報官はBBCに遺憾の意を表明、事実関係を調査している。
        ナブルスでは連日、イスラエル軍と武装パレスチナ人の銃撃戦が続いている。BBCによると、取材班はパレスチナ人医師の問診に同行していたが、訪れた家がイスラエル軍によって攻撃拠点として接収されており、一行はその家の中から出ることを約4時間禁じられた。その間、兵士はその家から発砲を続けていたという。(朝日新聞
        2004/08/13)
 
 

        イスラエルがガザ地区侵攻、4人を殺害

        【ガザ地区2日ロイター】イスラエルは2日、ほぼ6カ月ぶりの自爆攻撃に対する報復としてガザ地区を侵攻し、14歳の少年を含む4人のパレスチナ人を射殺した。
        また、ガザ地区の別の区域では、イスラエル軍がアパートの建物2つを爆破し、多数のパレスチナ人が自宅を失った。
        イスラエル軍はヘリで警告射撃をした後、兵士が、対戦車砲を発射し、火炎瓶を投げるパレスチナ人らを射殺したという。
        あるイスラエル軍筋は、ユダヤ人入植地付近のトンネルを発見したことから戦闘が発生し、パレスチナ人3人に発砲したと説明したが、3人の状態には触れなかった。
        パレスチナの医療関係者によると、14歳の少年と19歳の兄、ほかに19歳の若者2人、合わせて4人が死亡し、41人が負傷した。(ロイター通信
        2004/09/03)
 
 

        パレスチナ人居住区を侵食 分離壁ルートで首相方針

        【エルサレム9日共同】イスラエルのシャロン首相は8日、テロ防止を目的にヨルダン川西岸に建設中の分離フェンスのルート変更に関し、モファズ国防相ら治安当局の責任者と会合を開いた。同国紙マーリブ(電子版)によると、首相は大規模入植地のアリエル、マーレアドミムなどをイスラエル側に取り込む意向を示した。
        ルート変更の最終決定には閣議や最高裁の了承が必要だが、首相の意向が反映されれば、フェンスは大きくパレスチナ人居住区に食い込む形となり、国際社会の非難は強まりそうだ。フェンスが将来の国境となる懸念も広がるとみられる。(共同通信
        2004/09/09)
 

        イスラエルがガザ侵攻、9歳少年含むパレスチナ人5人死亡

        【ジャバリヤ(ガザ地区)9日ロイター】イスラエル軍は9日、戦車や装甲車などでガザ地区最大の難民キャンプに侵攻、9歳の少年を含むパレスチナ人5人を殺害した。10万人が居住しているこのキャンプは、過激派の拠点とされている。
        イスラエル軍はこの攻撃について、ロケット弾による対イスラエル攻撃を止めさせるため、としている。イスラエル軍は武装ヘリでキャンプにミサイル攻撃を行い、キャンプ内外では武装集団の間で銃撃戦となった。
        医療関係者によると、この攻撃で過激派や民間人を含め、35人が負傷した。(ロイター通信 2004/09/10)
 

        パレスチナ:イスラエル軍、学校巻き添え 10歳女児、頭撃たれ重体──ガザ地区

        【エルサレム樋口直樹】イスラエル軍占領下のガザ地区で、パレスチナ人の小学校の教室にイスラエル軍の銃弾が飛び込み、子どもたちが負傷する事件が相次いでいる。7日には10歳の少女が頭を撃たれ重体になった。イスラエル軍の攻撃が、聖域であるべき教育現場にまで及んでいることに、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は非難の声を上げている。
        UNRWAによると、7日午前8時前、ガザ地区南部ハンユニスの難民キャンプにある国連の女子小学校で、教室に座っていたアッサールさん(10)がイスラエル軍の銃弾で頭を撃たれた。彼女は病院で手術を受けたが、意識不明のまま危険な状態が続いている。
        事件は午前7時過ぎ、ハンユニスの武装勢力が近くのユダヤ人入植地グシュカティフに向け、自家製のロケット弾を撃ち込んだことがきっかけ。入植地を守るイスラエル軍がこれに反撃するため、難民キャンプ西部に向けて銃撃。これらの銃弾の一部が学校の教室を直撃したという。
        イスラエル軍筋は毎日新聞に対し、武装勢力からのロケット砲攻撃に反撃したことは認めた。だが、小学校の教室で児童が負傷したことは未確認で、パレスチナ側からの非難に基づき事実関係を調査しているという。
        こうした事件は国連が運営する学校だけでここ1年半で3件目。被害者は計4人に上る。ハンユニスでは03年3月にも、12歳の少女が教室でイスラエル軍の銃弾を頭に受け、失明した。今年6月には南部ラファの男子小学校で2人の10歳の少年が負傷。うち1人はいまだに流動食しか食べられない状態という。
        UNRWAのハンセン事務局長は「教室を危険にさらす無差別な実弾射撃はとうてい容認できない」と厳しくイスラエル軍を非難、「学校の神聖さの破壊に強く抗議する」との声明を発した。
        一方、イスラエルでは7日、ユダヤ教正統派の著名なラビ(導師)らが、パレスチナの民間人を巻き込む可能性があっても、イスラエル人を守るためなら軍隊による武装勢力への攻撃を認めるべきだ、との要請文をモファズ国防相へ提出したと報じられた。武装勢力との衝突激化で、さらなる巻き添え被害の続出が懸念されている。(毎日新聞
        2004/09/10)
 

        過激派掃討でパレスチナ人9人殺害=女児も犠牲に−イスラエル軍

        【エルサレム15日時事】パレスチナ自治区からの情報によると、ヨルダン川西岸各地で15日、イスラエル軍部隊が過激派掃討作戦を実施し、パレスチナ解放機構(PLO)主流派組織ファタハの軍事部門「アルアクサ殉教者部隊」などの活動家9人を殺害した。自治区ナブルスでは11歳のパレスチナ人女児1人も軍部隊に射殺された。(時事通信
        2004/09/15)
 

