ユダヤにより、計画実行されたフランス革命:


.        「赤い盾」一族が掲げた 「赤い旗」

  外国の金貸し業者の小集団が正体を隠したまま英国人の代理人を介して活動
 して − わずか一二五万ポンドを融通することで英国経済の支配権を確保した経緯を示した。
 ここでは、そうしたユダヤ人国際金貸し業者の一部の正体を特定し、彼ら、あるいはその継
 承者たちが一六四〇-一六四九年の英国のピューリタン革命を企て、経済支援したのと同じ手
 口で、一七八九年のフランス大革命を企て、経済支援を行なったことを証拠付げたい。そして
 以後の章では、こうしたユダヤ人国際金融家の子孫が一七八九年以降のすべての戦争、革命を
 陰で操る 「秘密権力」 となっていることを実証するつもりである。

記述が重大なのは、『ユダヤ百科事典』
(前出) によれは、エドムは近代ユダヤ人に含まれるとされている。この
エドムという単語が赤を意味するからだ。歴史に示されるように、東∃ー
ロッパを転々とするのに我慢ならなくなったユダヤ入金融業者兼金細工業者アムシ工ル・モー
ゼズ・バウアーは一七五〇年、フランクフルト・アム・マインに定住することを決意した。彼
はユダヤ人街に店(両替所) を開き、看板としてその軒に 「赤い楯」 を掲げた。

忘れてならな
いのは、テロリズムに基づく革命運動に属する東ヨーロッパのユダヤ人もー「血」 を象徴す
るというから理由から − 自らのエンブレムとして 「赤い旗」 を掲げたことである。
 アムシェル・モーゼズハウア−は一七四三年、息子をもうけ、アムシェル・マイヤー・バ
ウアーと名づけた。一七五四年、この父親が没したとき、息子は一一歳だった。幼い頃から類
い稀な才能と聡明さを感じさせたこの息子に、父親は金貸し業の基本原理についての可能なか
ぎりを教え込んだ。父親としては息子をラビにしたかった。しかしその死によってこの夢は果
たされなかった。

 父親の死後数年たって、アムシェル・マイヤー・バウアーはオッペンハイマー銀行の事務員
に雇われた。金融業者としての天賦の才を発揮し、ジュニア・パートナーシップを与えられた
が、やがてフランクフルトに戻り、父親が一七五〇年に起こした事業の所有権、支配権を手に
入れた。このときにも赤い楯は誇らしげに戸口に掲げられた。「赤い楯」 に秘められた意味を
承知していた彼はそれを新たな家名として採用することにした。「赤い楯」 をドイツ語で言え
ば 「ロート・シルト」 − ロスチャイルド商会の誕生だった。

一八一二年、アムシェル・マイヤー・バウア-は五人の息子を残してこの世を去った。息子
たちはいずれも大型金融取引の指揮者となるための訓練を受けていた。三男ネイサンにほとり
わけ才覚があり、英国銀行の支配権の確保という明確な目的をもって、彼は二一歳で英国に渡

った。英国銀行の支配を足がかりにして、父親およぴ他の兄弟と連携してヨーロッパに独占的
国際銀行業を確立するためであり、そうすれば国際銀行連合の資産をまとめて活用すること
ができ、父親から息子たちに知らされている秘蜜の野望をさらに堆し進めることができるから
だった。 ネイサン・ロスチャイルドは、その才覚を実証するかのように、彼に託された二万ポ
ンドを三年間で六方ポンドに殖やした。

世界革命運動を研究するとき、忘れてはならないのは「赤い旗」がフランス革命をはじめ、
以後のあらゆる革命の象徴となったことであり、それ以上に忘れてはならないのが、国際金融
家に経済支援を受けてレーニンが一九一七年にロシア政府を倒し、最初の全体主義的独裁支配
を樹立したとき、その 「赤い旗」 にはハンマーと鎌とユダヤの星があしらわれていたことであ
る。                                 
                                                                                                      
