しかし、これらの国民の希望はなんらかの方法で抹殺されるだろう。ECは巨大な意志によって動かされているのだから。黙示録一三章の獣には一○の角と七つの頭があった。それで、一○の角は一○の国家、七つの頭はその中の有力な指導者と考えられた。ECが始まった頃、このECこそあの獣に違いないといわれた。しかし、ECが一ニカ国を越えたので「違っていたのか」と言う事になった。しかし、この新しいロ−マは古いローマの回復であるのだから、旧ローマ帝国の関係から考えなければなるまい。旧ローマ帝国が崩壊したときヨーロッバはおよそ次の一○力国に分割された。アングロサクソン、フランク、アルメニア、スエーブ、西ゴート、東ゴート、プァンダル、ブルグンド、シャグリス、ヘルリー。次のページの地図でも御覧のように、これらは現在の東欧を含む大ヨーロッパである。今やECはこのローマ帝国を復元す
べく動き出している。だからこそ東欧の自由化があんなにも急激に引き起こされたのである。この統合国家の基本憲法は何と「ローマ条約」と言われているのだ。
もともとECはァメリカ経済のヨーロッパ浸透と日本の経済発展に対抗するために始まったと言われている。確かにヨーロッパが統合されれば、アメリカも日本も対抗できない巨大な経済圏が出来上がる。人口三億二○○○万人。経済、文化、教育など全ての面で世界のトッブクラスの三億二○○○方人である。このヨーロッバの国境がなくなり、人間と物資が自由に行き交う事となったら、どれほど繁栄した社会が出現するか想像もつかない。加え国境に
伴う警備、税関、そのための文書、警備員、事務。それに要する時間的ロスなどがなくなるだけで、どれほどの節約になることか。軍隊、政治、行政は大幅に削減されるだろう。
また、ジブラルタルからウラル山脈までありとあらゆる国々の豊富な産物が自由に市場にあふれるなら、どれほど豊かな生活が保障されるだろうか。このおいしい餌を鼻先に突き付られて、フランス、ドイツはいち早くEC統合に踏み切った。しかし、イギリスのサッチャー首相だけは「国家というものは解体されてはならないものだ」とかたくなに低抗した。だからサッチャーさんの退陣は早晩起こるに決まっていたのだ。私などそれが血を見ないで決まるように祈ったほどである。
なぜなら真理はただ1つあるのみで、これには進歩の余地などあるはずがない」「新しい世界秩序」のために世界の政治、経済、宗教、家庭の破壊が実行されている。そのもっとも中心がヨーロッパ諸国の破壊と建設である。読者は前に世界帝王を生み出すための条件の中に、ヨーロッバ諸国が服従すれば、世界は服従するとあった事を覚えておられるであろう。
その通り、ECは世界政府となり、ECの王は世界の帝王となるであろう。
このようにECが産みの苦しみをして生み出す、大ヨーロッバ帝国はそっくりそのまま世界の帝王に捧げられるであろう。それは黙示録のあの獣であり、キリスト教会がいうところの反キリストであり、それはサタンの受肉したひとり子である。そしてサタンとは、神の創造の天地の中でももっとも力ある天使長、ユダヤの伝説によればその名をルシファーと言い、神に反逆し天国を追放された天使の事である。そして、すでにしばしば言及した、巨大な思想集団。意志決定機関とは、その名も「ルシファーの子」という歴史的組織の事である。もっとも彼らはさすがに「ルシファーの子」とは名乗っていないのだが。