        イスラエル軍:ガザ地区で民家50戸破壊

        【エルサレム樋口直樹】パレスチナ武装勢力による手製ロケット弾の無差別攻撃が頻発しているガザ地区で、イスラエル軍が攻撃阻止を名目にパレスチナ難民キャンプに侵攻、多数の家屋が破壊されている。パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、25日には南部ハンユニスで約50戸が破壊され、240人が家を失った。武装ヘリによる空爆で死傷者も出ている。
        ガザ地区南部のユダヤ人入植地で24日、イスラム原理主義組織「ハマス」が発射した手製ロケット弾が民家を直撃、24歳の女性を殺害した。ロケット弾攻撃による死者は6月末、同地区の隣接地で3歳児を含む2人が死亡して以来。
        神出鬼没のロケット弾攻撃を阻止するため、イスラエル軍は発射地点周辺のパレスチナ人居住地への侵攻を繰り返しており、25日未明にはハンユニスの難民キャンプへ侵攻していた。約50戸の家屋が破壊されたとのUNRWA側の報告について、軍当局は「正確な数は調査中だが、UNRWAの数よりずっと少なく、9割以上は無人で武装勢力に利用されていた」と主張している。
        また、ハンユニスでは25日、イスラエル軍武装ヘリによるミサイル攻撃で60歳代のパレスチナ人1人が殺害され、3人が負傷した。軍当局は武装勢力を狙った攻撃だったとしているが、地元住民によると死傷者には民間人も含まれているという。(毎日新聞
        2004/09/26)
 

        イスラエル軍がガザで4人射殺

        【エルサレム=時事】パレスチナ自治区からの情報によると、パレスチナ過激派によるロケット弾発射を阻止するためガザ地区北部に侵攻したイスラエル軍部隊は29日、ジャバリヤ難民キャンプ周辺でイスラム原理主義組織ハマスの活動家と10歳代の少年2人のパレスチナ人計3人を射殺した。
        武装ヘリコプターに支援された戦車などの大部隊が28日深夜、ガザ地区北部のベイトライヤ、ベイトハヌーン両自治区に侵攻。過激派の牙城であるジャバリヤ難民キャンプにも入り、銃撃戦が起きていた。
        また、ガザ地区中部のユダヤ人入植地付近ではこの日、投石していたパレスチナ人の少年1人が軍兵士に撃たれて死亡。ヨルダン川西岸の自治区ナブルスやジェニンでも、イスラエル側に指名手配されていたパレスチナ人ら3人が射殺された。(中日新聞
        2004/09/30)
 
 

        イスラエル:シャロン首相 ガザ地区の占領地拡大を表明

        【エルサレム樋口直樹】イスラエルのシャロン首相は3日、ガザ地区からのロケット弾攻撃を防ぐため、同地区北部での占領地をさらに拡大する方針を明らかにした。イスラエル軍放送によると首相はまた、「(自らが提唱する)ガザ地区撤退計画は実行される。すべての命令は、撤退時に(武装勢力の)砲火にさらされないためのものだ」と語り、ガザ撤退の断行を確認した。
        イスラエル軍は3日、ガザ北部に加え、南部ハンユニスなどへも侵攻。地元からの情報では、戦車砲や武装ヘリのミサイル攻撃により、同日だけで民間人を含むパレスチナ人7人が死亡した。死傷者はさらに増える見通しだ。(毎日新聞
        2004/10/03)
 
 

        国連とイスラエル非難合戦 「ロケット弾運搬」で調査

        イスラム原理主義組織ハマスのメンバーが国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の救急車をロケット弾運搬に使っているとイスラエル政府が非難、ハンセンUNRWA事務局長が「言い掛かり」と真っ向から反論し、論争となっている。アナン国連事務総長が事実関係の調査に乗り出し、5日には国連の調査団を現地に派遣し関係者から事情を聴く。
        イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザへの大規模侵攻作戦を始めた後の1日夜、国連がハマスに「協力している証拠」としてビデオをメディアに公開、イスラエルのテレビなどで放映させた。
        ビデオは無人偵察機が撮影した白黒映像。屋根に国連車両を示す「UN」と書かれた救急車型の車の後部ドアを開き、男性が細長い物体を投げ入れる場面が写っている。軍はこの物体について、ハマスがイスラエル攻撃に使うロケット弾と断定した。
        これに対し、ハンセン事務局長はUNRWA職員に対する事情聴取を行った結果、軍がロケット弾と主張する物体は畳んだ担架だったことが判明したと反論。4日、声明を発表し「軍の悪意ある反国連宣伝」に対する政府の謝罪を要求した。
        イスラエルとUNRWAは長年にわたり険悪な関係にある。イスラエルは以前からハンセン事務局長を「反イスラエル的」と批判していた。(共同)(産経新聞
        2004/10/05)
 

        イ軍がガザでパレスチナ幹部、13歳少女ら7人を殺す

        【ジャバリヤ(パレスチナ・ガザ地区)5日】パレスチナのガザ地区北部に侵攻しているイスラエル軍は5日、難民キャンプの外でパレスチナの強硬派組織「イスラム聖戦」の軍事部門アルクッズ旅団のガザ地区のリーダー、バシル・アル・ディブシュ氏(40)の乗った車に攻撃をかけ、ディブシュ氏と仲間1人を殺した。また13歳の少女を含め、この日パレスチナ人合計7人がイスラエル軍に殺された。
        少女はラファの町で殺された。イスラエル軍はガザ地区との境界のイスラエル支配地にある監視塔から少女に向け発砲した。ラファの病院によると、少女は20発の弾丸を受けていた。しかしイスラエル軍筋は、少女が立ち入り制限区域に入り、爆発物のような物を仕掛けたので発砲したと主張している。9月28日のイスラエル軍装甲部隊のガザ侵攻以来死亡したパレスチナ人はこの日で82人に達した。
        一方、5日の国連安全保障理事会で米国は、イスラエル軍のガザ撤退を求めたアラブ諸国提出の決議案に拒否権を行使した。〔AFP=時事〕 (時事通信
        2004/10/06)
 