 一七七三年、マイヤー・ロスチャイルドは弱冠三〇歳で、裕福で強い影響力を持つ一二人の
人々を招いてフランクフルトで会合を開いた。会合の目的は、資金をプールすることに同意す
れば、世界革命運動を支援、指揮する権限が得られ、それを行動の手引きとして利用すれば、
全健界の富、天然資源、マンパワ-に対する支配権が被らの手中におさめられると説き伏せる
ことだった。

 ロスチャイルドは英国のピューリタン革命がどのようにして引き起こされたかを説明する仙
方で、革命にあまりにも時間がかかりすぎたこと、反動勢力を穏当な方法で排除することがで
きなかったこと、大衆の支配をすばやく実現するための計画的恐怖支配が勃発的に行なわれな
こなど、そこで生じた失敗も指摘した。そして、こうした失敗はあったものの、終発
として所期の目的である革命は実現され、革命を誘発した銀行家は国際経済に対する支配権を
確立し、国家負債をつくりあげたと総括した。実際、そうした銀行家は世界規模で実行される
陰謀を利用して、一六九四年以来、自ら誘発してきた戦争、革命のための戦費を貸し付けるこ
とで確実に国家負債を増大させていた。

 論理的かつ健全な説明を基盤に議論を展開しながら、マイヤー・ロスチャイルドはさらに指
摘した− 「英国の革命の結果として得られた経済的成果など、ここに出席された方々からの
目的への協力、おょび入念に練りあげられた改訂(革命)計画の実行について賛同が得られた
場合に生じるフランス革命で獲得されることになる報酬に比べれは、まるで取るに足りません。
そしてこのプロジェクトは、プールされた資金で買えるかぎりの権力に支援されることになり
ましよう」。

 こうして協力、賛同は得られた。マイヤー・ロスチャイルドは自らの革命計画を明かした。
自分たちの資産をまとめて巧みに利用すれば、大衆を失業させて飢餓寸前の状態に陥れる経済
的悪状況を生じさせることは可能であり、巧みに練りあげたプロパガンダを利用すれば、その
経済的悪状況を、国王、その廷臣、貴族、教会、企業家、雇用者のせいにすることも可能であ
る、と。また、宣伝者を雇って、浪費やら不道徳行為、不正、虐待、迫害のからむ事件につい
てあることないことを言いふらさせれば、支配階級に対する憎しみ、復讐心を煽ることができ、
汚名を着せるための事件をでっちあげれば、計画全体に干渉しかねない人々の評判を落とすこ
ともできる、と。
 
 

狙われたフランス


罠に落ちた−ミラボー侯爵
 最高会議はインゴルシユタット・ロッジを利用し、大陸のフリーメーソンに潜入させたイル
ミナティの代理人あるいは細胞組織が、社交的な博愛主義者をよそおって、革命のための地下
組織を組織できるよう、運動を展開することを決定した。フリーメーソンに潜入した者には大
東社を創設すること、そしてそれを勧誘の場として利用することが命じられていた。金持ちで
しかも教会、国家に深く関わっている非ユダヤ人にすばやく接触するためである。接触できれ
ぱ、あとは賄賂、不正行為、不正利得といった古典的な手法を用いて、好むと好まざるとにか
かわらず、彼らをイルミナティの従僕に仕立てあげ、彼らに神の十戒とは逆のことを説かせ、
無神論的唯物主義を主張させることが可能となる-これが彼らの計算だった。

 この方針が定められると、最高会議の代理人はフランスにおいて自らの目的にもっとも仕え
てくれると思われる人物としてミラボ-侯爵に接触した。彼は貴族で、宮廷で大きな権力を握
っていたうえ、フランス革命を導くための表看板として利用しようと、彼らがすでに目をつけ
ていたオルレアン公の親友でもあった。そして何より、、ミラポー侯爵は道徳心に欠けていたば
かりか、あまりの贅沢三昧から大きな借金をかかえていた。
 金貸し業者にとつて、フランスの有名な演説者でもある、ミラボ−に代理人を接触させること
など簡単だった。

