#シオンの長老の議定書通り世界は動く

さて読者の中には私が引用した「シオンの長老の議定書」なるものについて少しはご存じの方も多いだろう。その内恐らく九○%以上はその文書が偽書だと信じておられるだろう。この文書が偽書であるという説のためにこの文書の何万倍もの文字が書かれてきた。それでいて、この文書は書物とも呼ぺないほどうすっぺらな小冊子なのである。これは実に珍しい事である。一つの書物が贋物だという事を証明するだけに途方もない情熱と努力が傾けられているのである。それほどこの書物の影響は大きく、重大だということになる。実際、もしこれが本物ならそれはユダヤ人にとって非常な悪評判をもたらし、もし、贋物ならユダヤ人に対する極度のいやがらせである。

だから、ユダヤ人は必死にこれを贋物だと言うのだが、非ユダヤ人の中にもまた、一生懸命贋物であることを証明しようとする人々がいる。それでいて、偽書だと信じている人々のどれだけの人が本当にこの文書を読んだ事があるのだろうか。この文書の珍しさは単にそれだけに止まらない。この文書の印刷、出版、搬送には時には軍隊すら投入されて阻止されようとしたと言われる。翻訳者は翻訳しただけで殺されたと言われる。日本でさえこの文書の解説をした学者はその後なぜかかたくなに筆を折り、沈黙している。およそ書物の価値と言うものはその内容によって決定される。

聖書はその成立の過程も神秘的だが、二○○○年来読まれ続けてきたのはその成り立ちではなく、内容によるのである。もし、ある書物が偽りであったら、すぐに馬脚をあらわし人々に顧みられなくなるであろう。だからこの文書が偽書であるとしても大したものであるわけだ。自身はこう考えている。もしある人が一枚の地図を手に入れたとしよう。ところが、だれかがやって来てその地図は贋物だと教えてくれた。しかし、その人は構わずにその地図の通りに歩いて行ったら目的地に着いた。ではその人はその地図とその地図が贋物だと言った人のどちら信
じるだろうか。「シオンの長老の議定書」の価値はその内容が、事実その後の世界で証明された点にある。
 

#シオンの議定書はいかに読むぺきか

たしかにこの書物はあまりにもあからさまな悪徳に満ちている。一体これほど正直に自分たちの罪深さを文書に記す事などあるだろうかと言う疑間はある。誰かを陥れようと計画したならそれは実に見事な手腕である。しかし、全く火の気のないところから、ただ人を陥れるだけの目的で、これだけの思想を作り出せるものだろうか。しかし、この文書が目的達成のために唱導している悪徳は、立場を変えれば悪徳ではなく、形を変えた軍事的な作戦計画である。本来、軍事作戦には卑怯も不道徳もあったものではない。考えられる最悪の悪徳すら実施されるものである。

#議定書は世界支配のための軍事作戦計画

この文書の冒頭には次のように書かれている。「ある国が敵と戦っているとき、いかなる戦争の手段を用いるとも、作戦の計画を敵に知らせず、夜陰に乗じて攻めても、不道徳だとは非難されずに済むが、『社会の秩序と安寧を乱す』手段がなぜ不道徳と言われなければならないのか」その内容が、事実その後の世界で証明された点にある。この文書を実際的な軍事作戦計画だと考えれば、至極当然の事で、非難中傷する理由はない。ただ、それが平和な時代の真ん中で、しかも、世界的で、数十年(思想そのものから言えば数百年)の規模で行
われるから、驚いてしまうのである。一体だれがこの様な文書を書いたのだろうという疑間は当然出てくる。しかし、先程から述べている二つの立場から、それぞれの果てしない議論に巻き込まれてしまうので詮索する事は無駄なことである。この文書の主張はひとことで言えば『ユダヤ人の帝王を頭とする世界政府を樹立するための作戦計画』である。

その内容についていちいち解説しようかとも考えたが、大変な作業となってしまうし、私にはそれだけの才覚もない、もっと有能な人々がすでに、幾つかの本を書き表しているので私は差し控えたい。とにかく一度、現物を手に入れて読んでほしい。この文書を実際に読まないで発言する者は最も愚者である、発言する資格もない。読めば、今、世界と日本で起こっていることがすでに事細かく予言されていることに唖然とするであろう。もしこの文書がただユダヤ人の評判をおとしめ、彼等に対する追害と偏見を正当化するためだけの目的で書かれたと言うならば、どうしてその後の世界史がこの文書の通りに動いてきたのか。不思議な事この上ない。

読者は二○世紀がこの文書の予言通りに動いて来たことに気がつかれるだろう。それは決して偶然ではない。まさにフリーメーソンのF.D.ルーズベルトが言ったように「政治には偶然起きるものは何もない。何かが起これば、それもそのように計画されていたと考えて間違いないのだ」