        米国、ガザ攻撃中止求める国連決議案に拒否権

        【国連5日ロイター】米国は5日、イスラエルにガザ地区攻撃の即時中止を求める国連安全保障理事会の決議案に、拒否権を発動した。一連の攻撃で、パレスチナ人68人が死亡している。
        この日の採決では、理事国15カ国中11カ国が、賛成票を投じた。英国、ドイツ、ルーマニアは棄権した。
        過去59年間に米国が拒否権を発動した回数は今回を含め80回。このうち29回が、イスラエル・パレスチナ問題に関するもの。前回は3月25日、イスラエルによるハマス指導者ヤシン師暗殺に対する非難決議に対して発動された。(ロイター通信
        2004/10/06)
 

        イスラエル、国連職員13人を拘束

        【カイロ=金沢浩明】イスラエル軍は5日、国連職員13人を拘束していることを明らかにした。テロ行為に関与していたとし、近く告発するという。イスラエルは国連の車がパレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃に使用されたと非難し、国連側が強く反論している。職員の拘束はさらに激しい論議を巻き起こしそうだ。
        軍参謀本部のジブ将軍によると、職員は全員が現地採用のパレスチナ人。名前や拘束の日時、場所には触れなかった。
        イスラエルは先週末、ガザ地区で細長い物体を抱えた3人組が国連の救急車に乗り込む空撮ビデオを公開し、ロケット弾の運搬に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が協力していると非難。国連側は抱えているのは担架だと反論していた。ジブ将軍は担架の可能性もあるとした上で、「負傷者もいない場所に国連の救急車があること自体不審であり、UNRWA職員は明らかにテロ行為のため車を利用していた」と主張した。(日本経済新聞
        2004/10/06)
 
 

        パレスチナ人死亡者、77人に イスラエルのガザ侵攻

        パレスチナ自治区ガザ──パレスチナ側のロケット弾発射阻止を名目に、ガザ北部で大規模侵攻作戦を8日前から続けるイスラエル軍は7日、15歳の10代のパレスチナ人住民2人を殺害、パレスチナ病院筋などによると、攻撃開始後に死亡したパレスチナ人はこれで計77人となった。ロイター通信が伝えた。
        パレスチナの医師によると、2人は学校へ向かう際に、攻撃を受け死亡。イスラエル軍当局者は、2人はロケット弾「カッサム」を発射しようとしたため、空中からミサイル弾で殺害したと、説明が食い違っている。
        7日も衝突は続き、パレスチナ強硬派組織「ハマス」の戦闘員がカッサムを2発、イスラエルの町へ発射、うち1発が家屋を直撃した模様。死傷者などは出ていないとしている。(CNN
        2004/10/07)
 

        砲弾が家屋直撃、2人死亡 ガザ、イスラエル軍攻撃で

        【エルサレム9日共同】パレスチナ自治区ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプ付近で9日夜、イスラエル軍戦車の砲弾が家屋を直撃、中にいたパレスチナ人2人が死亡した。
        パレスチナ筋によると、家屋には今年3月、イスラエル中部アシュドッドで10人が犠牲となった自爆テロの犯人の家族が住んでいた。イスラエル軍は、武装グループからの攻撃に応戦した際、誤って家屋を直撃しただけだとしている。
        軍はパレスチナ過激派によるイスラエル領やガザ地区内のユダヤ人入植地に対するロケット弾攻撃を阻止するため、9月末から同地区北部に侵攻。パレスチナ側の死者はこれまでに約90人に上った。(共同通信
        2004/10/10)
 

        イスラエルがガザ北部で攻撃、対ロケット弾レーダー設置へ


        【ガザ/エルサレム13日ロイター】イスラエル軍が13日、ガザ地区北部での戦闘で、イスラム原理主義組織ハマスのメンバー宅をミサイル攻撃し、メンバー1人が死亡した。パレスチナの医療関係者が明らかにした。
        他のメンバー3人も負傷した。夜明け前にイスラエル軍戦車が同地区に侵攻し、戦闘が始まった。パレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃の阻止に向けたガザ地区北部でのイスラエルの軍事作戦は、9月末から開始されている。2週間に及ぶ軍事作戦でパレスチナ人93人が死亡、うち53人が武装勢力で、ほかは一般市民。
        また、パレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃にさらされているイスラエルの町では、ロケット弾の発射を捕捉するレーダー・システムが設置されることになった。3週間のテストを経て、実戦配備される。
        ロケット弾の発射を感知し、25秒間警報が鳴るという。(ロイター通信 2004/10/13)
        10歳少女、教室で撃たれる パレスチナ
        パレスチナ自治区ガザ(CNN)パレスチナ病院関係者らによると12日、ガザ南部ハンユニス難民キャンプの学校で10歳の少女が撃たれ、重体となった。パレスチナ筋は、少女は教室に座っていたところで、イスラエル軍の発砲にあたったようだと話している。
        病院関係者らによると、ガディル・マトマルちゃんは国連が運営する学校の教室にいたところ、いきなり胸や腹部に銃弾を受けた。
        イスラエル軍は、自軍に砲弾が撃ち込まれたため、発砲のあった方向に向けて銃撃をしたと認め、ガディルちゃんの負傷との関連を調べている。
        ガザ南部では先週も、ラファで13歳のパレスチナ人少女がイスラエル兵に撃たれて死亡しており、イスラエル軍が事実関係を調査している。軍は当初、少女がかばんを手に兵士らに向かって走ったので、自爆テロかと警戒した兵士たちが正当防衛で発砲したと説明。その後、少女が20発以上も撃たれていることが判明し、兵士らが自分たちの上官が少女に数十発も立て続けに撃ち込んだと証言するなど、事態の異常性が発覚し、問題となっている。(CNN
        2004/10/13)
 
 