代理人は友人やら後援者をよそおって、彼の経済的窮地を救おうと持ちかけ  
た。そして実際に彼らがしたことと言えば、ミラボーを 「歓楽の道」 から悪と放蕩の深みに誘
い込み、ついには積もりに積もった借金のせいで、被らの命令を実行せざるを得ないような状
況に追い込んだこと、それだけだった。その借金を清算するための会合で、ミラボーは彼の債
務を管理しているユダヤ人大金融家の一人、モーゼズ・メンデルスゾーンに紹介された。メン
デルスゾーンはやがて、魅力的で美貌の主ながら道徳心のないことで知られていた女性をミラ
ボーに紹介した。

 この呆れ果てたユダヤ人女性はヘルツという名の男と結婚していたが、ミラポーのような男
にとっては、人妻であることは一つの魅力と映り、彼は欲望を募らせた。ほどなく、彼女は夫
と過ごすより、ミラボーと多くの時間を過ごすようになった。メンデルスゾーンヘの借金で身
動きはとれず、ヘルツ夫人の魅力には取りつかれ、、ミラボーは完全に泥沼に陥った彼はエ
サを丸ごと呑み込んだのだった。それでもいっときは、彼らも善良な漁師のごとく、ミラボ−
にやさしく接した。あまりに力をかけすぎると、はりすが壊れ、せっかくの魚を逃がしてしま
う恐れがあったからだ。

 次に彼らは、ミラボーをイルミナティに参入させ、違反すれば死の罰則を受けることを条件に、
秘密厳守と無限の遵奉を彼に誓わせた。そして名誉が損なわれるような状況にミラボーを追い
込んだ (しかもなぜかその事実は万人が知るところとなった)。ある人物の名誉を毀損するた
めのこの方法は 「ランフアミー」 として知られた。スキャンダルと仕組まれた非難にまみれ、
、ミラポーは同等の社会的立場の人々からつまはじきにされた。その怒りは彼の復讐心に火をつ
け、革命への大義を彼の心中に芽ばえさせた。

ミラボーの任務はフランスの革命運動にオルレアン公を引き入れることだった。国王が退位
を余儀なくされたら、彼がフランスの民主的支配者となることがオルレアン公にほのめかされ
た。国王や王妃、何千人という貴族は殺害するつもりでいたにもかかわらず、フランス革命の
真の陰謀者はそうしたことを、ミラポーにもオルレアン公にも悟られないよう注意をはらい、革
命の目的は 「宗教から迷信を、政治から独裁支配を排除することだ」 と、二人を言いくるめた。
さらに言えば、オルレアン公がフランス・フリーメーソンの大棟梁であったことも、彼を表看
板としなけれはならないと、革命運動を陰で操る 「秘密権力」 が決断したもう一つの理由であ
った。   
                                   
 アダム・ヴアイスハウプトの任務は、イルミナティの儀礼、儀式を改変し、大東社のフリー
メーソンヘの参入に利用できるようにすることだった。彼もやはりフランクフルトに住んでい
た。ミラボーはオルレアン公とその友人のタレーランをヴアイスハウプトに紹介し、ヴアイス
ハウプトはオルレアン公とタレーランを大東社のフリーメーソンに参入させた。一七七三年末
になると大東社の儀礼がオルレアン公フィリップによってフランスのフリーメーソンに導入さ
れ、一七八八年には、大東社に結びついたロツジが二〇〇〇以上も創設され、奥義到達者の数
は一〇万人に達していた。こうしてモーゼズ・メンデルスゾーン指揮下のユダヤ人イルミナテ
ィは、大衆社のロッジを隠れ蓑に、ヴアイスハウプトによって大陸のフリーメーソンに導入さ
れ、各ロツジの内部には秘密の革命委員会が組織されていった。革命を指揮する地下組織がフ
ランス全土に広がっていったのである。
 オルレアン公を、大東社の儀礼とともに、
                                         

フランスのブルー(あるいはナショナル) フリー  
メーソン組織に引き入れることに成功すると、ミラボーは自らが社会的につまはじきとされた
原因をつくつた 「歓楽の道」 に同公を誘い込んだ。きっかり四年で、オルレアン公は借金のた
めに、あらゆる形の違法通商に手を染めてその返済を行なわなけれはならない羽目に陥った。
それでも不思議なほど彼の事業は成功せず、借金だけが膨れあがった。