        イスラエル:軍、「国連救急車に武器」撤回──ガザ地区空撮ビデオ、誤解認める声明

        【ラファ(ガザ地区南部)樋口直樹】イスラエル軍は12日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の救急車がロケット弾の運搬に悪用されていることを示す証拠だと主張してきた空撮ビデオが、実は折り畳まれた担架を映したものだったことを認める異例の声明を出した。ビデオ映像を巡り両者が真っ向から対立し、国連が現地調査団を派遣する騒ぎに発展していただけに、軍当局の信用度を著しく傷付けることになった。
        イスラエル軍は今月1日、ガザ地区の上空から撮影したビデオ映像をインターネット上で公開。これには2人がUNRWAの救急車の荷台に細長い物体を積み込む様子が映し出されていた。軍側はこの物体がパレスチナ武装勢力の通称「カッサム・ロケット」(手製ロケット弾)だと主張。UNRWA非難のキャンペーンを展開した。背景には、多数の現地職員を抱え、パレスチナ側に同情的とされるUNRWAへの不信感がある。
        これに対しUNRWAのハンセン事務局長は、全関係職員からの聞き取り調査やビデオの解析などをもとに、問題の物体が患者を運ぶための担架を折り畳んだものだったと反論。ビデオはUNRWAを中傷するための「悪意に満ちた宣伝」だとして、イスラエル外務省に謝罪を求めた。
        一方、ビデオ公開直前には、ロケット弾攻撃阻止を目的としたガザ北部へのイスラエル軍の大規模侵攻で、パレスチナ人32人とイスラエル人3人が死亡していた。このため、パレスチナ側には、ビデオ公開は軍事侵攻に対する国際社会からの非難をかわすのが目的だった、との見方もある。(毎日新聞
        2004/10/13)

        ガザ南部で2人死亡 イスラエル軍による空爆

        【エルサレム14日共同】イスラエル紙ハーレツ(電子版)によると、ガザ地区南部のパレスチナ自治区ラファの難民キャンプで14日、イスラエル軍による空爆で市民2人が死亡した。
        イスラエル軍は、コメントしていない。同軍は、9月末から同地区北部に侵攻中で、多数の死傷者が出ている。(共同通信 2004/10/14)
 

        パレスチナ少女にとどめの乱射 イスラエル兵が内部告発

        通学の途中だった13歳のパレスチナ人少女が今月5日、イスラエル兵に撃たれて死んだ。パレスチナ自治区では珍しくない事件だが、イスラエルでスキャンダルに発展している。兵士が少女を誤射したうえに、司令官が少女に歩み寄ってライフルでとどめの乱射を加えたことが内部告発で明るみに出たためだ。
        事件はガザ南端のラファ近くで起きた。イマーン・アルハムスさんは朝6時ごろ、昼食のサンドイッチを手に、母のフワイダさん(40)にキスして家を出た。数百メートル離れた学校に歩いて向かう途中、イスラエル軍の監視所に詰めていた兵士が見つけ、銃撃した。
        軍は監視所の周囲300メートルを立ち入り禁止区域としており、少女はなぜかそこに入り込み、監視所から約70メートルのところまで近づいたらしい。軍は当初、誤射を認めつつも、少女の落ち度を主張していた。
        風向きが変わったのは8日。イスラエルの最大紙イディオト・アハロノトに、「部隊司令官が少女にとどめを刺した」という兵士の告発が載った。
        それによると、監視所からの銃撃があった後、倒れた少女に司令官の大尉が近づき、頭と腹に1発ずつ、さらに至近距離からライフルの弾倉が空になるまで銃撃を続けた。複数の兵士が同様の証言をし、少女の体からは約20発の銃弾が見つかった。
        報道を受けて軍は11日、大尉に対する捜査を始めるとともに司令官の職を解任、「事態の深刻さを認識している」との声明を出したが、大尉本人は告発内容を否定しているという。イスラエルの全メディアは連日、軍の対応を大きく報道。国会外交防衛委員会は12日、ヤアロン参謀長を召喚してこの問題を取り上げ、左派議員が「軍のモラルは崩壊寸前だ」と厳しく批判した。
        遺族のもとには軍から何の連絡もないという。父のサミールさん(50)は言った。「娘は戦士でも過激派でもない。イスラエルのシャロン(首相)にただ一言、『なぜなんだ』と問いたい」
        イスラエルはパレスチナでの軍事作戦を「テロとの戦い」と銘打っている。だが、この少女が事件当時に持っていたのは、教科書の入ったリュックだけだった。(朝日新聞
        2004/10/14)
 

        イスラエル軍のガザ北部軍事作戦、民間人40人死亡

        【ジャバリヤ難民キャンプ(ガザ地区北部)=安川純】イスラエル軍は15日夜、先月28日から行っていたガザ地区北部での軍事作戦を終了した。イスラム原理主義組織ハマス鎮圧を目的とする18日間に及ぶ軍事作戦で、パレスチナ人100人以上が死亡、うち40人以上が民間人だった。
        今月7日には、スポーツクラブのグラウンドで遊んでいた12歳の少年が命を落とした。体内からは金属棒やミサイルの破片が数多く見つかった。「家族ですら本人とわからなかった」。現場付近にある病院の院長が言う。(読売新聞
        2004/10/16)
 
 

        パレスチナ住民、イスラエル軍撤退の住居跡で途方に暮れる

        【ジャバリア難民キャンプ(ガザ地区)16日ロイター】大規模侵攻作戦を終えたイスラエル軍が撤退したガザ地区のジャバリア難民キャンプでは16日、パレスチナ住民は破壊された住居跡で途方に暮れている。
        ラマダン(断食月)の始まりに際して、イスラエル軍は人口の密集したガザ地区からの撤退を決めたが、モファズ国防相はロケット弾攻撃阻止のための戦闘は停止しない意向を示した。
        医療関係者によると、17日間の掃討作戦で100人以上のパレスチナ人が死亡した。(ロイター通信 2004/10/17)
 
 

        イスラエル軍:逃げる少女に背後から銃弾 ガザ地区

        イスラエル軍占領下のガザ地区南部で今月5日、通学中の13歳のパレスチナ人少女が兵士に射殺された。小柄な体に撃ち込まれた銃弾は少なくとも15発。「視界不良の中でテロリストと誤認した」との軍側のお決まりの説明をそのまま受け入れることはできなかった。私にも11歳の娘がいる。殺された少女の無念さを思い、現場に入った。【ガザ地区南部ラファで樋口直樹】
        ガザ地区最南端のエジプト国境に接する町ラファ。第3次中東戦争(67年)などで故郷を追われた難民が肩を寄せ合うテルスルタン地区で、事件は起きた。5日午前6時45分ごろ、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の小学校に通うイーマーン・アルハムスさんは、学校から400メートルほど離れた荒れ地を1人で歩いていた時、近くのイスラエル軍陣地から銃撃された。
        「当時は濃霧のため視界が悪く、同時にパレスチナ人居住区方向から銃撃されたため、テロリストの爆弾攻撃と判断、射殺した」。事件直後、イスラエル放送は軍当局筋の話としてこう伝えた。
        だが、証言は食い違う。近くのブロック製造工場から事件を目撃したゾアロブさんは「(当時)霧はなく、視界は良かった」と断言する。かつて宅地や農耕地だった一帯はイスラエル軍のブルドーザーで破壊され、遮へい物はない。軍の陣地は小高い丘の上にある。
        ゾアロブさんによると、最初の銃撃は軍陣地の監視塔付近からだった。イーマーンさんの足元への銃弾で砂煙が上がると、少女は手にしたカバンを捨てて走り始めた。途中で足を撃たれ、よろめきながら数十メートル逃げたが、ついに小さなくぼ地に倒れ込み、2度と立ち上がらなかったという。
        非情な仕打ちは続いた。少女を追った兵士5人のうち1人が、少女が倒れているくぼ地に向け数メートルの至近距離から自動小銃を連射した。「あの子は既に死亡していた。彼らは死体に銃弾を浴びせたことになる」と、遺体を検視したアルハムス医師。頭や胸、手足など15カ所以上撃たれていた。医師は、皮肉にもイーマーンさんの親類だった。
        少女はなぜか通学路から外れ、立ち入り禁止区域を歩いていた。しかし、青と白の縦じまの学校の制服を着ていた。逃げる少女に追い打ちをした行為は、常軌を逸しているとしか思えない。
        事件後、内部告発により、倒れた少女を銃撃したのは中隊長で、部下の制止を振り切っての行為だったことが判明。イスラエル国内からも非難の声がわき上がり、軍当局も調査に乗り出した。
        「なぜ娘が殺されなければならなかったのか教えてほしい」。少女の父サミールさんは、泣きはらした目で私にこう訴えかけた。無抵抗な子どもが殺され、その真相も十分に明らかにされない。そんな戦場の狂気の中で、私は確かに少女の無念の声を聞いた気がした。
        ◆教室まで銃撃
        「小学校の教室でパレスチナ人の少女が撃たれた。重体だ」。ガザ地区南部のテルスルタン地区で少女射殺事件を取材していた12日、車で約30分の距離にある町ハンユニスから一報が飛び込んだ。病院に駆けつけると、11歳のガディール・アブムハイマルさんは緊急手術の最中だった。脇腹から入った1発の弾丸は内臓に致命傷を与え、出血が止まらない。「来い。現実を見るんだ」。血まみれの看護師の手で手術室へ連れ込まれた私は、あまりにむごたらしい光景を直視することができなかった。
        少女は同日午前10時45分ごろ、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する小学校の教室で授業中、座っていて撃たれたという。常識では考えられない。だが、事件の約1時間後に同校を訪れた私は、少女が撃たれた状況を実体験することになる。取材中に再び、学校が激しい銃撃にさらされたのだ。
        「机の下へ。さあ早く」。教室では教師の指示に従い、子どもたちが2人掛けの木製の机の下に潜っていた。乾いた掃射音が高く低く、校舎に響き渡る。銃撃は断続的に約15分間続いた。すさまじい銃撃音にけおされ、私も腰が砕けるように教室の床にへたり込んだ。
        校長が指さす先に目を凝らすと、500メートルほど離れた場所にユダヤ人入植地を囲む巨大な防御フェンスが見えた。銃弾はイスラエル軍の監視塔から飛んでくるという。こんな時、軍当局は必ず「テロリストへの反撃」を銃撃の理由に挙げる。だが、学校の周辺で武装勢力が発砲しているのかどうかは確認しようもない。1つだけはっきりしているのは、無実の子どもたちが学校で殺されかかっていることだ。
        「いくら危険でも、子どもたちが学ぶべき場所はほかにないのです」。銃声がやむと、教室では授業が再開された。校舎の壁に描かれた平和の象徴であるハトの絵に、大きな弾痕が刻まれていた。ガディールさんは事件翌日、死亡した。
        パレスチナの地で繰り返されてきた暴力は、イスラエルの占領に武力で抵抗する武装勢力と、イスラエル軍の過剰な反撃によって増幅されている。イスラエル軍部隊も、130万人のパレスチナ人がひしめき合うガザ地区の中では、小さな勢力でしかない。武装ヘリからのミサイル攻撃などは、現地住民の憎悪に取り囲まれた兵士らの恐怖の裏返しでもある。
        「腹を出して1回転しろ」。ガザ地区中部の検問所でイスラエル兵に命令され、ズボンを下ろしたことがある。爆弾を隠し持っていないか確認するためだ。順番を待つ200人ほどのパレスチナ人。だが、より恐怖を感じているのは近くで銃を構える兵士の方だった。徴兵制のイスラエルでは、高校を卒業したばかりの若者が最前線へ送り出される。そばかす顔の兵士らの銃口は、小さく震えていた。
        ガザでの取材は、交通の自由を奪われた現地住民の困難と忍耐を体験する場でもある。南部のハンユニスから北部のガザ市まで車で1時間の距離を進むために、何日も待たされることがある。「治安上の理由」でイスラエル軍が度々、交通の要衝を封鎖するからだ。
        今回の取材の帰路では、最初の検問を通過するのに2日間待たされ、2つ目の検問所は車での通行が許可されず、真夜中にラクダが引く荷車に身を預けた。イスラエル側への最後の検問所の手前には戦車が陣取り、特別な許可を得た者しか通行できない。丘の上の戦車を見上げながら許可を待つ私に、ベドウィン(アラブの遊牧民)の白装束を着た近くの村の老人が、甘いシャイ(紅茶)をいれてくれた。
        戦車の前をタクシーで通り過ぎるとき、耳元ですさまじい機銃音が鳴り響いた。両耳を押さえて車の中に倒れ込む。何かの手違いで自分たちが撃たれているのかと思い、横たわったまま軍当局へ電話する。「ベドウィン村の方で怪しい動きがあった」という。顔を上げると、さっき茶をごちそうになった村の中で、土煙があがっていた。
        「あなたは帰るべき安全な場所がある。私たちにはそれがない」。パレスチナ人運転手の一言が胸に突き刺さり、重い足で最後の検問所を渡った。
        ■ことば=パレスチナ紛争
        イスラエルとその占領地(ヨルダン川西岸とガザ地区)の総称である「パレスチナ」の地をめぐるユダヤ、アラブ両民族の争い。世界各地で迫害されてきたユダヤ人が48年にイスラエルを建国。故郷を追われたアラブ人(パレスチナ人)との間で激しい戦いが繰り広げられてきた。93年のパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)によって占領地に自治政府が誕生したが、00年9月に衝突が再燃。この4年間で約3000人のパレスチナ人と約1000人のイスラエル人が死亡している。(毎日新聞
        2004/10/17)
        イスラエル軍「倫理上問題なし」 パレスチナ少女銃殺事件
        ガザ自治区のラファで今月5日、13歳のパレスチナ人少女がイスラエル兵に撃たれ死亡した事件を調べていたイスラエル軍は16日、少女を銃撃した部隊の行動に「倫理上の問題はなかった」とする調査結果を発表した。部隊司令官の大尉が少女に歩み寄ってとどめを刺したと部下の兵士が告発していたが、ヤアロン参謀長は「地面に向けて撃っただけ」とする大尉の主張を採用した。
        調査結果によると、軍監視所にいた部隊が立ち入り禁止区域内でリュックを背負った不審人物を発見、銃撃した。大尉らが監視所を離れ、地上で不審人物をさらに銃撃したが、相手が少女だと分かったのはその後だったとしている。その後、大尉はどこからか銃撃を受けたため、地面に向けて発砲しながら後退し、監視所に戻ったという。
        しかし、少女が約20発もの銃弾を受けていたとされる点について具体的な説明がないうえ、銃撃に対して地面への発砲で応戦したとする大尉の説明が、軍の交戦規則に照らして不自然だと指摘する声も野党国会議員から出ている。
        今回の調査は部隊が所属する南方軍による「内部調査」であり、並行して進められている軍警察による刑事捜査は継続中だ。軍はこの大尉が部下との関係に問題があり、司令官としての資質に欠けるとの理由で、解任を正式決定した。(朝日新聞
        2004/10/17)
        ガザでの家屋破壊は国際法違反=イスラエル軍を批判−人権団体
        【エルサレム18日時事】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは18日、対エジプト国境に位置するガザ地区南部でのイスラエル軍によるパレスチナ人の家屋破壊行為は、明らかな国際法違反に当たるとの報告を発表した。
        同軍は、ガザ地区南部からエジプトに掘られた武器密輸用の地下トンネルを理由に大規模な軍事作戦を繰り返し、4年間で2500軒以上の民家を破壊。報告はこれについて、治安上の脅威を及ぼすかどうかにかかわらず実施されており、長期的な管理を容易にするため「緩衝地帯」を拡大するのが狙いだと指摘した。(時事通信
        2004/10/19)
 