一七八〇年になると、その借金は八〇万ルーブルになっていた。このときにも金貸し業者が
現われ、事業取引および経済支援について提案した。彼らは巧みに持ちかけて、オルレアン公
がその宮殿、土地、屋敷およぴパレ・ロワイヤルを抵当に融資を受けるという契約に同意せざ
るを得ない状況をつくりだした。結局、オルレアン公は借金を支払うだけの収入がもたらされ、
十分かつ確実な収入が残されることと引き換えに、自らの財産およぴ不動産がユダヤ人金融業
者によって管理されることを認める取り決めに署名した。

 オルレアン公は経済的な問題に決して精通してはいなかった。彼にはユダヤ入銀行家との取
り決めに署名することはまちがいのない商取引だと思われた。実際、ユダヤ人銀行家は彼の事
業を管理し、惨めな失敗状態から経済的成功に導くことを提案していた。それが実現するなら
申し分ない、彼はそう考えた。そこに不穏な要因が含まれているとは夢にも思わなかったこと
だろう。ましてや、自分がサタンの代理人に身も心も売ってしまったのではないか、などとは
...。いずれにしても、オルレアン公は署名をして取引をした。彼は完全に彼らの手中におさまったのだ。

             性的堕落の巣窟、パ レ・ロワイヤル

   フランス革命を指揮する 「秘密権力」 はコデルロス・ド・ラクロを任用してパレ・ロワイヤ
  ルおよびオルレアン公の財産を管理させた。ド ラクロはスペイン系ユダヤ人の家系にあった
  と考えられている人物で、パレ・ロワイヤルの管理者に指名されたときには 『危険な関係』
  〔邦訳‥岩波文庫〕 をはじめとするポルノまがいの作品の作者として喝采を浴びていた。愛の
  駆け引きのさまざまな様相を研究したのは政治愛のゆえであると論じることで、彼は極端な不
  道徳を公然と擁護した。

   コデルロス・ドニラクロがどのょうな人物であったかということは大した問題ではない。問
  題は彼が何をしたかということである。彼はパレ・ロワイヤルを史上最悪の悪名高き宮殿にし
  た。そこには猥せつ写真のギャラリー、ポルノ図書館がつくられ、淫らな行為、恥ずべきショー、
  性的堕落の最たるものを具現する舞台など、ありとあらゆる享楽が用意された。そしてあらゆる
  形の好色にふけることを望む男女には恰好の機会が提供された。パレ・ロワイヤルを拠点とし
  て、フランス人の宗教心、公徳心を組織的に破壊するための運動の詳細が練られ、実行された。
    
  こうしたことは 「最高の革命家は道徳心なき若者である」 というカバラ的理論に基づいてなさ
  れたことだった。
   ド・ラクロの仲間の一人がバレルモ出身のユダヤ人、カリオストロことジユゼッペ・バルサ  
  モだった。彼はオルレアン公の不動産の一つを印刷所に替え、そこで革命についてのパンフレ 
ットを印刷した。また、革命の宣伝者も組織した。

彼らは文学にとどまらす、人間のもっとも
低俗な本性に訴えるよう計算された音楽会、芝居、討論会を主催して革命運動を堆し進めた。
さらに、バルサモはスパイ団を組織し、革命運動を陰で操る 「秘密権力」 が計画的な名誉毀揖
のためのランファミー計画を実行するお膳立てを行なった。
 ドラクロおょびバルサモによって張り巡らされたワナにかかった人々は、男女を問わず、
                             
彼らの命令を実行するよう強請られた。こうしてオルレアン公の不動産が革命の策略の拠点と
化す一方で、表向きは講堂、劇場、アートギャラリー、アスレチッククラブの看板を掲げたギ
ヤンブル場、売春宿、酒場、ドラッグショップが大いに活況を呈した。
 こうした革命のための闇の世界では、指導者になり得ると目されると、その人物にはワナが
仕かけられた。悪と交わることでまず良心をそがれ、次に悪の慣習に染まることで良心を抹消
されたのである。つまり工場と化したオルレアン公の不動産では、世界革命運動を陰で操る
                                                                                                                       
「秘密権力」 が世界を舞台にしたゲームを戦うのに利用する駒がつくられていたということだ。
『血の王子』を記したスカダーはパレ・ロワイヤルについて以下のよう
に述べている-「そこはこの街のどこより警察に通報すべきことを多く提供した」。

 それでも大衆に関するかぎり、この悪名高き宮殿は国王の縁者オルレアン公によって所有さ
れているものであり、それが金貸し業者によって管理され、彼らの復讐の道具となる革命組織、
および秘密の目的と野望を堆進するための行動の手引きをつくるために利用されているとは、ほ
んの一握りの人々以外、誰も知らなかった。

            マリー・アントワネットの悲劇

 急使が携えていた秘密文書は警察に精査されたあと、バヴアリア政府に提出された。同政府
はただちにイルミナティ本部の強制捜査を命じた。世界革命運動の拡大化を示す証拠がさらに
押収され、フランス、英国、ポーランド、ドイツ、オーストリアおよぴロシアの諸政府は革命
の企ての国際性について知らされた。それでも、以来繰り返されてきたように、諸政府は厳重
な措置をとってこの邪悪な企てを阻止しようとはしなかった。なぜか?唯一の回答は-い
かなる政府の権限より、世界革命運動を背後で操る人々の権力のほうが大きい、ということで
あり、この事実は一連のことがらが明かされるにつれ、何度となく示される。

 世界革命運動を目論み、計画した悪意ある人々には普通の人々にはない強みがある。という
のも、神の存在を信じ、神から賜った美しいものを愛で、享受する普通の人々には、同じ人間
が憎しみと復讐心に満ちた邪悪な計画を考えだすとは到底信じられないからである。キリスト
教徒はすべて、神の恩寵は自分たちが宗教儀式に参加し、聖餐を受け、祈りを捧げた結果とし
て魂に届けられると心から信じているにもかかわらず、ユダヤ系カバラ思想であれ、大東社の
アーリア人系無宗教思想であれ、イルミナティの儀式によってサタンもまた、宗教としてサタ
ン主義、無神論を受け入れ、その宗教の高僧の理論を実践する人々の心に邪悪な影響と力を及
ぼすということが彼らには信じられないのである。

世界革命運動の真の指導者の邪悪な仕かけに関して与えられる警告に、
個人がそして政府
がいかに無対策で無防備でありつづけているかという証拠を示したい。
一七八五年にバヴアリア警察から知らされても、諸政府が情報に基づく対策を講じずにいる
と、マリー・アントワネットの姉は、革命の企て、国際金融家の関与、フリーソンに任じられ
た役割、マリ−・アントワネット自身に迫っている危険について、警告を与える私信を殊に宛
てた。オーストリア皇帝フランツ一世の娘であるマリー・アントワネット (一七五五・一七九
三年)はフランス国王ルイ一六世の王妃だった。

彼女は姉から伝えられたような恐ろしいこと
がイルミナティによって企てられているとはまったく信じられず、繰り返し送られてくる警告
の手紙にも、その旨を書き連ねて返事としていた。博愛主義的フリーメーソンをよそおって活
動しているイルミナティがフランスの教会と国家両方を破壊しようと計画していることを裏付
ける証拠が得られたとする姉の主張に対してさえ、マリー・アントワネットは以下のように応
じた − 「フランスに関するかぎり、姉上はフリーメーソンを心配しすぎていらっしやると思
います。当地では他の∃ーロツパ諸国においてとは異なり、フリーメーソンはまったく重要性
を持っていません」。

 彼女がまちがっていたことは歴史が示すとおりである。姉から繰り返された警告に注意をは
らうことを拒みつづけていたために、マリー・アントワネットもその夫も断頭台の露と消える
ことになった。
 