 

        ガザ侵攻で子ども27人死亡 9月末から10月中旬で

        国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は22日、ジュネーブで記者団に対し、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ北部に侵攻した9月28日から今月15日までの大規模作戦によるパレスチナ人の死者数が、確認されただけで107人に達したことを明らかにした。そのうち27人は18歳以下で、UNRWAが運営する学校の生徒9人が含まれるという。負傷者は431人。
        同学校の教員2人も死亡した。難民キャンプなど人口密集地帯に、ヘリコプターや戦車から激しい攻撃を加えたため、市民にも多数の犠牲者が出た。イスラエル側の死者は5人だったという。
        00年9月に始まる第2次インティファーダ(対イスラエル抵抗闘争)では、ガザ地区だけでこれまでに約1800人の死者が出ているが、10月の死者数は既に同地区の月間記録を上回っている。作戦規模も、同地区では最大だった。(朝日新聞
        2004/10/23)
 
 

        イスラエル軍:ガザを攻撃、パレスチナ人14人死亡

        ガザ地区南部のパレスチナ自治区ハンユニスで25日、イスラエル軍の空爆などでパレスチナ人14人が死亡、70人以上が負傷した。死者の中には11歳の少年も含まれているという。イスラエル兵2人も重傷を負った。イスラエル軍は24日夜、戦車などを伴ってハンユニスへ侵攻していた。(毎日新聞
        2004/10/25)
        パレスチナ:イスラエル軍が空爆、少年ら14人死亡──ガザ南部ハンユニス
        【エルサレム樋口直樹】ロイター通信によると、ガザ地区南部のパレスチナ自治区ハンユニスで25日、イスラエル軍の空爆などでパレスチナ人14人が死亡、70人以上が負傷した。死者には11歳の少年も含まれているという。イスラエル兵2人も重傷。イスラエル軍は24日夜、戦車を伴ってハンユニスへ侵攻していた。(毎日新聞
        2004/10/26)
 

        偽証容疑で司令官逮捕=パレスチナ少女機銃掃射−イスラエル

        【エルサレム26日時事】イスラエル軍事警察当局は26日夜、死亡した13歳のパレスチナ人少女に機銃掃射を加えたとされる同軍司令官を偽証の疑いで逮捕した。
        事件はガザ地区南部で5日に起きたもので、少女の頭部などに約20発の銃弾が撃ち込まれた。軍兵士の目撃証言によれば、司令官は明らかに少女と分かる人物に発砲し、さらに倒れこんだところを機銃掃射した。
        軍当局は、倫理的な問題は見当たらなかったとの内部調査結果を発表していたが、軍事警察の調べで、司令官の説明に偽証の疑いがあることが判明したという。(時事通信
        2004/10/27)
 
 

        ガザ地区で戦闘、子供含むパレスチナ人3人死亡

        【ガザ地区28日ロイター】目撃者とイスラエル軍によると、ガザ地区で28日、イスラエル軍の銃撃で子供2人を含むパレスチナ3人が死亡。一方、ユダヤ人入植地では、イスラム過激派の迫撃砲でイスラエル兵1人が死亡した。
        目撃者は、難民キャンプの外に展開していたイスラエル軍が、登校途中の10歳のパレスチナ人少女を射殺したと証言。これに対しイスラエル軍は、迫撃砲に応戦したもので、少女の死亡については調査を行っている、としている。(ロイター通信
        2004/10/29)
 
 

        アラファト議長のきょうだい2人はがん=アラブ圏紙は「暗殺」の可能性に言及

        【カイロ1日時事】1日付のサウジアラビア紙アルワタンは、パリで入院中のパレスチナ自治政府のアラファト議長(75)のきょうだい2人ががんに侵され、1人は1年前に死亡したと報じた。
        同議長の病名は不明だが、同紙は「きょうだい2人ががんにかかったのは注目すべきことだ」としている。
        それによれば、議長の兄弟であるファトヒ・アラファト氏は3年前、腸にがんがあるのが見つかり、一度、摘出手術を受けた。しかし、数日前に容体が急速に悪化し、現在、カイロで治療を受けているという。
        これに関連し、カイロのパレスチナ当局者は時事通信に、「ファトヒ氏はがんであり、容体は現在、極めて深刻だ」と述べた。
        アルワタン紙によれば、姉妹の1人は1年前、がんによりカイロの病院で死亡したとしている。
        一方、1日付のアラブ圏紙アルハヤトによれば、議長の入院するパリの病院医師団は、議長の不調の原因を、血小板の急速な減少を招く何らかのウイルスに感染した可能性があるとみている。
        また、医師団は「外来の何か」が「意図的に」議長にもたらされた疑いも視野に入れているとされ、同紙は慎重な表現ながら、議長の「暗殺」が試みられた可能性に言及している。(時事通信
        2004/11/01)
 
 

        イスラエル軍、ガザでパレスチナ人2人を殺害

        パレスチナ自治区ガザ北部のユダヤ人入植地近くで6日、イスラエル軍がパレスチナ人2人を殺害した。軍は、2人が武器と爆発物を持って入植地を攻撃しようとしていたとしている。
        一方、パレスチナ筋によると、ガザ南部のハンユニス難民キャンプで5日、イスラエル軍の戦車が民家に発砲、10歳と8歳のパレスチナ人の子どもが2人死亡したという。イスラエル軍側は「パレスチナ過激派の設置した爆発物による犠牲だ」と攻撃を否定している。(朝日新聞
        2004/11/06)
 
 

        パレスチナ人7人死亡=イスラエル軍、少年を射殺−ガザ・西岸

        【エルサレム6日時事】ヨルダン川西岸やガザ地区で6日、イスラエル軍部隊の攻撃などで少年を含むパレスチナ人7人が死亡した。
        ガザ地区南部のユダヤ人入植地付近では、軍のヘリコプターが爆発物を埋設していたイスラム原理主義組織イスラム聖戦の活動家2人に攻撃を加えて殺害。同地区とイスラエル境界付近の軍事封鎖区域にいたパレスチナ人1人も射殺された。
        ロイター通信によると、西岸の自治区ジェニンでは軍兵士が投石していた14歳の少年1人を射殺。自治区カルキリアでは、車が原因不明の爆発を起こし、武装組織活動家3人が爆死した。(時事通信
        2004/11/07)
        「陰謀説」を否定=アラファト議長に毒とのうわさ流布で−イスラエル首相
        【エルサレム7日時事】イスラエル放送によると、シャロン首相は7日の定例閣議で、アラファト・パレスチナ自治政府議長が危機的容体に陥ったのは「イスラエルが毒を盛ったため」などとする一部のうわさを否定した。
        パリ郊外の病院に入院中のアラファト議長の病因は現在もはっきりしておらず、パレスチナでは自治政府高官を含め、イスラエル情報機関モサドなどの仕業だとする「陰謀説」がまことしやかに流れている。(時事通信
        2004/11/07)
 
 

        アラファト議長、毒盛られた? パレスチナでうわさ流布

        【ロンドン=飯塚恵子】危篤とされるパレスチナ自治政府のアラファト議長(75)は、実は毒を盛られていた?
        6日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、議長に対する“毒盛り説”が今、自治政府高官らを含め、パレスチナで幅広く信じられていると伝えた。
        アラファト氏のかかりつけの医者は、こうした見方を否定しているが、うわさが広まる背景には、議長の容態が今なおはっきりしない事情や、イスラエル情報当局によるこれまでの非情ともいえるパレスチナ対応への不信感があるようだ。
        議長府のタイブ・アブドルラヒム長官は、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」で、こうした見方を「排除できない」と強調した。自治政府の他の警備担当高官らも同様の説を支持しているという。(読売新聞
        2004/11/07)
 

        イスラエル、アラファト議長の死に敵意と軽蔑を示す

        【エルサレム11日ロイター】イスラエルのユダヤ人たちは、「テロのマスター」と呼んでいたアラファト・パレスチナ自治政府議長の死に敵意と軽蔑を投げかけ、多くの親族の死は議長に責任があると非難した。
        ラビド法相は、数千人ものイスラエル人の死を招いたり、イスラエル人とパレスチナ人との和平合意を阻止した議長を憎むとした上で、「議長が世を去ったのは良いこと。彼が世界と中東を離れることは良いことだ」と述べた。
        2年前にエルサレムでバスを運転していた友人が自爆テロで死亡したというイスラエル人は、友人の死を議長の責任だとし、「地獄でさえ、議長を受け入れるとは思えない。彼の取った全ての方法は、イスラエル国民を叩きのめすものだった」と語った。
        さらに、エルサレムで商店を営んでいるイスラエル人は、「心の底では、非常にうれしい。議長はテロを発明し、暴力を通じてやりたいことをやり通せると思った。しかし、失敗した」と述べた。(ロイター通信
        2004/11/11)
 