一九一七年から一九一九年にかけて、英国政府は当時、世界革命運動を陰で操っていた「秘
密権力」 を構成していた国際銀行家についての詳細情報を山のように与えられた。情報は英国
諜報部将校、アメリカの諜報部将校に提出され、アウデンダイク氏、M・フインリー卿によっ
て確認された。アウデンダイク氏は当時ペテルブルク (現在のサンタトペテルブルク) のオラ
ンダ政府公使で、英国額事館が暴徒に襲撃されてE・N・クローミ司令官が殺害されてのちは、
英国の利益をはかった人物である。世界革命運動のこの局面についてはロシアに関する章で詳述する。
 
歴史を学ぶ学生の大部分は、マリー・アントワネットはフランス宮廷の快活さ、華やかさに
見事にとけ込んだ女性だったと思っている。夫の親友との情事にふけったり、贅沢きわまりな
い生活をおくつたことが史実として一般に受け入れられているが、これはバルサモおよびその
手下の宣伝者がつくりあげたマリー・アントワネット像である。彼らの 「ランファミー」 は現
実に有効にはたらいて、暴徒は彼女の命を狙うようになった。それでも、彼らがつくりあげた
マリー・アントワネットの行状は、歴史家が実証するように、嘘の魂である。敵によってもた
らされた苦しみに耐え抜いたその不屈の精神、運命に立ち向かう気位、断頭台上に生命を捧げ
出した潔さと勇気は断じてふしだらな女性の特質ではない。

 マリ−・アントワネットの評判を落とすために、ヴアイスハウプトおよびメンデルスゾーン
が考えついたのが 「ダイアモンドの首飾り事件」 だった。当時、フランスの財政は最低の状態
にあり、フランス政府は国際金融男爵にさらなる借金を求めていた。大陰謀者の秘密代理人は
二五万ルーブルの価値はあると思われる豪華なダイアモンドの首飾りをつくるよう、王妃の名
を騙って宮廷宝石商に命じた。宮廷宝石商が注文どおりの首飾りを納めに現われたとき、王妃
は関与を否定し、まったく身に覚えのないことだと言い張った。しかし豪勢なネックレスの話
は、陰謀者が目論んだとおり、外部に漏れ広まった。バルサモはプロパガンダ機関に活動を開
始させた。名誉毀損を目論む中傷戦術のせいでマリ−・アントワネットには非難が殺到し、そ 
の名声は汚され 評判は踏みにじられた。

そして毎度ながら、偽りの情報を流した人物あるい 
は集団を告発する者など一人も現われなかった。ことが大騒動となっ時点でバルサモは今 
度は最大傑作の嘘を流した。問題の首飾りは王妃の愛人が彼女の恩寵に対する感謝のしるしと
して贈ったものだったとする印刷物を、何千部、何万部とはらまいたのだった。
 それでも、ランファミ−を実行する人々は王妃に関してさらに悪質な偽りの情報をでっちあ
げた。

深夜にバレロワイヤルで会ってダイアモンドの首飾りのことを相談したいといった趣
旨の手紙を、王妃の偽の署名まで添えて、枢機卿プリンス・ド・ロアンに宛て、雇ったパレ・
ロワイヤルの売春婦の一人をマリー・アントワネットに仕立てあげて枢機卿と関係をもたせた
のだった。この出来事は新聞や印刷物に大々的に取りあげられ、教会と国家の最高位にある人
物二人に関して、この上もなく汚らわしい非難、中傷が並べたてられた。
 歴史記録によれば、この首飾りは邪悪な目的のために利用されたあと、英国に持ち込まれて
解体され、高価なダイアモンドの粒のほとんどはイライアソンなるユダヤ人の手元に置かれつ
づけたとされている。

       借金漬けフランスが直面した恐怖支配

次に紹介するのはフランス革命を引き起こす企てと英国のユダヤ人金貸し業者を結びつける
証拠で、これは「オカルト神権政治」を記したクイーンズバラ伯爵夫人によって明かされたものである。ある研究をしていた同夫人はバーナードニフザールという名の
ユダヤ人によって記され、一八四九年に出版された「反ユダヤ主義」を読
み、その結果得られた手がかりから、ペンジヤミン・ゴールドシユミット、その弟工イブラハ
ム、ゴールドシユミット、そして同兄弟の共同経営者モーゼズ・モカッタ、その甥のモーゼ
ズ・モンテフィオーレ卿が大陸のユダヤ人同胞と連携してフランスに革命を引き起こそうと企
てた英国のユダヤ人金融業者にちがいないと主張した。さらに、ベルリンのダ二エル・イツィ
ッヒ、その義理の息子にあたるデヴィツド・フリートランダ-、アルザスのヘルツ・ゲルグベ
ールをロスチャイルド家およぴその企てと結びつける証拠も現われた。