 

        ガザ地区などで銃撃戦、パレスチナ人4人死亡

        パレスチナ自治政府筋によると、ガザ地区とヨルダン川西岸の自治区ナブルスで11日、イスラエル軍との銃撃戦などで10代の少年1人を含むパレスチナ人4人が死亡、9人が負傷した。
        ガザでは夕方まで、ユダヤ人入植地に近い幹線道路付近で、イスラエル軍ヘリからの銃撃が散発的に続いた。ガザ北部のユダヤ人入植地ネツァリム周辺では、入植地への攻撃や侵入を図ったとみられるパレスチナ人にイスラエル軍が戦車やヘリによる攻撃で応戦。イスラム過激派ハマスのメンバー2人を含むパレスチナ人3人が殺害されたほか、巻き添えで近くの民家にいたパレスチナ人女性1人が重体という。ナブルスでは、投石する少年に対してイスラエル軍兵士が発砲し、10代の少年1人が死亡した。(朝日新聞
        2004/11/11)
 

        「アラファト議長死因、毒が原因の可能性」・主治医

        【カイロ=松尾博文】AP通信によると、パレスチナ自治政府のアラファト前議長の主治医の1人だったアシュラフ・クルディ医師は12日、議長の死因は「毒物が理由の可能性がある」と述べた。
        パリ郊外の病院で死亡した前議長の死因についてはいまだに明らかになっていない。病名の未公表にはスーハ夫人の意思が働いているとされるが、公表の遅れで毒殺説が流布しつつある。
        ヨルダン人のクルディ医師は議長をパリに搬送する直前に診察しており、そのとき明らかになった血小板の減少の原因が毒である可能性を指摘、原因究明に「検査が必要」と述べた。
        イスラエルのシャローム外相は毒殺説を否定。強く反発している。(日本経済新聞 2004/11/13)
 

        パレスチナ人の遺体を冒とく イスラエル軍兵士

        【エルサレム20日共同】19日付のイスラエル紙イディオト・アハロノトは、イスラエル軍兵士が、自爆テロで死亡したパレスチナ人の遺体の胸を踏み付ける写真を掲載、兵士が死者を冒とくする行為を行っていたと報じた。
        イスラエル軍のヤアロン参謀総長は、同紙に対し「規範を逸脱した行動」と批判。軍当局は「モラルに反しており、事実なら教育していく」と述べ、一部について調査を始めたことを認めた。
        イスラエル軍をめぐってはガザ地区で10月、通学途中の少女(13)に至近距離から銃弾を浴びせ殺害したとされる事件が起きたばかり。パレスチナ自治政府のアラファト前議長の死後、和平交渉再開に向けた国際社会の動きも出ている中、イスラエル軍のモラルがあらためて問われそうだ。
        同紙は兵士の話として、自爆テロで死亡したパレスチナ人にたばこをくわえさせたり、射殺した非武装のパレスチナ人を軍用車両にくくりつけて基地まで運び写真を撮っていたと報道。写真は兵士の間で売買されることもあったという。(共同通信
        2004/11/20)
 

        アラファト氏の甥「毒殺説、記録ないが排除せず」

        【パリ=奥村茂三郎】11日に亡くなったパレスチナ自治政府のアラファト前議長の甥(おい)にあたるキドワ国連代表が22日朝、前議長の診断書を仏軍病院から受け取った。同代表はパリ市内で記者会見し、「毒殺の形跡はなかったが、可能性を排除することはできない。死因はまだわからない」と述べた。同代表によると、受け取った医療記録は558ページにおよび、レントゲン写真も添えられていたという。
        同代表は「資料を精査する時間はなかったが、2つの点を指摘できる。まず死因に関する診断がなかった。次に毒物学的な検査で毒物の形跡はなかった」と説明した。さらに前議長の健康悪化に関して「ラマラの議長府に劣悪な条件で前議長を軟禁状態においたイスラエル当局の責任は極めて重い」とイスラエルを強い調子で非難した。代表は今後、パレスチナ自治政府と同政府の調査委員会に診断書を提出し、さらに死因について調べる考えを明らかにした。同代表は22日中にパリを離れ、ニューヨークに向かう。(日本経済新聞
        2004/11/22)

        パレスチナ:イスラエル軍がガザ地区侵攻 市民ら9人死亡

        【エルサレム支局】ロイター通信によると、イスラエル軍は17日、武装勢力の掃討を目的に戦車などでパレスチナ・ガザ地区南部のハンユニスを攻撃し、18日までに少なくともパレスチナ人9人が死亡、30人が負傷した。同地区からは、イスラエル軍を狙ったロケット弾などによる攻撃が増えているとされる。
        病院関係者によると、死亡した9人の中には少なくとも一般市民2人が含まれているという。
        また、同じガザ地区南部のラファで17日、崩壊したトンネルの下敷きになっていたパレスチナ人6人が救出された。エジプトとの国境沿いのラファでは、パレスチナの武装勢力が武器を密輸するためのトンネルを数多く掘っているという。(毎日新聞
        2004/12/18)
 
 

        イスラエル軍:ガザ侵攻、少年ら5人殺害

        イスラエル軍は30日、ガザ地区南部ハンユニスに侵攻、空爆などで17歳の少年を含むパレスチナ人5人を殺害した。ロイター通信によると、5人のうち3人はイスラム原理主義組織ハマスのメンバーらだったが、残る2人は民間人だった。(毎日新聞
        2004/12/30)
 
 

           
        | BACK | HOME | NEXT |
 
 
  -----------------------------7d6186310352 Content-Disposition: form-data; name="userfile"; filename="" Content-Type: application/octet-stream