こうして当時、世界革
命運動を陰で操っていた「秘密権力」を構成していた人々が明らかとなった。
 こうした人々がフランス政府を財政難に陥らせるために利用した方法を知ることは、それが
以後アメリカ合衆国、ロシア、スペインなどの国々で定型として採用されたという意味におい
て重要である。

『ナポレオンの生涯』第二巻でウォルター・スコット卿は当初の運動
を明確に物語る。つまり彼は「このような金融家は、破産浪費家に一方で乱費を勧め、一方で
は貸付けの見返りとして法外この上ない代償をその破産財産から搾り取る高利貸しさながらの
狡猾さで(フランス)政府を利用した。そうした破滅的融資の継続、さらには彼らに認められ
たさまざまな権利によってフランスの経済は完全に麻痺状態に陥った」と当時の状況を概説す
るのである。

 フランス政府が、国際陰謀者の秘密の野望の実現のために仕かけられた戦争の戦費をまかなうために、巨額の融資を求める立場に置かれると、彼らは、同意条件を自分たちに決定させる
ことを条件に、親切にも融資を持ちかけた。表面的には彼らの条件は寛大だったが、ここでも
不穏な要因は含まれていた。M・ネッケルである。

 財務長官としてフランス国王の顧問に任じられたネッケルのことを、ユダヤ人金融家たちは、
金儲げの天才だから瞬く間にフランスを財政的窮状から救いあげてくれるはずだと吹聴した。
実際のところ、次の四年間でネッケルがしたことと言えば、フランス政府をいよいよ深くユダ
ヤ人金融家と関わらせ、国家負債を一億七〇〇〇万ポンドにまで増大させたこと、それだけだ
つた。
 A・H・M・ラムジー大佐は著書『名もなき戦争』 でこの状況を的確
に言いあてている。いわく − 「革命は麻痺患者への一撃である。借金漬けにしたら、あらゆ
る形のプロパガンダ活動およぴ政治活動の支配がー企業家(労働者も含む) の完全支配とと
もに − 続いて生じる。これが革命の一撃のための準備投階である。右手で経済を支配して麻
痺状態をつくりだし、革命の左手で短剣を握って致命的一撃を与えるのである。道徳が退廃し
ていれば、それほどの段階にあっても有利にはたらく」。

 バルサモのプロパガンダ印刷物が、教会と国家の最高位にある役人を非難する一方で、イル
、ミナティの特別代理人は、革命活動と同時進行するよう計画された恐怖支配の指導者として利
用すべき人物群を組織した。そこに含まれていたのがロベスピエール、ダントン、マラーであ
る。囚人、精神異常者を解放することで、計算済みの恐怖支配を現出するのに必要な風潮をつ
くりあげることになるこの集団は、真の目的を隠すために、ジャコバン修道院内で会合を開い
た。神聖な壁に包まれて流血の計画が練りあげられ、反動主義者に粛清のしるしを付けたリス
トが作成された。そして野放しとなった犯罪者、精神異常者が大量殺戮や公開レイプを行なっ
て住民を怯えさせているあいだに、地下組織のメンバーはコミユーンの獲得者マ二ュエルの指
揮のもと、主だった政治家、高位の聖職者、国王に忠誠を誓っているとされる将校を逮捕する
よう説明された。また、ユダヤ人地下組織から現われた人々はジャコバン党を発足させ、「恐
怖支配」 を指揮するために求められている任務に精通した指導者のもとで、大々的に残虐行為
を行なって陰の支配者の目的に仕え、彼らがその最終日標に向かってさらに前進できるよう奮
闘したのだ。
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